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 北海道 屈斜路湖


 


北海道の東部、周囲を山に囲まれた屈斜路湖があります。火山活動によってできた盆地に水が溜まってできた「カルデラ湖」です。屈斜路湖は、カルデラ湖としては日本最大の面積を誇ります。湖周辺で続く火山活動はいまも、植物や動物たちに大きな影響を与えています。屈斜路湖にほど近い活火山「硫黄山」(いおうざん)では硫酸を含んだガスが噴出しています。このため周囲には酸性の土壌が広がり、酸性に強いハイマツしか生育しないなど、独特の植生を見せてくれます。また、強酸性の温泉が湖に流れ込み屈斜路湖を生き物の住めない「死の湖」にしてしまいました。いまから40年ほど前のことです。しかし、現在では流入河川からの真水のお陰で酸性度も下がり、10種を越える魚類が湖に戻ってきています。
火山と隣り合わせという過酷な環境の中で、たくましく生きる生き物と森を秋の紅葉とともに見つめます。





屈斜路カルデラの中にある屈斜路湖。カルデラ湖としては日本最大です。 かぶと山です。火山ガスの影響で山の左右で植生が異なる珍しい風景です。
湖ではマリゴケが見られます。マリモと違って枯れたコケが集まって出来ています。 屈斜路湖に暮らすヒメマスが周囲の川に産卵のために遡上してきました。
湖畔でも見つけた樹齢500年のカツラの木です。黄色く色づいていました。 冬眠しないエゾリスは木の皮を集めて越冬用の巣を作ります。


(語り)

    館野直光    (NHK北海道ビジョン アナウンサー)

(取材地・取材時期・交通手段)

■取材地: 北海道弟子屈町 屈斜路湖周辺 (阿寒国立公園内)
■取材時期: 2003年10月中旬
■交通手段: 
航空→女満別空港から車で1時間30分程度
根室中標津空港から車で1時間30分程度。
JR→釧網本線川湯温泉駅 など
バス→季節によって運行スケジュールが変わりますので、ご利用の際は町役場までお問い合わせください。
※弟子屈町役場観光課 п@01548−2−2191
(登場する生き物、植物)
■屈斜路湖の全容・・・俯瞰の映像は、津別峠、美幌峠、藻琴山展望台(小清水峠)の3カ所で撮影しました。津別峠は現在冬季通行止めのため、
津別町経由でしかいくことができません。弟子屈町から直接はいけませんのでご注意ください。
■硫黄山・・・川湯の温泉街から車で3分ほど。駐車場有
(有料、\410)案内所あり。
■かぶと山・・・硫黄山にいけば見られます。硫黄山から散策路がありお勧めです。
■マリゴケ・・・ヤナギゴケなどが、茶褐色の球状となったものです。屈斜路湖の碁石浜付近で見られます。ここ行くには林道を通る必要があります。
★マリゴケは風と波の影響を受けやすいものです。沢山転がっている
 日もあれば、1つも見られない日もあります。
★マリゴケは町の天然記念物に指定され保護されています。採取は厳禁です!
★付近でクマの出没が報告されています! 十分注意してください!
■ヤマセミ(鳥):体長40センチほど。北海道から九州まで分布しています。渓流や湖沼に生息して、木の枝にとまって魚をねらいます。水に潜って魚を上手に捕らえます。
■イトヨ(魚):体長は10センチ未満。背中に3本のトゲがあるのが特徴です。屈斜路湖には、トミヨという仲間も生息していますが、トミヨは背中のトゲが10本以上あるので見分けられます。普通に泳いでいるとトゲは立っていないので、わかりにくいかもしれません。
■エゾリス:キタリスの亜種で北海道全域に生息します。しっぽを含めると体長は40センチくらいになります。冬眠せず、冬でも活発に行動します。おもに木の上に小枝を使って球状の巣を作ります。
■イスカ(鳥):スズメ目/アトリ科の小鳥 体長18センチ。日本ではおもに冬鳥として渡来します。
上記の生き物はすべて和琴半島で撮影しました。和琴半島には入り口に「自然教室」があり町のガイドさんがいて案内もしてくれます。(無料)ただし、冬季お休みになりますので、町役場にお尋ねください。
※弟子屈町役場観光課 п@01548−2−2191
■ヒメマス・・・保護のため、場所や河川については一切お答えできません。
■屈斜路湖全般・・・川湯温泉に「川湯エミュージアムセンター」という環境省の施設があります。入場無料です。
ここにもガイドの方がおり、野鳥の目撃情報をはじめとする情報を教えてくれます。年末年始以外は開いています。
※川湯エコミュージアムセンターп@01548−3−4100
      

 

 

湖畔の紅葉とサギ  今回のロケは、「生き物はちょっとねぇ・・・時期が悪い・・・・」多くの人に言われてかなり焦りました。冬なら雪上の足跡を追跡すれば生き物の姿をカメラに収めることは何とかなります。しかし、撮影が予定されている10月の中旬は、まだ降雪はありません。それに木も葉をつけているので、森の中で鳥やリスの姿を追いかけるのは難しいのです。子育てなどの目立った活動もなく、生き物を撮影するのは確かに「良い」時期ではありません。
 でも、火山の影響を受け続けてきた湖を通して、自然の回復力を伝えるためには、生き物を撮影することは絶対に欠かせない要素だと思われました。
 結局、地元の人に助けられながら撮影は行われました。ある方には日の出からほぼ丸一日つきあってもらったりしました。
お陰で、サギ・アカゲラ・オオアカゲラ・イスカ・ヤマゲラ・シマリス・エゾリス・トゲウオ・ヒメマス・・・などなどをカメラに収めることができました。
 「自然」相手の番組ですが、結局のところ地元の「人」の協力が勝負を決めたと思います。この番組をごらんになった方が、一人でも屈斜路湖を訪ねられる事を願っています。
ヤマセミ