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北アルプス 槍ヶ岳(2003年2月9日放送)

日本の屋根、北アルプス。その一角に、天を突く鋭峰、槍ヶ岳があります。槍ヶ岳は標高3,180mの高さと、氷河に刻まれた険しい山肌をもちます。そして、一年の半分は雪に閉ざされます。でも、そんな厳しい自然環境のなかでも、ライチョウをはじめ様々な生きものたちが逞しく暮らしています。なかでもニホンザルは、夏の間、高山の食べものを求めて生息場所の森を抜け出し、森林限界を越えた標高3,000mの山頂付近までやって来るのです。

夏から冬まで、槍ヶ岳の自然と、そこに生きる生きものたちの営みを見つめます。

番組内容

槍の穂先は氷河が造った大自然の彫刻です。

ハイマツの実を割って中の種だけを食べるホシガラス。

高山生きぬく孤高の鳥ライチョウ。

夏、森を抜け出し標高 3000m付近にあらわれたニホンザル。 一体なぜ?

秋、槍沢にナナカマドの紅葉が輝きます。

冬、白一色の北アルプスに槍の穂先がぽつんと浮かびます。

情報

語り 館野直光アナウンサー
取材地 槍ヶ岳(主に山頂周辺、槍沢、東鎌尾根、西岳)、燕岳、高瀬渓谷他
      ※上記の所在地…長野県大町市、安曇村、岐阜県神岡町
  • ○北アルプス
    本州中部の山岳地帯の北部、新潟、富山、長野、岐阜の4県にまたがり飛騨山脈とも呼ばれ、南北約70km、東西約25kmに及びます(裾野を入れると南北105kmとする説もある)。立山(3,015m)、白馬岳(2,932m)、奥穂高岳(3,190m)など、日本の標高3,000m級の山の半分が集まる大山脈。多雪地帯に加え、氷河浸食による深い谷や険しい峰が顕著。
  • ○槍ヶ岳
    標高3,180mは日本で5番目の高さ。槍の穂先のような三角錐の頂上を携え、その勇壮な姿から、北アルプスの象徴といわれています。氷河浸食による険しい山肌が特徴。山頂の穂先や東西南北に十字に走る岩尾根(鎌の刃を逆さにしたように切り立っている東鎌尾根、北鎌尾根など、)も氷河に周囲を削り取られた後の姿。
  • ○槍沢
    槍ヶ岳の南東斜面、東鎌尾根と穂高連峰へ続く南主稜線の間の、広く開けた谷。典型的な氷河浸食によるU字谷で、所々に氷河に運ばれ堆石(モレーン)が見えます。槍沢の細い流れは、やがて梓川へ流れ込みます。
取材時期 2002年6月末〜12月末
交通手段 松本電鉄で松本駅から新島々駅へ。そこから松本電鉄バスで上高地バスターミナルまで移動。上高地からは梓川沿いに登山道を徒歩でのアクセスとなります。上高地バスターミナルから、明神、徳沢、横尾、一ノ俣を経て槍沢ロッジまで約5時間。その槍沢ロッジから、水俣乗越分岐、そして山小屋のヒュッテ大槍、殺生ヒュッテ、槍ヶ岳山荘を過ぎ、槍ヶ岳山頂まで約5時間です。合計で約10時間ですので、通常、途中宿泊をします。登山計画をきちんと立てた上でのアプローチが望ましいと思います。とはいえ、山小屋も多く、ルートもしっかりしているので、現在では、多くの人々が夏山登山に訪れます。
  ※山頂までは「中房温泉→燕岳→槍ヶ岳」「新穂高温泉→槍平→槍ヶ岳」など、他にも整ったルートがあります。取材では上高地からアプローチしました。
より詳細な情報の入手先 ◆大町山岳博物館 TEL:0261-22-0211
◆北アルプス大百科(岩橋崇至/TBSブリタニカ)、週刊日本百名山 槍ヶ岳(朝日新聞社)、アルペンガイド 上高地・槍・穂高(山と渓谷社)、花の山旅 槍ヶ 岳・雲ノ平(三宅 岳/山と渓谷社)、日本の高山植物(山と渓谷社)他
登場する風景
    ※番組では、コメントで名称には触れず、内容だけを紹介しました。
  • 「氷食先鋒」
    槍ヶ岳の三角錐の山頂は、氷河が硬い岩石を残して周囲の軟らかい岩石だけを削り取ったもの。スイスのマッターホルンなどがその典型例。
  • 「U字谷」 
    槍沢はの地形はU字谷と呼ばれます。氷河浸食により、えぐり取られた跡はまるで英語のUの字のように広く開けています。ちなみに河川による狭い谷は、V字谷。
登場する植物
  • シナノキンバイ
    雪渓(雪田)跡などに大群落をつくる。花びらのように見えるのは、実は五枚のがく。おしべの間のへらの形をした部分が本当の花びら。
  • ハクサンフウロ
    高山草原のお花畑でよく見かける紅紫色の花。日本固有種。葉は秋になると紅葉します。
  • チングルマ
    高山植物を代表する花。高山の雪渓跡など、湿った場所に大群落をつくる。名前は、実が子供が遊ぶ風車(稚児車)に似ることにちなんでいます。
  • ハイマツ
    日本の高山の2500m〜3000mに分布。風が強く、積雪も多い場所に育つため、その名の通り地を這うように低く広がり夏に稔ったハイマツのマツカサ(球果)は、一冬越した翌年の秋にならないと成熟しません。
登場する動物
  • ホシガラス
    スズメ目カラス科。亜高山帯で繁殖し、夏から秋は高山帯にたってきます。お目当てはハイマツのマツカサ。器用に中の種を取りだして食べます。自ら発芽しにくく、離れた場所への種子散布も難しいハイマツとっては、分布拡大に はなくてはならない存在。
  • ライチョウ
    ライチョウ科。本州中部の高山帯のみ生息する。日本の特別天然記念物。ハイマツ帯を生息場所とし、植物の葉や実、昆虫を食べます。氷河時代から生き続ける鳥で、極寒の冬を含め一年を通して高山で暮らします。
  • ニホンザル
    オナガザル科の日本特産のサル。体長50〜60cmで尾が短い。本州、四国、州に分布。今回、取材したニホンザルは秋・冬・春の生息場所が標高1400mの高瀬渓谷。夏には槍ヶ岳の山頂、3000m付近まで、短い夏に一斉  に芽吹く植物を求めて遊動する。標高差にして、1600mも垂直移動する希有な存在。

取材日記





槍ヶ岳の魅力は何といっても、天空を鋭く突く、あの槍の穂先です。一度見たら、どうしても登頂したくなる“不思議なチカラ”を持っています。でも、今回、さらに心惹かれたものがありました。それは、生きものたちの“逞しく生きるチカラ”です。一年の半分を雪に閉ざされる槍ヶ岳。その槍ヶ岳の短い夏の間だけ、芽を出し、花を咲かせ、実をつける様々な植物たち。そして、その植物を求めてはるばる高山にやってくる動物たち。厳しい自然環境に負けることなく、かえってピンチをチャンスに変える生きものたちの力強さには、多くのことを学ばされました。夏から秋、そして冬。表情豊かな槍ヶ岳の美しい姿ととともに、ぜひ、お楽しみください!
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