2009年09月07日 (月)『おはなしの旅』 大島ミチルさん&仲村トオルさんにインタビュー
『おはなしの旅』は、古今東西の名作を、名優たちが語り聴かせるラジオ番組です。じっくりと語りかけてくる声や音楽が、聴き手の想像力をかきたてます。
9月には中学年編で、2回に分けて「銀河鉄道の夜」を放送します。宮沢賢治の代表作として有名なこの作品を、ラジオドラマとしてどう表現するのでしょうか?挿入曲を手がけた作曲家の大島ミチルさんと、ナレーションを担当した俳優の仲村トオルさんにお話を伺いました。
★お話の世界をふくらませる、叙情感あふれる音楽
年に一度の星祭り。少年ジョバンニは、親友カムパネルラがほかの友
だちと祭りに行くのを見かけ、さびしい思いで草の上に寝ころがります。するといつのまにか、不思議な列車に乗っているのでした。前の座席に座っていたカムパネルラとともに、銀河鉄道の旅が始まります。しかしこれは、カムパネルラの死へと向かう旅でもありました。
この物語に作曲家の大島ミチルさんは、全8曲を作曲しました。ジョバンニが列車の中でカムパネルラを見つける場面や、2人でいっしょに旅をしようと約束する場面などに、印象的な場面に曲が入り、物語の雰囲気を高めます。
曲を収録するときは、チェロ、バイオリン、ピアノの3人の演奏を、大島さんみずからが指揮しました。
3人での演奏というのは、ほかの回に比べて人数が少ないそうです。その中でも、女の子がさそりの火の話をする場面はピアノのソロ、物語のラストはチェロのソロといったように、シンプルな
形での演奏が目立ちました。この理由について大島さんは「台本を読んで、セリフのひとつひとつがすばらしくて感動しました。だから音楽はシンプルなほうが、お話の内容がよりピュアに聴く人に伝わると思ったんです」と話します。今回の曲作りでは、悲しさだけではなく、登場人物たちが抱える悲しさと温かさの両方をいかに表すかが難しかったそうです。
大島さんは今回あらためてこの作品を読んでみて、以前と違った感銘を受けたと言います。「わたし自身このごろ、自分はどう生きてどう死ぬんだろうと考えることがあるんです。人がどう死ぬかは、どう生きたかということにつながるのかなと思ったりして。そんな意味でこのお話は、とても深いなと感じましたね」。
NHKの大河ドラマ『天地人』の音楽など、多方面で活躍なさっている大島さん。『おはなしの旅』はいいお話が多いので、仕事をするのが楽しいんですと笑顔で語ってくださいました。
★ひとつひとつのことばを大切にする、ていねいな語り
ナレーションを務めた俳優の仲村トオルさんは、今回が初めて
の『おはなしの旅』の出演です。収録の感想を尋ねると「15分間の生放送のような収録のしかたと伺っていましたが、皆さんほんとうにプロの仕事をされているなと思いました」と興奮気味でした。
テレビや映画など、映像に出演する仕事が多い仲村さん。今回の収録ではことばに集中した分、これまで気づかなかった、自分の中のことばへの思いを感じることができたそうです。
そんな仲村さんが驚いたのが、共演したみなさんのことばへのこだわり。収録前に行われた打ち合わせでは、原作ではこうなっているけど、この表記のほうがいいのではないかといった意見が活発にあげられました。仲村さんは「これだけ繊細にひとつひとつの単語を検証しながら作品を作り上げる現場は初めてでした。すごく刺激になったし、出演してよかったと思いました」とその様子をふり返りました。
では、仲村さんは「銀河鉄道の夜」についてどんな感想を持ったのでしょうか?
「だれかの命を守るために自分の命を差し出すなんて、すごくレベルの高いテーマですよね。ほんとうにすばらしいことだと思います。でも、それが新聞記事で見るような遠い人のことだったらすごいと思えるんですが、では自分はできるのか、家族がそうしたらどうなのかと考えると・・・きっとそうは思えないでしょうね」と、考え込んでいました。
読む人によって、そして読む時期によって、さまざまなことを感じられるのがこの作品の持つ奥深さだと言えるでしょう。仲村さんは、だからこそこの番組を子どもたちに聴いてほしいと言います。
「ぼくには小学5年生と5歳の娘がいるんですが、きっと5歳でもいろいろなことを感じるでしょうね。子どもは大人のようにいろいろなことを考えない分、いい感じにこの世界を味わえると思います。今はビジュアルな情報があふれていますが、だからこそ音だけを聴いてイメージを広げることって、とても大事だと思います。学校で聴いて、ジョバンニってこんな顔なのかなとか、銀河鉄道ってこんな列車なのかなとか、友だちどうしで話すのもおもしろそうですね。絶対楽しい15分間を過ごせると思いますよ」。
みなさんはこの番組を聴いて、どんなことをイメージして、何を考えるのでしょうか? 番組に耳を傾けて、いっしょにおはなしの世界を旅してみませんか?
大島ミチル
作曲家。長崎県長崎市出身。
国立音楽大学作曲科在学中から、作、編曲家としての活動を始め、テレビ番組音楽、映画音楽、CM音楽、アニメーション音楽などさまざまな分野で活躍。毎日映画コンクール音楽賞、日本アカデミー優秀音楽賞など多数で受賞。
おもなテレビ番組音楽は、NHKスペシャル『生命-40億年の旅』、NHK連続テレビ小説『純情きらり』『ごくせん』。映画音楽は『まぼろしの邪馬台国』『明日の記憶』『北の零年』『失楽園』など多数。
仲村トオル
俳優。東京都出身。
映画、テレビドラマ、舞台などで活躍。
最近の作品に、映画『K-20 怪人二十面相・伝』『剣岳 点の記』、テレビドラマに『チーム・バチスタの栄光』、舞台『奇ッ怪~小泉八雲から聞いた話』『フロスト×ニクソン』(2009年11月~予定)などがある。
投稿者:デジタル教材スタッフ | 投稿時間:14:00
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