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    トップページ >これまでの放送 高知 三嶺山麓の森

四国山地の東部、高知県と徳島県の県境にそびえる三嶺(さんれい)は、標高1893mの山です。人工林が多い四国の中で、三嶺周辺は豊かな自然林が残っている地域です。麓から中腹にかけてはツガやモミの森が、中腹より上にはブナやウラジロモミの森が広がります。春から夏にかけて、森ではウグイスやオオルリなどさまざまな鳥たちのさえずりが響き、稜線部では高山植物のコメツツジが白い花を咲かせます。春から夏、四国有数の自然林が広がる三嶺を訪ねます。

番組内容

緑豊かな山 三嶺

自然林が多く残る三嶺。高知県の人は「さんれい」、徳島県の人は「みうね」と呼んで親しんでいます。

春に咲く花 ユキモチソウ

春から、様々な植物が花を開きます。稀少な植物も多く、これは絶滅が危惧されるユキモチソウ。雪のように白く、餅のように柔らかい花です。

鳴き声を響かせるオオルリ

4月中旬から、ウグイス、オオルリ、キビタキなどが盛んに鳴き声を響かせます。この周辺で見られる野鳥はおよそ90種類にも上ります。

枝を広げるブナの木

初夏になると様々な樹木が若葉をつけます。冷温帯の樹木から、比較的暖かい場所の樹木まで、多様な樹木が森を形成します。

ミヤマクマザサと三嶺山頂

山頂付近には高い樹木はなく、ミヤマクマザサとコメツツジが群落を作っています。この群落は国の天然記念物にも指定されています。

エサを探すツキノワグマ

四国では絶滅のおそれがあるツキノワグマ。研究者によるとその数は30頭未満。ブナの林に好んで訪れます。

巣にエサを運ぶヒガラ

夏になると鳥たちは子育てに大忙し。ウラジロモミの森でヒガラがエサを巣に運んでいました。

情報

語り 黒岩 泰子(くろいわ やすこ)
取材時期 2009年4月〜7月
取材地 西熊渓谷・三嶺周辺の自然林の森(高知県香美市《旧物部村》)
※動植物の具体的な取材場所は、保護のためお伝えできません。
交通手段 三嶺周辺へは、高知空港やJR高知駅などから車を利用(登山口までそれぞれから2時間半ほど)。公共交通機は少ないので、レンタカーかタクシーが便利。「光石登山口」から山頂まで4時間半〜5時間程度。
より詳細な情報の入手先 香美市地域振興課 0887−58−3111
http://www.city.kami.kochi.jp/kanko/nishikumakeikoku.html
登場する植物
  • トチノキ
    落葉高木。幹周り5メートル、推定樹齢250年の巨木が残る。
  • トリガタハンショウヅル
    高知県で最初に発見されたつる性の低木。日向に黄緑の花を咲かせる。
  • ヤマトグサ
    花びらのない花。高知出身の牧野富太郎が植物学者として初めて名前をつけた植物として知られる。
  • ブナ
    冷温帯の樹。この森では標高1200メートルを超えるところに見られる。
  • アサガラ
    湿ったところに生える木。夏につける白い花が落ちるようすが雪のように美しい。
  • ギンリョウソウ
    湿気と日陰を好む。別名「ユウレイダケ」。沢近くの岩陰に咲いていた。
  • ミヤマクマザサ
    四国の山の、標高の高いところに特徴的に群生するササ。
  • コメツツジ
    これも、標高の高いところに群生する。夏に小さな白い花をつける。ミヤマクマザサとともに天然記念物に指定されている。
登場する動物
  • ウグイス
    春になると盛んにさえずりを響かせる。この森の周辺では夏まで毎日のようにあちこちでさえずりが聞こえる。
  • オオルリ
    4月中旬に南の島から帰ってくる。このさえずりも独特で美しい。見通しのいい樹木の上によくとどまる。
  • カケス
    求愛給餌をしていると思われる行動が見られた。他の鳥の鳴き声を真似ることも。
  • キビタキ
    黄色い体毛が鮮やかな鳥。高温の鳴き声が美しい。ブナの木を好む。
  • ニホンカモシカ
    特別天然記念物。四国には割と数が多い。本州のものより体毛が少し黒っぽいのが特徴。 人見知りしないのか、時々崖から顔をのぞかせていた。
  • ニホンザル
    森の中で群れを作って行動する。
  • ニホンジカ
    この周辺で最もよく出会う動物。早朝からエサを求めて盛んに移動する。近年数が急増している。
  • ツキノワグマ
    四国では数は少ない。本州のツキノワグマと遺伝的に少し違うという研究も。人前に姿を現すことは滅多にない。
  • コゲラ
    小さなキツツキ。樹木のエサを獲るためか広葉樹を盛んにつつく。
  • ヒガラ
    ウラジロモミの森に好んで棲む。樹洞の巣に盛んにエサを運んでいる姿が見られた。

取材日記





高知県は県土の84%を森林が占める(全国第一位)森の里です。ただその4分の3以上は人工林。人の手が入っていない森はそれほど多く残されていません。その中で自然豊かな森を探してみたところ、山登りが好きな人がそろって薦めてくれたのが三嶺でした。取材を進め、四国では数が少ないツキノワグマがこの周辺に生息することを知りました。そして3月、研究者の方から「ツキノワグマが冬眠していると思われる樹洞が見つかった」との連絡が入りました。「冬眠から醒める様子を撮影できたら貴重な映像になる!」と意気込み、3月下旬、準備をすべて整えて険しい山を3時間ほど登ってみると…すでに樹洞から出た後でした。気持ちを改めて4月から樹木や花、鳥などの動物の撮影に入りました。驚かされたのはその多様性です。季節によって森の表情が変わるのがとても印象的でした。一週間おいただけで風景が変わることも。自然林の豊潤さに圧倒された5ヶ月間でした。
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