北海道 忠類川(2007年2月11日放送)



忠類川は、北海道・知床半島の付け根近くを流れ、根室海峡へと注ぐ川です。全長は約35km。「チュウルイ」とは、アイヌ語で「激しい流れ」を意味します。短いながらも急な流れが続く川で、秋になると多くのシロザケが河口近くで産卵します。水辺でいのちをつなぐ生き物たちを通して、忠類川を見つめます。

流れの速い忠類川
金山の滝
上流にはその名の通り急な流れが続きます。

カワガラス
カワガラス
ニホンザリガニ
ニホンザリガニ
川には、カワガラスやニホンザリガニなどといった貴重な生きものがすんでいます。

河口の産卵
河口の産卵
秋が深まる頃、河口ではシロザケが産卵のピークを迎えます。

シロザケの産卵
シロザケの産卵
河口から300mほどで産卵するシロザケです。

ユリカモメ
ユリカモメ
河口でユリカモメがサケの卵を食べていました。

冬の川と斜里岳
冬の川と斜里岳
厳しい寒さの中でも、タンチョウやオオワシなど多くの生き物が川をよりどころにしています。


語り 上野 速人アナウンサー
取材地・取材時期
交通手段
●取材地 : 北海道・東部 標津町を流れる「忠類川」  
●取材時期 : 平成12年10月上旬・平成18年10月23日〜29日・平成19年1月9日〜13日
●交通手段 :
◇車 → 釧路〜忠類川 約2時間20分
◇飛行機 →中標津空港 空港から車で約40分
登場する地形
動物・植物
登場する地形
●忠類川 : 北海道・根室地方の標津町を流れる全長およそ35kmの川です。斜里岳(1,545m)・俣落岳(1,003m)などを水源とし、知床半島の付け根近くを流れ根室海峡に注いでいます。初夏にサクラマス、晩夏にカラフトマス、秋にシロザケと、多くのサケの仲間が遡(そ)上してきます(忠類川のシロザケは、9月〜1月頃まで遡上が続き、多い年で1万匹以上のサケが産卵します)。
●金山の滝 : 忠類川の中ほどにある滝。隣り合うように2つの滝があり、あわせて金山の滝と呼びます。国道244号線沿いに展望台があります。
●根室海峡 : 忠類川が注ぐ海。北海道東部の納沙布岬と知床岬を結ぶ海峡で、対岸は北方四島の国後島。秋のサケの定置網漁や冬のスケソウダラ漁などが盛んで、北海道でも重要な漁業水域のひとつになっています。2月には流氷もやってきます。
●斜里岳 : 標高1,545m。知床半島の付け根にある火山のひとつです。多くの登山客に親しまれている山です。
●朝日の蜃気楼 : 密度の異なる大気中で光が屈折して起こる現象。ゆがむ朝日は、上位蜃気楼(じょういしんきろう)といわれます。このタイプの蜃気楼は珍しく、日本ではオホーツク海沿岸から根室海峡、富山湾周辺、琵琶湖周辺の3箇所で確認されています。根室海峡で朝日がゆがんで見えるのは、気温と海水温の差が大きいときで、晩秋から冬の急激に冷え込んだ朝や、春、気温が急に上昇したときなどです。
登場する動物
●カワガラス : スズメ目カワガラス科。全長は約22cm。丸みを帯びた体型で、全体にチョコレート色をしています。おもに河川の中〜上流部、山地の渓谷などをすみかとしています。水に潜ることが得意で、水生昆虫や小魚などを捕まえて食べます。
●ユリカモメ : チドリ目カモメ科。全長は約40cmで、翼を広げると約92cm。春や秋に海岸や港、河口や湖沼に渡来する旅鳥。冬羽は頭部から体下面が白く、目の横に黒斑があります。くちばしは赤く先端は黒。足は赤色をしています。河川沿いに内陸部へ入り込むこともあります。忠類川では、秋、河口近くに多く集まり、ホッチャレ(サケの死骸)やサケの卵を食べます。
●タンチョウ : ツル目ツル科。全長145cmの日本最大の鳥。おもに北海道東部の湿原に生息し、冬季は河川や湖沼の不凍部分で越冬します(近年は鶴居村・釧路市阿寒町などの給餌場に多くが集まります)。淡水魚や小動物・水生植物の根などを食べます。忠類川が流れる標津町には毎年飛来し、忠類川でもたびたび姿が確認されています。
●オオワシ : タカ目タカ科。全長は88〜102cm。大きな黄色いくちばしと、体の白黒の模様が特徴の大型のワシです。サハリンなどから初冬に北海道に渡ってきて、大半は北海道東部の沿岸や大きな河川・湖沼で越冬します。魚類を主食とし、初冬はサケの遡上する河川でホッチャレなどを食べます。厳冬期は、流氷の上でよく見られ、漁の網からこぼれた魚を食べます。忠類川には、11月下旬頃に姿を現し、12月には20羽以上が集まります。
●シロザケ : 代表的なサケ。全長は70cm前後。2年から6年ほどベーリング海や北太平洋などで成長し、秋に生まれた川に帰ってきて産卵をします。成熟し、産卵が間近になると、オスは鼻が曲がり、メスは体に幅広い黒帯が明瞭になってきます。産卵場所は、適度な石があり、水の流れがよい川底です。メスは約3000個の卵を、3〜5回に分けて産みます。産卵が終わると、約1〜2週間ほどで寿命が尽きます。卵は、およそ2ヶ月で孵(ふ)化し、孵化後2〜3ヶ月は砂れきの中で過ごします。
●オショロコマ : イワナの仲間で、体には白や赤の斑点があります。日本では北海道だけに分布し、大雪山や日高山脈、道東の阿寒から知床半島にかけて見られます。とりわけ知床半島の川に多く生息しています。おもに水生昆虫などを捕食します。冷たい水を好み、水温20度を越える川ではほとんど見られません。
●ニホンザリガニ : 北海道と東北北部にしかいないザリガニ(南限の秋田県大館市では天然記念物に指定されています)。きれいな水でしか生きられないデリケートな生き物です。近年は、外来種のウチダザリガニなどの影響や、生息域の減少などによって、絶滅が心配されています。
●トビケラ : トビケラ類の幼虫は水中で生活をし、多くが巣を作ることで知られています。
より詳細な情報の
入手先
◇標津町役場 
TEL : 0153−82−2131
◇標津サーモン科学館
TEL : 0153−82−1141


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