教育のバリアフリー研究を
東京大学は「教育のバリアフリー」について研究する「バリアフリー教育開発研究センター」をこの4月に発足させました。「教育のバリアフリー」と言われてもすぐにはピンとこないのではないでしょうか。そこで、今回は、東京大学が新たな研究領域として立ち上げた「教育のバリアフリー」研究とは何かについて取り上げます。
■研究の対象になる「教育のバリアフリー」とは?
バリアフリーという言葉から障害児教育や特別支援教育を思い浮かべるかもしれませんが、それだけのせまい概念にとどまらず、教育を受ける側が感じる障壁(バリア)について研究することを意味します。センター設立の目的は二つあります。一つは、バリアフリーという概念は、本来だれもが身につけておくべき市民的な教養であるという新しい認識を広めること。もう一つは、将来のバリアフリーの担い手となる人材の養成にあたること、そのための教育・研究の拠点となることをめざすとしています。
施設・設備面のバリアフリーは、今や社会のいたるところで当たり前に取り組まれるようになっていますが、実は、東京大学ではそうしたことすら遅れていたことが研究に取り組むそもそものきっかけだったのです。
■そのきっかけとは…
教育学部で、去年、大学院に車椅子の学生を受け入れることになって初めてバリアフリー化されていないと気づいたことです。学内の施設・設備面のバリアフリーはそれなりに進んでいましたし、学内にはバリアフリーを専門の領域として研究に取り組んでいる先生もいました。ところが、肝心の教育学部では、いたるところに段差があって、バリアフリーになっていなかったのです。
正面入口の階段は急すぎてスロープを設けることができず、結局は地下1階まで車いす用のゆったりとしたスロープをつけることで対応しました。日本の教育界をリードする先生たちの間で、ふだんから理念的に教育の機会均等や差別のない教育の研究に取り組んできたはずなのに、これではまずいと議論になり、教育学の新たな研究領域として「教育のバリアフリー」研究に取り組むことになったのです。
一方で、東京大学では大学として「社会への知の還元」を掲げて全学的に取り組んでいます。その一環として、教育学部を中心に「大学発の教育支援」つまり大学が持っている知恵を高校までの教育にも役立ててもらおうという全学的なプロジェクトに取り組もうとしていたことも、センター発足を後押しする格好となりました。
投稿者:解説委員 | 投稿時間:15:00 | カテゴリ:早川解説委員の教育コラム | 固定リンク
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