2009年10月05日 (月)『ど~する?地球のあした』 教え方教室リポート
2009年7月31日、神奈川県横浜市立茅ヶ崎東小学校で「先生のための教え方教室~デジタル放送・ICT活用講座~」が行われました。小学校の先生を中心に57人が参加し、『ど~する?地球のあした』の活用方法について、研究者や番組制作者を交えて考えました。その様子をリポートします。
★番組を見たあとの課題づくりについて考えよう!
『ど~する?地球のあした』は、子どもたちに身近な切り口で環境問題を伝える番組です。番組を見て子どもたちが自分たちに何ができるかを考え、よりよい未来のために行動することをねらいとしています。
NHK青少年・教育番組部の桜田歩ディレクターは「環境問題は、知れば知るほど単純に解決できないことが多いです。たとえばわたしたちが1年中食べているキュウリも、冬に栽培するためにたくさんの燃料を燃やすので、地球温暖化の原因につながります。『ど~する?地球のあした』ではこのように、わたしたちの生活が意外なところで地球環境に影響を与えていることを、現場の豊富な映像とあわせて伝えていきます。
番組では、環境や地球にかかわるさまざまな立場の人の様子を紹介していきます。でもどの考えがいいといった判断はだしません。だからこそ番組を見たあと学校で、感想を話し合ったり、では自分たちにできることは何だろうと考える授業をしてもらえたらうれしいです」と、制作者としての思いを語りました。
ここで、今回の講師である関西大学初等部開設準備委員特別任用教諭の三宅貴久子先生が「これからみんなで『ど~する?地球のあした・1個のハンバーガーから』を見ます。そのあと、この番組を高学年で利用するときの課題作りなどを考えていきましょう」と言ってテレビをつけました。 
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『ど~する?地球のあした・1個のハンバーガーから』を視聴
子どもたちが大好きなハンバーガー。実はその原料は世界中から輸入されています。番組では、注文から1分以内にハンバーガーを作り上げる店内の様子や、ハイテク機械で大量の食材を加工する工場の様子など、ふだん目にすることのない、ハンバーガーが出来るまでの工程を映しだします。
いろいろな国から食材を輸入する理由についてハンバーガー店の仕入れ担当者は「1年中安定して大量に仕入れるためです」と答えます。身近なハンバーガーひとつを見ても、わたしたちのくらしは世界の人たちに支えられているのです。
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視聴後、参加者は番組の感想を記入し、5~6人のグループで話し合いました。「輸送費などもかかるのに、なぜ外国産の原料のほうが国産よりも安いのだろう?」「番組の内容は社会科的なのに、なぜ環境番組なのだろう?何か意味があるはず」といった話題で盛り上がりました。
次に「この番組を見せたあと、どんな課題を立てたらいいだろうか」ということについて話し合い、発表しました。
「〈なぜ外国産の原料ばかり使われているのか〉という課題がいいと思います。そこから『海外から原料を輸入するにはいくらかかるんだろう?』『国内で原料を作るには、いくらかかるんだろう?』『外国では食べものがなくて困っている人もいると聞いたけど・・』などと子どもたちの疑問が広がり、発展性を持たせることができるからです」
「わたしは、その学年の発達段階に見合った課題を作るのがいいと思います。
例えば4年生は学区での環境問題について。5年生は国産の原料と、外国産の原料を使っているハンバーガーショップの値段を比較追究。6年生は、外国とのつながりを調べるというように。教科学習で学んだ内容も考慮することが大事だと思います」
こうした意見を受けて三宅先生は「課題を作るときは、どこに結論を持っていくかをあらかじめおさえておくことが大事です。結論と言っても、ひとつのことに集約させるとは限りません。わたしは以前5年生の実践で、お米について調べたことを地域の人に伝えることを目標としました」と、課題作りの際のアドバイスをしました。
★実際にクリップを操作して、その活用方法を考えよう!
次にパソコンルームに移動して、実際にパソコンを操作しながら、学校放送番組と連動したウェブサイト「NHKデジタル教材」の活用について考えました。
まず桜田ディレクターが『ど~する?地球のあした』のウェブサイトを中心に、デジタル教材について説明しました。中でも学校の先生におすすめなのが、1~2分間の短い動画「クリップ」。理科・社会科・総合的な学習の番組内容にあわせて、さまざまなテーマのものが見られます。会場では「へえ!」「すごいなこの映像!」という感動の声があちこちからあがりました。
その後カードに、今回見たクリップの内容や、それについての感想を書き発表しました。
「テーマが明確でコンパクトにまとめられているので、授業でちょうどよく使えると思いました」という声のほかに、「クリップを子どもたちに見せるときは、何を調べるかをはっきりさせてから見せないと、あらすじを書き写すだけになりそうです。自分の調べたいことにたどりつけなくなりそうだと思いました」という、利用する際の不安点をあげる声もありました。
三宅先生は「クリップのよさは、何と言ってもコンパクトなところです。みんなで一斉に見るだけでなく、課題を決めるとき、調べるとき、考えをまとめるときなど、個別でもいろいろな段階で使うことができます。でもたしかに、使い方に気をつけなければならないこともたしかです。わたしは番組で子どもたちの思考を拡散し、クリップで収束するというやり方で番組とクリップを使ってきました」
東北学院大学准教授の稲垣忠先生は「クリップを見せるときに大事なことは、子どもたちに次の活動を意識させることです。また、調べたいことがクリップにない時のために、あらかじめ図書などほかの資料などを用意しておく必要があります」と、それぞれクリップの使い方についてアドバイスしました。
★番組とクリップを使った実践活動から
最後は三宅先生が、。『ど~する?地球のあした』の番組やデジタル教材を活用した、5年生の実践活動を報告しました。
三宅先生は、総合的な学習の時間は「学び」の中に「学んで生かす」ところまで位置づけたカリキュラムだと考えています。そして活動の中に学校放送番組やデジタル教材などのICTを取り入れたことで、全員に共通の疑似体験の場ができ、それによって個々の体験を浮かび上がらせることができ、知識を元に思考する足場かけになったと話しました。
稲垣先生はこの実践報告から、三宅流「探求しがいのある課題3条件」を以下のようにまとめました。
================= ・ 自分の生活につなげて生かせる課題
・ 教科とつなげて追究できる課題
・ 地域や社会とつなげて行動できる課題 =================
そしてそれを支援する手だてとして、三宅先生が、課題づくりと調べる時間の割合を考えたり、イメージマップやシンキングツールなどを活用したりしているくふうを確認し、〈課題を確立する視点と、多様な思考を支援する手だて〉が大事であるとまとめました。
そして最後に「短くなる総合的な学習の時間の内容を濃くするためにも、番組やクリップの活用が有効です!」と語りました。
4時間にわたり行われた「先生のための教え方教室」。
参加した先生たちからは
「グループ内の先生たちからいろいろな考えが聞けておもしろかったです」
「番組制作者の思いがじかに伝わってきて、よかったです」
「クリップの存在を初めて知りました。実際に操作してみて、簡潔にわかりやすく作られているので、授業にも取り入れやすいと感じました」
「総合的な学習の時間の課題設定は、いつも悩む部分です。放送を使うという新しい形を知ることができてよかったです。帰ったら同僚たちにも知らせたいです」
といった感想があげられました。これからの授業で、学校放送番組やデジタル教材を使った、さまざまな試みの授業が期待できそうです。
『ど~する?地球のあした』(小学校4~6年・総合的な学習の時間)
http://www.nhk.or.jp/dosuru/
投稿者:デジタル教材スタッフ | 投稿時間:14:00
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