2011年10月30日放送
いま、多くの企業が、不機嫌な職場の改善に、本格的に乗り出している。

東京のIT企業が半年前に導入したのが、「サンクスカード」。社員の顔写真をはったボードの上に、感謝の気持ちをカードに手書きで書いて張っていきます。メールで用件を済ますことが多く会話が少なかった職場の雰囲気を変えるのがねらいです。また、職場のチームワークを良くするための研修に力を入れる企業も増えています。ゲームを繰り返す事でチームをまとめる力がつくという研修は人気を集め、利用する企業は、この一年で2倍に増えました。
職場を改善するために、東京にある大手人材紹介会社は、専門の部署まで作りました。その部署の名前は、自然職【ちゑや】。"自然と人が集まり、知恵を出し合う職場を作る"という意味を込めました。ベテラン社員2人が、専属で働いています。重要な業務のひとつが「社内ぶらぶら」。すべての職場を回って声をかけ、職場でコミュニケーションがうまくとれているか、悩みを抱えている人がいないかを確かめていきます。
【ちゑや】発足のきっかけは、もともと営業担当だった中村さんが、現場で感じていた違和感でした。5年前、会社の事業拡大で、中途採用者や派遣社員が一気に増え、互いによく知らない人が多くなり、職場で気軽に相談しあえる雰囲気はなくなっていきました。放っておくと孤立する人が出てくると感じた中村さん。声かけや社員の交流会などを自主的に始めました。その活動の必要性を会社も認め、3年前、正式な部署になったのです。
入社3年目・営業担当の東雄治さんは、【ちゑや】によって、気持ちが救われたといいます。学生時代、野球部に所属していた東さんは、明るさと積極性が持ち味でした。入社してからは、飛び込み営業に走り回りましたが、リーマンショック後の不況で成績は伸びませんでした。ライバルである同期には悩みを打ち明けにくく、上司や先輩たちも忙しそうで相談できません。東さんはひとり追い詰められていきました。そんな東さんの変化にいち早く気づいたのが、職場を巡回していた中村さんでした。ある日中村さんは、「明るい性格のお前の良さが無くなってるぞ」と東さんに言いました。このひとことが、東さんの心に響き、少しずつ自信を取り戻していったのです。
【ちゑや】は、月に2~3回、社内交流会を開いています。お酒とつまみを持ち込んで、部署も立場も違う様々な人たちがお互いあだなで呼び、仕事の悩みなどを本音で語り合います。50人の社員をまとめる部長の小檜山覚さんは、この交流会に出たことが、職場の人たちの気持ちを理解するきっかけになったといいます。以前は、部下たちのモチベーションが低いように感じて苛立つこともありましたが、この席で若手社員が仕事への情熱や理想を語る姿を初めて見ました。「本音で話せる職場にすることが、社員のやる気を高めていく。」そう考えるようになった小檜山さんは、いま、部下の話をじっくりと聞くようになりました。
中川家 礼二さん(漫才師)

会社勤めを1年だけなんですけど、学校卒業してすぐ、やってましたけど、まあ、一番悩むのは会話ですよ。僕は学校出てすぐで、結構平均年齢が高い部署の所属やったんで、そこの会話のギャップに苦労しましたね。意外とこう見えて人見知りなんですよ。(笑)
河合太介さん(経営コンサルタント)

職場のコミュニケーションは、考えすぎると難しくなってしまうので、とにかく、自分のやりやすい、できることをまず1つやってみるところからだと思います。気持ちよく、例えば「おはようございます」と言うとですね、やはりいい反応が返ってくるわけです。いい反応が返ってくると、だんだん気持ちがうれしくなってきますので、そうすると、じゃあ次はありがとうって言ってみようかな、とかですね。少しずつやっていくわけです。
東京にある大手菓子メーカーでは、去年移転したのをきっかけに、レイアウトを一新しました。自分の席は決まっておらず、朝出社したらまずコンピューターが無作為に決めた席に座ります。この日は、今月配属されたばかりの新人と、違う部門の本部長が隣同士になっていました。そのほかにも壁のない会議室を設けて、通りがかった人が誰でも自由に会議に参加できるようにするなど、風通しの良い職場を作る様々な工夫を施しています。
ゴキゲンな職場を作るために、レイアウトを変えたいというニーズは高まっています。そこに目をつけたのが、大手オフィス家具メーカーは、快適な空間を作るための研究を、自分たちのオフィスを使って続けています。例えば天井に8台のカメラを設置してレイアウトによって行動がどう変わるのかを観察したり、照明も、時間に合わせて、色と明るさを調節したりしています。