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神奈川県西部の箱根町に広がる緑の大地、仙石原。広さ約25ヘクタールで、ススキ草原の中にヨシの湿原が点在しています。湿原の周りには、湿った土壌を好むハンノキの林があります。多様な緑の環境が、数多くの貴重な野の花と生きものを育みます。湿潤な夏、ノハナショウブやミズチドリが湿原で咲き誇り、ハンノキ林では、青緑色に輝くチョウ、ミドリシジミが成長します。ススキ草原では、繁殖期を迎えたセッカが飛び回ります。やがて秋、ススキの穂に覆われた仙石原一帯は、黄金色に染まります。春から秋、劇的に変わる仙石原の自然を舞台に、命の営みを見つめます。

番組内容

緑の大地に広がる湿原

仙石原の低地には、周囲の山々から湧き水が一年中枯れることなく注ぎ込みます。

早春の山焼き

草原や湿原の環境を維持するため、年に一度、ススキやヨシの枯れ野が焼き払われます。 貴重な植物を守るために20年以上に渡って行われている取り組みです。

湿原に育つ植物

春一番、野焼き後の湿原に現れるのがかれんな花を付けたツボスミレ。丈の長い植物が取り除かれ、日光が地面にまで届くようになったことで芽を伸ばします。

初夏のハンノキ林

湿原の周りにあるハンノキの林。湿った土壌を好む落葉樹です。 柔らかくて新鮮な葉を糧にする貴重なチョウが生息します。

森が育む“緑の宝石”

幼虫がハンノキの葉を食べて成長するミドリシジミ。求愛期になるとオスたちの縄張り争いが見られます。

黄金色の絨毯(じゅうたん)

朝日に反射して黄金色に輝くススキの穂。秋のほんのわずかな期間にしか見られない絶景です。

情報

語り 森山春香(もりやまはるか)アナウンサー
取材時期 2013年3月上旬〜11月下旬
取材地 神奈川県箱根町仙石原
交通手段 ■アクセス
小田急線「箱根湯本駅」から箱根登山バス「桃源台」ゆき。「仙石高原」バス停下車。約30分。
新宿駅から小田急箱根高速バスに乗車。「仙石高原」バス停下車。約2時間。
■車でのアクセス
東名高速道路 御殿場ICより国道138号線経由で約30分。
より詳細な情報の入手先 箱根町立箱根湿性花園   TEL:0460-84-7293
箱根町総合観光案内所   TEL:0460-85-5700
登場する動物
  • キジ
    キジ科。仙石原で鳴き声を普通に耳にする。ススキが伸びると姿はなかなか見られない。
  • ホオジロ
    ホオジロ科。平地から山地の草原、農耕地などに生息。仙石原ではススキ草原で見ることができる。
  • セッカ
    セッカ科。オスは縄張りの上空をさえずりながら羽ばたいて、波状飛行で飛び回る。仙石原では、繁殖期を迎えた夏によく見られる。
  • ホオアカ
    ホオジロ科。全長16cm。ススキ草原内に点在する枯れた低木などに止まってさえずる。
  • ツマグロヒョウモン(メス)
    タテハチョウ科。山地の明るい草原に生息。幼虫はスミレ科の葉を食べて成長する。関西以西が分布域だったが、温暖化の影響などによって関東でも見られるようになった。
  • オオウラギンスジヒョウモン
    タテハチョウ科。鮮やかな山吹色。低山帯から山地の草原などでよく見られる。
  • キアゲハ
    アゲハチョウ科。大型のアゲハチョウ。全国の平地の土手や山地の草原でよく見られる。
  • ミドリシジミ
    シジミチョウ科 幼虫はハンノキの葉を食べて成長。仙石原では他より一か月遅く、7月上旬に姿が見られる。
登場する植物
  • ツボスミレ
    スミレ科。別名ニョイスミレ。平地から山地まで湿った草地や林内に生える多年草。花はやや小さく白色。
  • ミツバツチグリ
    バラ科。葉が3枚で、土栗というキノコに似ていることからこの名がついたとされる。
  • ヨシ
    イネ科。全国各地の湿地や河川敷に分布する。仙石原では地下水の流れにそって群生する。
  • サギスゲ
    カヤツリグサ科。白い綿毛が花に相当する。仙石原では10年ぶりに開花が確認された。
  • ハンノキ
    ハンノキ科。湿った湿地や水辺などに生える落葉高木。全国各地で湿原の減少によって、失われている。
  • ノハナショウブ
    アヤメ科。日本を代表する古典園芸植物ハナショウブの原種。昔から、日本に自生していたと考えられている。
  • クサレダマ
    サクラソウ科。草丈が80cmほどになる多年草。直径1.5cmほどの小さな黄色い花を多数つける。
  • ミズチドリ
    ラン科。湿原に自生するランの一種で白い花が穂状につく。各地で絶滅が心配されている貴重な多年草。
  • サワギキョウ
    キキョウ科。秋の仙石原の湿原を代表する多年草。紫色の花びらが深く切れ込む。
  • ワレモコウ
    バラ科。日当りのよい草地に生え、枝先に暗紅色の小さな花が多数集まった穂をつける。
  • オミナエシ
    オミナエシ科。秋の七草の一つで草丈は1mにもなる。全国各地で絶滅が心配されている。
  • アケボノソウ
    リンドウ科。花は星型。花弁にある黄色い斑点は蜜腺でアリなどの昆虫が群がる。
  • ススキ
    イネ科。仙石原を代表する植物。昔からかやぶき屋根の材料や牛馬の飼料として人々に大切に利用されてきた。

取材日記





「首都圏にありながら、これだけ貴重な緑の環境やいきものが残っているなんて…」箱根・仙石原の自然を最初に知ったときの印象です。調べていくと二つのことがその成り立ちに深く関わっていることがわかりました。一つは火山活動。その昔、火山の噴火によって山が崩れ、砂やれきが堆積して今のススキ草原の斜面が出来ました。くぼ地にある湿原は、中央火口丘の山々から流れ込むわき水が潤します。そしてもう一つは、人の営みです。ススキやヨシをかやぶき屋根の材料などに利用するため、草原や湿原が維持されてきたのです。現在、自然環境を守る取り組みは、山焼きや植生調査などに受け継がれています。地元の人たちが定期的にボランティアで仙石原の植物、鳥、昆虫の状況を見守っているのです。今回の取材も、地元の人たちや隣接する湿性花園の方々のご協力を仰ぎながら春から秋まで長期間に渡って、行ってきました。日本各地から徐々に姿を消しつつある草原や湿原という生態系を守るためにも、より多くの人たちに仙石原の自然に興味・関心を持っていただけると幸いです。また番組をご覧になって、もし現地へ行かれる際には、秋のススキ草原だけでなく、夏の湿原に咲くかれんな野の花にもじっくりと目を向けてもらいたいと思います。
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