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インタビュー

真田の家長・昌幸役の草刈正雄さん。
30年前の経験を交え、『真田丸』の魅力を語ります!

 

30年前の『真田太平記』との奇縁

僕が『真田太平記』(1985年)に真田幸村(信繁)役で出演していた時、昌幸役は丹波哲郎さんでした。今回、『真田丸』での昌幸役の話を聞いた時は驚きました。丹波さんが昌幸役をやっていた年齢は、くしくも僕と同じ63歳。丹波さんの昌幸はインパクトがあり、とてもいい味を出されていましたからね。イメージがずっと強く残っていました。

しかし脚本が来て、読んでいくうちに、そのイメージはちょっとずつ離れていきました。脚本の三谷幸喜さんからは「丹波さんを超えようね」と言われました。「がんばります!」というところです。セリフは大変ですけれど、脚本がとにかく楽しい。60歳を過ぎて、こんなにやりがいのある大役…しかもオイシイ役をいただいて、本当に感謝しています。

同じ真田家を描いていますが、二つの作品はまるで違うもの。丹波さんの昌幸は、丹波さん自身がとても明るい人でしたから、持っている明るさが出た昌幸像でした。僕は根暗なので、その辺りもまったく違います。持っている性格というのは画面に映ってしまうもの。三谷さんは、俳優さんのことが大好きなのでしょうね。僕をはじめ、皆の特徴をよく捉えていて、俳優のいい部分を引き出してくれます。だから俳優は変に無理せず、淡々と芝居をしてもいい。それで成り立つところがすごい。三谷作品を演じることは役者冥利(みょうり)に尽きます。

「勘だけで生きている」昌幸と重なる

昌幸は僕に重なるところがたくさんあります。例えば、セリフにもある「勘だけで生きている」ところだとか。言うことがガラリと変わったり、開き直ったり、「えっ、こんな人だったの?」と皆に驚かれています。昌幸の多面性は、僕自身、とても共感できます。おそらくそれは、僕の中にもあるのでしょう。人間の持っているさまざまな矛盾が昌幸の中にたくさんあります。そういった面がこの先どう描かれるのかも楽しみだし、これからどんなことをして亡くなるのか、演じる僕自身が楽しみでなりません。

僕は細かく芝居を作り上げるタイプではなく、ざっくりとやるタイプ。計算することなく、自然に、素直にやってしまいます。ここも昌幸と似ているのでしょう。自分では気付かない部分も、これからもっと出てくるのでしょうね。それも楽しみです。

美術スタッフも昌幸像を細かく考えてくれています。インパクトのある毛皮姿。愛用の肘掛けにも毛皮が使われています。毛皮が好きなんですよ、昌幸は。撮影に入る前、メイク、衣裳などの扮装をして鏡の前に立った瞬間「昌幸、いるじゃないか」と感じました。ありがたいです。

実は自分の演技をモニターで確認したくありません。出来上がった作品も、ここ10年ほど見ていません。多分、気が小さいのでしょうね。気になったことを長く引きずるので、見ないことにしました。『真田丸』では脚本、スタッフともに信頼していますし、心から大丈夫だと思えます。

僕は細かく芝居を作り上げるタイプではなく、ざっくりとやるタイプ。計算することなく、自然に、素直にやってしまいます。ここも昌幸と似ているのでしょう。自分では気付かない部分も、これからもっと出てくるのでしょうね。それも楽しみです。

二人の息子は仲が良くて

時代劇は「お芝居をしている」という実感が得られ、言い表せないような大きな魅力があります。ただ、こんな外国人顔でしょ(笑)? ずっと時代劇の話は来ないと思っていました。それが大河ドラマでは『風と雲と虹と』(1976年)以来、今回で7作目。他にもNHKでは長く時代劇をやらせてもらっています。
他人より準備に時間がかかるので、この大役のためには早くから準備をしていました。でも、資料はざっくりと調べた程度。役を楽しめる態勢でクランクインしたいと思っていました。

1年という長丁場ですから、撮影初日はスタッフと出演者、皆、熱い気持ちにあふれていました。共演経験の有無に関わらず、いろんな方たちと一緒にできて、役者をやっていてよかったなと思います。現場では皆、いろいろアイデアを出し合っています。草笛光子さんが演じる“ばば様(とり) ”を昌幸が救出する場面があるのですが、そこで昌幸は頬を叩かれます。そして昌幸は、息子の信繁の頬を叩く。こういうちょっとした仕草や癖を代々受け継いでいくと面白いかな、と思い、それぞれが細かく芝居に取り入れています。

最初の方で息子2人と昌幸が絡む長い場面があって、そこで「これだ」という手応えを感じたのがよかったですね。最後まで楽しめそうな予感がして、どんな手ごわいシーンでもやれそうな気になりました。
堺雅人さん(信繁役)、大泉洋さん(信幸役)、2人が育っていくのがものすごく楽しみです。兄弟2人がね、とても仲がいいんです。僕の入る余地がないくらい(笑)。いつも僕は2人の話をニコニコ聞いています。たまに遊んでくれますけれどね。

他の多彩な俳優陣とともに、スタッフの愛情をいっぱいに感じながら、僕たちは『真田丸』を作っています。三谷さんには昌幸を楽しく描いていただいたのだから、楽しく演じなければいけないと思っています。芝居で恩返しをしなければ。このドラマ、ぜひ楽しんで見てください。

最初の方で息子2人と昌幸が絡む長い場面があって、そこで「これだ」という手応えを感じたのがよかったですね。最後まで楽しめそうな予感がして、どんな手ごわいシーンでもやれそうな気になりました。
堺雅人さん(信繁役)、大泉洋さん(信幸役)、2人が育っていくのがものすごく楽しみです。兄弟2人がね、とても仲がいいんです。僕の入る余地がないくらい(笑)。いつも僕は2人の話をニコニコ聞いています。たまに遊んでくれますけれどね。

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