萩 笠山


 

明治維新のふるさと山口県の萩市。その北東4kmのところに日本海に突き出た陸繋島笠山があります。笠山は一万年から三千年前の火山活動でできた小さな火山です。標高112mの山頂には火口が残って噴火の記憶を伝えます。

笠山は溶岩が冷えて固まった大地から成り立っています。沖合いを暖流が流れ温暖な笠山では、溶岩の裂け目に根を張り、2万5千本ものヤブツバキが冬、一斉に花を開きます。

また溶岩の透き間を通って海水が入ってきた汽水の池があり、海の魚が生息している様子が見られます。

さらに溶岩の透き間から冷たい風が流れ出す「風穴」とよばれる場所があり、暖地性植物の多い笠山のなかで風穴の周辺だけ寒地性の植物がはえています。

笠山周辺の溶岩の磯はアワビやサザエなどの格好の漁場になっていて海士(あま)さんたちが素潜りで採る様子も見られます。

番組では、歴史の街萩近郊の火山に、暖流と溶岩のつくった多様な自然を訪ねます。

山口県の萩市に火山活動でできた小さな火山、笠山。 2万5千本ものツバキが咲きます。 bandai07.jpg (9114 バイト)
山すその池に海にいるはずの魚クエがいます。 この風穴から冷たい空気が出てきて、この周りだけ寒い地方の植物がみられます。 bandai09.jpg (8107 バイト)
花の蜜を吸っているメジロです。

(語り)

石井庸子

(取材地・取材時期・交通手段)

●取材地 :山口県萩市笠山
●取材期間:平成13年1月28日〜2月6日
●交通手段:JR山陽新幹線小郡駅よりバスでJR山陰線東萩駅下車。タクシーをご利用下さい。萩市内の萩バスセンター(小郡からのバスも停車します)から越ヶ浜行きバスもあります。終点下車。(このバスは東萩駅にも停車します)
(登場する生き物、植物) 火口:笠山の山頂。車で行けます。展望台もあります。
ヤブツバキ群生林:笠山の最も奥。虎が崎にあります。10ヘクタールの土地に2万5千本のヤブツバキがあります。遊歩道も整備されています。
コウライタチバナ:ミカン科の植物で、冬に実をつけます。笠山の他には韓国の済州島にしか自生していません。笠山に10数本があり、ツバキ林の東屋ふきんのものを撮影しました。
ヤサガタイトウムシオイ
ヤサガタイトウムシオイ:ツバキの半分腐った落ち葉を食べている直径2mmほどの小さなカタツムリです。笠山のほかには萩沖の肥島(ひしま)にしかいません。
明神池:海水の入る池で、海の魚が見られます。トンビが空を舞っています。近くに神社があり魚のえさとしてパンを売っています。
風穴(かざあな):岩の透き間から冷たい風がふいているところで、笠山の中に多数あります。撮影したのはツバキ園から山頂に向かう細い遊歩道のわきにあるものですが、明神池のすぐ裏にもあります。
寒地性の植物:風穴の周辺には暖地性植物の多い笠山のなかでここだけ寒地性植物が生えます。コタニワタリは全般で見られますが、ホソイノデは上記風穴の周辺ほか三箇所くらいでしか見られません。
笠山周辺の海:溶岩の磯はよい漁場です。クロアワビは通年。サザエは今が旬です。ほかにメガイアワビ、ナマコなども採れます。
海士さんは、萩の浅海漁船団の団長さんです。萩市内の許可をうけた海士さんが週に三日この海域で素潜りをしています。
ツバキに集まる鳥:メジロ・ヒヨドリがやってきます。雪の日はいっそうツバキの赤い色が目立つため鳥が多くきます。メジロは蜜を吸うために顔中花粉だらけになります。このことで受粉が進むのです。
(より詳細な情報の入手先 ) ●萩市観光課(現地へのアクセス情報・宿泊案内など総合情報)   0838-25-3131
●萩市郷土博物館(萩の自然・歴史全般に詳しい)         0838-25-6447
(担当者番組アピール) 放送の頃、ツバキ群生林では「萩・椿まつり」が開催されています。会期は3月20日まで。明神池の奥から無料シャトルバスも運行されています。「椿見どころ案内人」のご案内もありますので、是非お出かけ下さい。

ツバキ群生林のそばには漁協の店舗「つばきの館」もあってとれたてのサザエやイかの入った定食も販売しています。番組で海士さんがもぐって採っていた新鮮な海の幸は明神池のまわりにある食堂でも食べることが出来ます。

番組をご覧になった後は、溶岩と暖流の作った笠山の自然を見に萩まで遊びにいらしてください。

 

 

〜明神池にもぐった話〜


これが明神池です。


明神池は笠山を訪れた観光客が必ず立ち寄るスポットです。海の魚たちはよく人に慣れ、餌を与えると集まってきます。タイやエイなど見映えのする魚も多い池ですが、大切に守られてきたのは、池の端にある厳島神社の物という意識が強かったからでしょう。今回何年かぶりに水中撮影を行うにあたって、水の中がどうなっているのか地元の人に聞こうとしましたが、中に入ったことのある人はほとんどいませんでした。

さて撮影。私たちは近所の漁協に挨拶をし、神社にお参りをして池に潜りました。水はあまりきれいではなく撮影は難航しましたが、作業をしていると、近所の人たちが集まっては声をかけてくれたり、貴重な情報を頂いたりしました。

やはりおらが池のこと、作業の様子が気になったのでしょう。そうした人たちのご協力もあって撮影は無事終了し、今回の放送のはこびとなったのです。