サクラマスのふるさと
北海道 サンル川

(2006年10月22日放送)


北海道の北部、天塩川支流のサンル川は、国内でも数少ないダムのない川です。ここは、海と川を行き来するサクラマスが3千匹も上ってくる、国内最大級の産卵場としても知られています。天塩川の河口から、源流部にある産卵場までの距離は200km。サンル川のサクラマスは、日本の川で最も長い距離をさかのぼる魚だといわれています。北の渓流に、サクラマスの命のドラマを訪ねます。

サクラマス
サクラマス
滝でジャンプするサクラマス
滝でジャンプするサクラマス
海で60cmもの大きさに成長したサクラマスは、200kmも川をさかのぼり、サンル川にやってきます。

サクラマスとヤマメ
サクラマスとヤマメ
サンル川で海から上ってきたサクラマスと川にとどまったヤマメが再会します。

ヤマメをとらえるハナカジカ
ヤマメをとらえるハナカジカ
川底にひそむハナカジカは、川に残ったヤマメの天敵です。

サクラマスの産卵
サクラマスの産卵
サクラマスの産卵の瞬間です。1匹のメスに、たくさんのオスのサクラマスとヤマメが殺到します。子孫を残そうとみな必死です。


語り 上野 速人アナウンサー
取材時期・取材場所
交通手段
●取材時期と取材場所 :
◇サクラマスが跳ねる堰堤
・取材時期 2006年8月中旬
・取材場所 北海道下川町上名寄地区・サンル川が注ぐ名寄川にある堰堤
◇サクラマスの産卵
・取材時期 2006年 9月中旬
・取材場所 北海道下川町珊瑠地区のサンル川
◇紅葉
・取材時期 2006年10月初旬
・取材場所 北海道下川町珊瑠地区のサンル川
●交通手段
下川町へは、宗谷本線名寄駅から路線バスがでています。車では、道央自動車道・士別インターチェンジから、北東へおよそ40分です。
登場する
地形・動物
サンル川について
サンル川は、北見山地を流れる渓流です。下川町で名寄川に合流し、その名寄川は天塩川に合流して、日本海に至ります。天塩川の河口から、サンル川の源流までの距離はおよそ200km。その間には大きなダムがないため、海と川を行き来するサクラマスの格好のすみかとなっています。
登場する動物
●サクラマス(サケ科 体長60cm) : 渓流で生まれ、海で成長し、生まれた川に上って産卵する回遊魚です。サクラマスの一部は、海へ下ることなく一生を渓流で送り、小さな体のまま成熟します。海に下りないサクラマスは、ヤマメと呼ばれています。
●スナヤツメ(ヤツメウナギ科 体長15cm) : ヤツメウナギの仲間で、成魚は何も食べません。清流でしか生きられないため、全国で数が減っており、絶滅危惧種に指定されています。
●ハナカジカ(カジカ科 体長15cm) : 渓流に住む肉食魚です。川虫や小魚を食べており、サクラマスの幼魚の天敵です。じっと川底で石に化けて、獲物を待ち伏せます。
サンルダム建設に
ついて
サンル川では、ダム建設計画が決定されており、2006年10月現在、関連する道路の工事が始まっています。ダム本体の着工時期は未定です。
サクラマスの楽園だ、と聞いて出かけたサンル川。初めて潜って驚いたのは、「魚が少ない!」ということでした。もちろんサクラマスはたくさんいたのですが、他の魚がみつかりません。調べてみると、渓流の水には栄養分が少ないため、魚の食べものが少ないことが分かりました。サンル川の源流部にすむ魚は、サクラマスを含めてわずか4種類だけだったのです。では、なぜ食べものが乏しいなか、たくさんのサクラマスがいるのでしょう。それこそ、サクラマスが、遠く海まで旅する理由でした。渓流だけで生きられないから、食べものを求めて故郷を離れるのです。もうひとつの驚きは、海で成長したサクラマスが川に帰ってくると、産卵までの3ヶ月間、何も食べないことです。体が大きいサクラマスの場合は、泳ぎ回ってわずかな食べものを口にするより、何もしないでじっとしている方がエネルギーの節約になるそうです。 厳しい環境にみごとに適応したサクラマス、すごいですね。それにしても、お腹がすいたら、つまみ食いするんじゃなくて、ちゃんと食べるか、じっとがまんする、という対処法。ちょっと分かるような気がします。


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