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北海道・根室沖3キロに浮かぶ双子の無人島、ユルリ島とモユルリ島。夏、絶滅が心配される植物が花を咲かせます。ユルリ島ではかつて人間が持ち込んだ馬が野生化し、今は3頭が残っています。馬が背丈の高い草を食べるため充分な光を浴びた花々が草原に咲き乱れます。希少なエトピリカをはじめ、海鳥の一大繁殖地であるこれらの島では、一斉に鳥たちの子育てが始まります。ウミネコやウミウのヒナをオジロワシが襲い、命がけの攻防が繰り広げられます。

情報

語り 糸井 羊司(いとい ようじ)NHKアナウンサー
取材時期 2018年 7月
取材地 北海道根室市昆布盛より沖へ3kmのユルリ・モユルリ島および周辺海域
※調査研究目的以外での入島は禁止。今回の取材は海鳥の調査に同行する形で実施しました。
交通手段 落石ネイチャークルーズを利用する事で島周辺での海鳥観察が可能。(大人8,000円/小学生5,000円)
落石ネイチャークルーズ協議会(エトピリ館)根室市落石西112番地
中標津空港より車で2時間/たんちょう釧路空港より車で2時間30分/JR花咲線落石駅より徒歩30分
より詳細な情報の入手先 ■根室市歴史と自然の資料館 
 Tel:0153−25−3661(ユルリ島に関する情報全般)
■落石ネイチャークルーズ協議会
 Tel:0153−27−2772(ネイチャークルーズに関して)
登場する動物
  • カマイルカ
    体長170~240cm。日本近海で最も普通に見られるイルカの一つ。10~100頭ほどの群れで暮らしている事が多い。名前は背びれがカマのように見えることから。
  • オオセグロカモメ
    翼を広げると150cmほど。カモメの仲間の中では比較的大型。下のくちばし先に赤い斑点が入る。雑食性で、漁港の建物の屋根など、人間のすぐそばで営巣する事もある。
  • フルマカモメ
    翼を広げると110cmほど。カモメと名が付くが、カモメ科ではなくミズナギドリ科。北大西洋、北太平洋、北極海の海岸や島々で繁殖する。
  • ゼニガタアザラシ
    日本沿岸に定住する唯一のアザラシ。オスの大きいもので体長2m、体重170kgになる。オスは一年を通じて特定の岩場に上陸するが、メスは繁殖期以外は回遊する事が多い。
  • ユルリ島の野生馬
    かつてユルリ島が昆布干場として使われていた頃、漁期には人が住み込み、馬を使って断崖の上まで昆布を引き上げていた。時代が変わり干場としての島の利用が終わると人々は去ったが、馬を肉として売る事に抵抗を感じた漁師が、冬季の積雪も少なく、水と草の豊富なユルリ島に馬を残す事にした。良好な栄養状態のもとで馬は世代を重ね、最盛期には30頭が暮らしていた。近親交配を防ぐためにオス馬の入れ替え作業が定期的に行われた。2006年、漁師の高齢化に伴い全てのオス馬を引き上げ、14頭のメス馬が残された。馬は少しずつ数を減らし、2018年現在、3頭が残る。
  • ウミネコ
    翼を広げると130cmほど。日本各地の沿岸で周年見られる。オオセグロカモメに似るが一回り小さい。くちばしの先端が赤く、その内側に黒い斑点が入る。沿岸部の岩礁や草原に集団営巣地(コロニー)を作る。
  • オジロワシ
    翼を広げると200~245cm。世界中に2~4万羽ほどが生息、うち700~900羽が北海道~東北で越冬する。国内では北海道東部を中心に繁殖。主に魚や水鳥を食べる、海ワシの一種。
  • ケイマフリ
    チドリ目ウミスズメ科。体長40cmほど。名前の由来は「赤い足」を意味するアイヌ語。短い翼を使って水中を飛ぶように泳ぎ、魚やイカを捕まえる。断崖のわずかな隙間の奥などに営巣する。
  • エトピリカ
    チドリ目ウミスズメ科。体長40cmほど。繁殖期には目の後ろの飾り羽と鮮やかなくちばしが目を引く。世界には350万羽ほどが生息するが、国内での繁殖地はユルリ・モユルリ島のみ。同島はエトピリカの繁殖の南限にあたる。
  • ウミウ
    翼を広げると150cmほど。九州以北の海岸で局地的に繁殖。潜水して魚を捕る。羽はあまり水をはじかないため、潜水後に羽を広げて乾かす姿がよく見られる。
登場する植物
  • ミズゴケの仲間
    スポンジのように大量の水分を保持する事ができる。よく高層湿原を形成する。日本では47種が確認されており、ユルリ島では17種が確認されている。
  • ツルコケモモ
    主に亜高山帯~高山帯の湿原で見られる常緑小低木。草のように見えるが厳しい気候に適応して小さくなった樹木の仲間。果実はクランベリーとして食用にされる。
  • キヨシソウ
    海岸の湿った崖などに生えるユキノシタ科の多年草。国内ではユルリ・モユルリ両島と根室半島の一部でしか確認されておらず、絶滅が心配されている。
  • ハクサンチドリ
    ラン科の高山植物。花期は6~8月。茎の先端に赤紫色の花を多数つける。白花の個体はまれだが、ユルリ島には比較的多く生育する。理由は不明。
  • シコタンキンポウゲ
    海岸近くの草原、砂地など開けた場所に生育する。茎の高さは20cm~50cm、花の直径は2cmほど。黄色い花びらには強い光沢がある。

取材日記



今回、特に印象的だったのは、オジロワシから懸命に子供を守ろうとする海鳥たちの姿でした。ユルリ島とモユルリ島では近年オジロワシが急増していて、海鳥の繁殖への影響が心配されています。多い時など一度に20羽を超えるオジロワシがウミネコの繁殖地の周りを飛び交っていました。2つの島が海鳥の一大繁殖地と聞いて、反射的に「海鳥の楽園」というイメージを抱いていましたが、実際には命がけの壮絶な子育てが行われていたのでした。そうした厳しい環境の中で、我が子を守るため懸命に戦う親鳥の姿を見て、子を思う親の気持ちは人も鳥も同じなのだな、と感慨深いものがありました。
他にも、国内ではここでしか繁殖しないエトピリカがその数を減らしていたり、3頭だけ残った馬が植生に影響を与えていたりと、今まさに大きく変わりつつある島の姿を今回撮影できた事は、大変意義深いものでした。希少な自然を守るために自分に何ができるか、今一度立ち止まって考えたいと思います。
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