北海道 十勝川上流(2006年7月30日放送)



十勝川は北海道の東部、十勝平野を貫いて流れる全長156kmの川です。その上流は深い森に包まれ、急流が続きます。夏、雪解け水がもたらす冷たく清らかな流れは、独特の自然を育みます。十勝川の上流で、豊かな水に始まるいのちの営みを見つめます。

雪解けの川
雪解けの川
十勝川の源流部は2千m級の山々です。大量の雪解け水が山肌を流れ落ち、夏でも枯れることのない急流を生み出します。

エゾノバッコヤナギ
エゾノバッコヤナギ
ヤナギは川原などのやせた土地でも成長できる木です。荒れ地に最初に入り込み森の基礎を作るという意味でパイオニア植物と呼ばれます。

ニホンザリガニ
ニホンザリガニ
ニホンザリガニは北海道と東北地方に生息します。冷たくきれいな水でしか生きられません。開発などによって生息地が減少しています。

オショロコマ
オショロコマ
オショロコマはもっとも上流部にすむイワナの仲間です。大きさは20cmほど。カゲロウなど水中の昆虫などを食べます。

オジロワシ
オジロワシ
羽を広げると2mにもなるオジロワシです。おもに海の近くで生息する鳥ですが、十勝川では上流部でも見られます。


語り 礒野 佑子アナウンサー(NHK札幌放送局)
取材地・取材時期
交通手段
●取材地 : 北海道新得町トムラウシ ・十勝岳山麓(ろく)
●取材時期 : 2006年7月上〜中旬
●交通手段 : JR新得駅から自動車・駅から約1時間
登場する地形
動物・植物
登場する地形
●十勝川上流部 : 真夏でも15度を越えることのない冷涼な水が流れます。川にはニホンザリガニやオショロコマなど冷たい水でしか生きられない独特の生き物が生息しています。
●十勝岳 : 十勝川源流の山。標高2,077m。いまも噴煙をあげる活火山です。日本百名山のひとつであり登山者にも人気があります。
●霧吹きの滝 : 急勾配の十勝川には上流部にいくつもの滝があります。そのうちのひとつ霧吹きの滝では、30m以上の崖を水が落下し、たえず霧のような細かなしぶきが飛び散っています。
登場する動物
●エゾシマリス : 山腹のガレ場や森などにすむリスです。冬の冬眠から目覚めると木の新芽や花を食べます。北海道だけに生息しています。
●キセキレイ : 川の上流部にすむ鳥です。北海道には春に繁殖のために渡ってきます。水辺の昆虫などを食べます。
●イソシギ : 砂地の広がる川原を歩きながら虫などをつついて食べます。繁殖の時期にヒナに外敵が近づくと、親鳥が傷ついたようなふりをして注意を引きつける「偽傷」という行動をとることで知られています。
●ニホンザリガニ : 日本の固有種。全長5cmほど。開発や外来種の影響で繁殖地が減っています。冷たくきれいな水の流れでしか生きられません。
●オショロコマ : 北海道だけに生息するイワナの仲間です。冷たい水の流れる川の上流部にすむ魚です。体の側面にある小さな赤い斑点が特徴です。
●ヤマセミ : 上流部の鳥の代表格。35cmほどの大きさで日本にいるカワセミの仲間で最大の鳥です。警戒心が強くなかなか人前に姿を現しません。
●オジロワシ : 天然記念物。羽を広げると2mにもなる大型のワシです。ふつう海岸近くで暮らす鳥ですが、食べものとなる魚が豊富な十勝川の上流部でも見ることができます。
●キタキツネ : 北海道にすむキツネです。ネズミなどの小動物や昆虫だけでなく小鳥などを襲うこともあります。
登場する植物
●コケモモ : 初夏に可憐(れん)な花を咲かせるツツジ科の高山植物。10cmほどと背の低いのですが草ではなく木です。冬でも葉を落とさず、雪解け後すぐに光合成をすることができます。
●イソツツジ : 小さな白い花をボールのようにびっしりと咲かせる高山植物。「イソ」の名前がついていますが海とは関係ありません。「エゾツツジ」と呼ぶところを誤って伝えられたといわれています。
●エゾノバッコヤナギ : 大きいものでは高さ20mにもなるヤナギの仲間です。十勝川上流の川原でよく見られます。川原など荒れた土地にいち早く入り込むことで知られています。ほかの植物よりも生長が早く10年ほどで林を作ります。
より詳細な情報の
入手先
◇参考文献
・山と渓谷社 「大雪山自然観察ガイド」
・北海道新聞社 「北海道の野鳥」、「北海道の植物」、「原野の鷲鷹」
・北海道大学図書 「北海道の花」、「北海道の鳥」
問い合わせ先 ◇新得町役場 : TEL 0156-64-5111
◇十勝西部森林管理署 : TEL 01564-2-2141
◇トムラ登山学校 : TEL 0156-65-2141
◇山の交流館とむら : TEL 0156-65-2000
清らかで冷たい水の流れることで知られる十勝川の上流。ロケでは、北海道だけに生息する魚、オショロコマの水中撮影に挑んだのですが、水があまりにも冷たく、まいってしまいました。雪解け水が流れ込む川は、ところによっては7月でも10度以下。身を切るような冷たさ でした。ひじまである長いゴム手袋をつけてようやく撮影に成功しました。嬉しくて小躍りするとともに、生き物たちのたくましさに感動しました。


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