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富山県魚津(うおづ)市を流れる片貝(かたかいがわ)は、北アルプスから富山湾まで、2000m以上の落差をわずか27kmで流れ下る日本有数の急流河川です。万年雪を水源にする激流は山を削り、巨石が転がる深い谷を刻みました。この谷には、巨石の上に根を張り、幹が複雑に重なる「洞杉(どうすぎ)」と呼ばれる樹齢500年近い杉の巨樹が集まる森があります。また、川に転がる岩や石は、イワナなどの川魚にとって格好の隠れ家にもなりました。梅雨、河原の石の上に繁殖期を迎えたカジカガエルが顔を出し、涼やかな鳴き声を響き渡らせます。激しい流れが独特の生態系を育んできた片貝川の自然をみつめます。

番組内容

日本有数の急流 片貝川

標高2000mを超える北アルプスの源流部から富山湾へ注ぐ河口まで、僅か27kmで流れ下る急流河川です。

源流部の万年雪

源流部の1つ毛勝山(けがちやま)には、一年中雪が消えることはありません。万年雪が片貝川の水源なのです。

巨樹の森 洞杉

激流が運んできた巨石の上に根を張る杉の巨樹を、地元では洞杉と呼んできました。流域ではこうした洞杉が120本以上確認されています。

ニッコウイワナ

石が転がる場所をすみかにするニッコウイワナは、雪解け水が運ぶ水生昆虫をエサにしています。

石の下に潜むカジカ

急流が細かい砂を流し去って残った石の隙間をすみかにするカジカ。雄は石の下に縄張りを作り、雌がやってくるのを待ちます。

カジカガエル

涼やかな鳴き声を出すのはカジカガエルの雄です。繁殖期に、雌を呼ぶために河原に転がる石の上で鳴きます。

洞杉に着生する植物

洞杉の幹にできたくぼみにタネが落ち、成長した木々があります。ヤマウルシやコシアブラが多く見られました。

大きな口を持つオタマジャクシ

カジカガエルのオタマジャクシは、流されないよう大きな口で石に張り付きます。この口で石に生えた藻を食べながら成長します。

情報

語り 江崎 史恵(えざき しえ)アナウンサー
取材時期 2008年6月
取材地 富山県魚津市内 片貝川流域。
富山県の「片貝県定公園」、及び「中部山岳国立公園」内含む。上流域での撮影は、東又谷、南又谷、阿部木谷の川や自然林。
※洞杉の撮影は、私有林の所有者や地元森林組合、林野庁の協力・許可の、もとで行いました。
※動植物の具体的な取材場所は、保護のためお伝えできません。
交通手段 片貝川へは、JR北陸線・魚津駅や、北陸自動車道・魚津I.Cから車で。上流域への公共交通機関はないのでレンタカーかタクシーが便利。ただし、上流部への林道は冬期閉鎖(11月半ば〜5月下旬、積雪状況で期間は異なる)
より詳細な情報の入手先 魚津市みどり保全課 0765−23−1036
魚津水族館 0765−24−4100
登場する植物
  • 洞杉
    立山山麓に多い「タテヤマスギ」の種類。岩に根をはり、幹が幾重にも分かれる不思議な形をしている。幹周りが5〜8mが多く、樹齢は500年ほどと考えられているが、詳しくはまだ分かっていない。
  • エゾアジサイ
    アジサイの野生種。日本海側でよく見られる。
  • ヤマウルシ
    山地のガレ場の日当たりの良い場所を好む低木(3〜8m)。秋には黄赤色の紅葉をする。
  • コシアブラ
    手のひらのように5枚の葉があるウゴギ科の木。山地に自生し、秋には黄色く紅葉する。
  • オンタデ
    タデ科の高山植物。御嶽山で発見されたことでこの名がつく。この辺りでは8月に白い花を咲かせる。
  • アシボソスゲ
    標高2000m近い高山帯で見られる高山植物。黒っぽい穂の部分は果穂になっている。
  • シナノナデシコ
    長野県(信濃)に多いことから名付けられた。山合いを流れる川の岸によくみかける草花。
登場する動物
  • ニッコウイワナ
    イワナ属。体に白い斑点があるのが特徴。片貝川には上流部を中心におおく生息している。
  • カジカ
    カジカ科の魚。川で一生を暮らす「大卵型」と海へ回遊する「小卵型」の2種類がある。番組で紹介したのは「大卵型」。
  • カジカガエル
    渓流に多いアオガエル科のカエル。涼しい鳴き声で知られ、鳴くのは雄だけ。繁殖期は5月〜8月頃。
  • オオルリ
    東南アジアで越冬して日本へ渡る渡り鳥。青色なのは雄。渓流沿いの森林に多く見られる。 

取材日記





片貝川は決して生き物が多い川ではありません。一方で、急流が運んだ岩や石をうまく利用する自然のたくましい姿に出会うことができました。
印象深かった洞杉の森は、地元の方々が大切にしてきた森です。江戸時代には加賀藩が厳しく伐採を禁じた歴史もあり、現在は、洞杉を含む流域を県定公園として新たな時代を迎えています。
万葉集に「可多加比(かたかひ)川の清き瀬」と詠まれた片貝川。取材中に訪ねた河口でも、その水の透明さ、雪渓を思い出させる冷たさに驚き、改めて北アルプスと富山湾を駆け下る壮大な地形を思い浮かべました。
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