2014年10月07日 (火)道徳ドキュメント「ペットの命はだれのもの?」 授業リポート


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道徳ドキュメント は、実際にあった出来事や人生体験を取り上げて、現実の問題と向き合いながら道徳を考える番組です。2014年9月16日(火)、道徳ドキュメント「ペットの命はだれのもの?」を使った授業が、神奈川県川崎市立はるひ野中学校2年3組で行われました。

★ ペットをめぐる現実を知って 

担任の岡田哲平先生が「家でペットを飼っている人」と尋ねると、何人かの生徒が手を挙げました。
「じゃあ、もし家でペットを飼うことができなくなったらどうする?」と聞くと、「友だちにあげる」「無理やり飼う」という声。これに対して「引き取り手がみつからないかもよ」「ペットを飼っちゃいけないところに無理に連れて行っても、ばれたらどうするの」という声もありました。

ここで先生は「『動物愛護センター』って、名前は聞いたことがあるかな。どういう所か知ってる?」と質問。「動物を愛護する所!」「飼えなくなった動物を引き取って助ける所」・・・。「動物愛護センターに連れてこられた動物は、殺されるんだよ」と言うと、みんなは「えっ!」と息をのんでいました。
「殺処分される犬や猫は1年間で約30万頭いるんだ。どんな理由で連れてこられると思う?」「引っ越し」「飼い主が年を取って飼えなくなった」・・・。
「たしかにそういうやむを得ない理由もあるだろうね。でもほかに『海外旅行に行くときじゃまだから』『血統書付きの犬から生まれた子犬が雑種だったから』という理由で連れてくる人もいるそうだよ」。生徒たちは、初めて知る現実にびっくりしていました。
先生は「では今日は番組を見て、ペットのことについて考えてみましょう」と言ってテレビをつけました。

【道徳ドキュメント「ペットの命はだれのもの?」あらすじ】
飼い主のわからない犬や猫が施設に運ばれてきます。この動物たちは、数日後には炭酸ガスによる窒息死、つまり「殺処分」されます。
あるおばあさんが、猫を連れてきました。捨てられていた猫を拾ってかわいがってきましたが、団地の規則が厳しくなり、飼えなくなってしまったのです。つらそうな様子で係の人に、猫を預けていきました。
一方で、こうした動物を救おうと活動する人たちがいます。NPO法人「犬と猫のためのライフボート」の塩見まりえさんは週に2日この施設を訪れて犬や猫を連れて帰ります。塩見さんたちのはたらきで、新しい飼い主に引き取られていく動物たち。でもそれは、小さくてかわいい犬や猫がほとんどです。生きるのも、死ぬのも人間の都合。本当にそれでいいのでしょうか?

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生徒たちは真剣な顔で番組を見ていて、中には涙をぬぐう子もいました。番組が終わってからも、しばらく言葉が出てきませんでした。

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★ ペットを飼うって、どういうことだろう

視聴後、まず自分の考えをワークシートに書き、それを何人かが発表しました。
「捨てていい命なんて存在しないし、人間が勝手に決めていいわけがない。途中で捨てるなんてあまりにも残酷だと思う」と人間の身勝手さに怒りをあらわにする声や、
「見ていてとてもつらかった。どうにかして犬や猫を救ってあげたい」「この現状を変えるには、人間がもっと命の大切さを考えなければならない」と、なんとかしたいという声があげられました。

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★ ペットを手放す人の気持ち、救おうとする人の気持ち

次に、猫を施設に連れてきたおばあさんについて考えました。
「もともと野良猫だった猫を救って面倒をみてあげていた。おばあさんはやれることはやったんだから悪くない」「猫を捨てたらほかに迷惑をかけてしまうかもしれない。だから面倒をみれなくなった時点で施設に連れてくるのはしかたない」と、養護する意見が発表される一方で、
「ペットを飼ってはいけない団地に住んでいるのに、その時の気持ちで猫を飼ってしまった。結局捨てるなんて自分勝手」「最初から飼わない勇気が必要だと思う」と、疑問を持つ声もあげられました。

ここで先生は「みんなの意見が割れたね。では塩見さんはどんな気持ちで仕事をしていると思う?」と聞きました。
「動物を助けることができてうれしい反面、助けられない命もあるからきっと悲しいと思う」「どの動物を引き取ろうか考えているとき、新しい飼い主が見つかりやすい動物を選ばなければならないことに、罪悪感を感じていると思う」。
みんな、塩見さんのつらそうな表情が目にやきついているようです。

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★ 命って何なんだろう

こうした議論をへて、先生は改めて、命ってどんなことだと思うか尋ねました。
「人間だけでなく、動物の命もとても大切だと改めて思った。動物を飼うことは命を預かることだから、最後まで責任を持って育てる必要があると思う」
「私は犬を1匹飼っていて、家族の一員として一緒に暮らしている。同じ動物でも、無責任に捨てられる動物がいるという悲しい現実を覚えておきたい」
「この番組のタイトルは『ペットの命はだれのもの?』だけど、ペットの命はだれのものでもない。犬や猫の命は、人より軽いものではない」。
みんな真剣な顔で、友達の意見に耳を傾けていました。

最後に先生は新聞記事を取り出しました。そして「来週は動物愛護週間です。この新聞記事にも、今みんなで考えた動物の殺処分のことが書いてあります。今日考えたことは、現実に起こっているということを、覚えておいてください」と語り、授業は終了しました。


★ 授業を終えた岡田先生にお話を聞きました

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――生徒たちの真剣な表情が印象的でした。みんな、たくさんの動物が殺処分されていることを知ってショックだったようですね。

身近な動物である犬や猫が、実は人間の都合でたくさん処分されていることを、この子たちはきっと知らないだろうなと思っていました。だから一度ペットの命に焦点を当てて、命って何なのか考えたいと思っていました。

――生徒たちは、ワークシートに真剣に向き合いながら書き、何人かが自分の考えを発表していました。

実は2学期になってから、意見を聞いてもあまり手が挙がらなくなったんです。年齢的にしかたがない部分があると思うのですが、大半の子が自分の意見を言わず授業が終わってしまうのはもったいない。だから、一度書いて自分の考えを整理すれば発言しやすいかと思い、まずワークシートに書かせるようにしたんです。簡単なメモ程度にしてほしかったのでワークシートのひとつひとつの欄を小さくしたのですが、みんなそこに小さい字でたくさん書いていてしまって(笑)。
ワークシートを見ると、「動物を飼うのは命を預かることだ」など、ちゃんと自分たちの言葉で書かれていて、よく考えているなと思いました。

――道徳の授業で映像教材を使ったよさはどんなところですか?

ペットを施設に連れてきたおばあさん。動物を殺処分しなければならない施設の人。そして塩見さん・・・。
立場は違いますが、三者とも、とてもつらい気持ちを抱えています。そうした表情や声を見ることができるのは、映像教材ならではです。
今回この番組を見て、生徒たちはこの三者の葛藤を、自分のものとしてとらえることができたと思います。そしてこれが現実に起こっていることだと知り、命の大切さを考えることができたと思います。

これからも「きみならどうする」シリーズを中心に、「道徳ドキュメント」を使っていくつもりです。番組で描かれている現実の問題を、自分ならどうするか、みんなで真剣に考えていきたいです。


道徳ドキュメント
< Eテレ (金)午前 9:50 ~10:05 >

※「ペットの命はだれのもの」は、番組ホームページで動画をまるごと配信しています。ご活用ください。

投稿者:デジタル教材スタッフ | 投稿時間:14:45

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