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             しゅまりない


 


極寒の豪雪地帯として知られる北海道北部の朱鞠内(しゅまりない)。日本最大の人造湖・朱鞠内湖を囲むように、広大な森(北海道大学の雨竜演習林)があります。
雪解け水が一斉に湖に注がれる春、朱鞠内の森と湖では生命のドラマが繰り広げられます。湖面近くの魚を狙うタカの仲間「ミサゴ」、湿地という厳しい環境の中で生命を育む樹木「アカエゾマツ」・・・。絶滅が心配される日本最大の淡水魚「イトウ」も、産卵のため湖から故郷の川に戻ってきます。水辺の森で逞しく生きる生き物たちの営みを見つめます。

日本最大の
人造湖・朱鞠内湖です。
日本有数の豪雪地帯は春になると森全体が雪解け水で溢れます。
イトウは雪解けの4月末〜5月初旬にかけて産卵します。 タカの仲間、ミサゴは冬は南で過ごし、湖の氷がとけた頃、繁殖のために戻ってきます。
湿地に生えるアカエゾマツ。倒木の上に種を宿す「倒木更新」によって世代交代を繰り返しています。 冷え込んだ朝、暖かい湖と冷たい大気の温度差によって霧が生じます。朱鞠内ならではの光景です。

(語り)


館野直光 アナウンサー(NHK北海道ビジョン)
 

(取材地・取材時期・交通手段)

●取材地 :北海道 幌加内町 朱鞠内地区 (朱鞠内湖と北海道大学雨竜研究林)
●取材期間:2003年5月7日〜10日、5月17日〜22日
(登場する生き物、植物) ●朱鞠内湖
昭和18年に完成した治水と発電を目的とする人造湖。現在は、北海道電力の所有。面積24平方q、周囲40q。人造湖としては、日本最大。
湖には、漁協も存在します。冬のワカサギ釣りなど、釣り場としても有名です。
●ミサゴ
タカの仲間。翼を広げた時の大きさは、160pほど。
海岸沿いや湖沼に繁殖します。朱鞠内には、雪解けの5月に、渡り鳥としてやってきます。
魚食性のタカで、足から飛び込んで魚類を捕ります。
準絶滅危惧(環境省) 絶滅危急種(北海道)
●イトウ
サケ科イトウ属。日本最大の淡水魚で、大きなものは体長1mを超えます。北海道のみに分布し、湿地帯のある河川の下流域や湖沼に生息します。雪解けの4月末〜5月初旬にかけて、産卵のため上流部に遡上します。
近年その数は激減しており、天然の成魚の生息数は、1000匹を割ったと言われています。
朱鞠内の河川では、今年の9月から禁漁規制が始まることになっています。絶滅危惧TB類(環境省、平成11年) 絶滅危機種(北海道)
●アカエゾマツ
高さ30m〜40m、太さ80p〜100pになる常緑樹。幹はやや赤黒い。
分布は、北海道と本州(早池峰山)。
蛇紋岩地帯や湿地、砂丘、火山灰地など、特殊な環境に生えいます。
種が倒木の上から成長する仕組みは、「倒木更新」と言われています。
種は、倒木から水分や栄養分を吸収して成長します。
番組で紹介した群生域は、殆ど全てがこの「倒木更新」から成りたっています。
●ザゼンソウ
サトイモ科の多年草。花の姿を、座禅を組んだ達磨大師に見たてて名をつけられました。
本州から北海道にかけて分布し、湿地に生息します。
悪臭と、開花の際の発熱が特徴的です。
発熱の理由については、「生長を早めるため」・「虫を誘き寄せるため」・「寒さから守るため」など幾つかの説が唱えられています。
(より詳細な情報の入手先) ●北海道大学 北方生物圏フィールド科学センター 森林圏ステーション 雨竜研究林
 (〒074―0741 北海道雨竜郡幌加内町字母子里 пF01653―8― 2125)

 


エゾエンゴサク

アカエゾマツの森

日本有数の豪雪地帯・朱鞠内。春の森には、雪解け水が溢れ出します。今回は、その雪解けの「水」に焦点を当てた番組作りを心がけました。「水」が織り成す美しい風景、「水」に暮らす健気な生き物たち・・・・。
動物も植物も、登場するのは全て「水(湖・川・湿地・雪)」に関連するものたちばかりです。取材・ロケの段階においても、水の豊かさが豊かな命を育んでいるということを実感していました。
番組において、その感動が伝わっていれば良いなと思います。
番組に登場するミサゴのつがいは、とても愛らしく感じました。とても仲が良さそうで、“オシドリ?夫婦”を連想します。ちょっと嫉妬もしますが、心温まる気持ちがします。是非、注目してみてください。

イトウの産卵の瞬間

エゾノリュウキンカ