放送時間 毎週日曜日あさ8時25分~8時55分

再放送時間毎週火曜日午前1時30分~2時00分(月曜深夜)

これまでの放送

2015年6月28日放送

旅するケーザイ in 熊本・天草

宝物はきっと あなたのすぐそばに・・・

落雷

九州の南西部に位置する熊本県の天草諸島。大小120あまりの島々からなる天草の魅力を、片山アナウンサーが探しに出かけました。

天草の豊かな自然の恵みとこだわりの生産者

ヒオウギ貝の養殖天草下島に降り立った片山アナ。ヒオウギ貝の養殖をしている人に出会いました。カラフルなこの貝は、ホタテの仲間。天然の色鮮やかな貝殻が特徴で、天草では、贈り物として人気だそうです。天草の海では、こうした珍しい魚介類が数多くとれます。それもそのはず、天草は八代海と有明海、そして東シナ海という三つの海に囲まれているため、島の周囲を流れる変化に富んだ海流が、豊かな海の幸をはぐくんでいるんです。この豊穣の海がもたらす恵みが、天草の暮らしを支えてきました。

焼酎の蔵元海の恵みは、これだけではありません。創業明治32年、天草で唯一の焼酎の蔵元を訪ねました。ここは仕込みから瓶詰めまで全て手作業で、代々、天草にこだわった焼酎造りを続けています。一般的に焼酎は、蔵を閉め切り、空調で温度管理をして作りますが、この蔵では窓を開け放ち、あえて海からの風を蔵の中に取り込んでいます。「海風が入ると、風の塩分でもろみを開放させた状態で発酵させているので、もろみ自体が甘くなるというのは聞いたことがある。(蔵元四代目・平下豊さん)」

天草の家庭料理をつまむ片山天草の芋と海風で作られた焼酎。年間に一升瓶で300本しか作れないという逸品です。「ここの焼酎は天草を感じながら飲んで欲しい」と、平下さんのお母さんが天草の家庭料理を用意してくれました。地魚のお刺身を地元の甘いしょう油で・・そしてちょっと焼酎を飲むと・・・「うん!このしょう油の甘さが負けてないというか。食を引き立てつつ、お酒も美味しい。(片山アナ)」

柑橘のリキュール さらに今、力を入れている新しいお酒が「晩柑(ばんかん)」という天草自慢の柑橘と、焼酎を合わせたリキュール。晩柑は、温暖な天草で古くから栽培されてきた、強い酸味が特徴の果実です。果汁は、すべて手絞り。皮の苦みが果汁に出てしまわないよう、1つずつ丁寧に絞っています。天草の海と風、そして風土が凝縮された一杯です。「(平下さん)天草に対する愛着って、みんなものすごく持ってるんですよ。私もそのうちの一人なんで、天草で焼酎を造るのであれば、天草の文化や風土をちゃんとお伝えできる焼酎にしたいというのは、ごく自然な流れなのかなと思うんですよね。」

地域再生の切り札「二地域就労」

天草の風景探してみると、天草には「この土地ならでは」という食材が沢山ありました。けれども大半の農家は、島の限られた狭い土地で生産しているため、大量に出荷することは出来ません。また、東京や大阪など大都市から遠いため、輸送コストが掛かり、割高になってしまうというハンデもあります。天草の主な産業である漁業や農業は苦戦を強いられ、従事者はこの30年で7割も減少しました。そこで天草市では3年前から、全国的にも珍しい"二地域就労"という取り組みを行っています。

副市長・金子さん"二地域就労"とは、都市部の企業から営業経験豊富な社員を貸してもらえるというもの。社員がもつノウハウと人脈を活用して天草の産品を外部に発信。産業を活性化することが狙いです。「(副市長・金子邦彦さん)天草は、少量多品目なんです。少量ですから、それを売っていくのが難しいんですよね。地元の人は農業者であって、経営者ではないので、一人の人が、畑でつくりながら、独自に売っていこうというのは、非常に困難です。販売などいろんなノウハウや知恵を借りたいというのがありました。」

平塚さんそうした天草の期待を背負うキーパーソンが、大手航空会社から派遣された平塚正巳さん。航空会社では20年にわたってツアーの企画を担当。全国各地の魅力を発掘してきた経験と人脈を生かし、天草を売り込むことが期待されています。平塚さんは、とにかく生産現場を回り、話しを聞きます。そしてここからが、平塚さんの腕の見せ所。航空会社で培ったネットワークを生かし、全国のバイヤーに売り込み開始です。食の産地として天草が活気づけば、航空会社としても地方路線の利用客増加が期待できる。地方と都会、両者にメリットもたらす、それが二地域就労なんです。

農家をまわる料理長福岡の大手ホテルから料理長らを招き寄せた平塚さん。到着するなり、案内したのはアワビの養殖場です。さっそく食材のもつ力、生産者の徹底した仕事ぶりを見てもらいます。「(料理長)うーん!うまい。これをカルパッチョにしたり、白ワインで蒸したりとか、ソースはオリーブ系がいいのかとか...考えながら食べています。」続いて訪ねたのは、柑橘農家。デザートに使える果物を探したいという料理長の要望に応え、案内しました。ここでもまた、まずは試食。「うん、甘っ!本当にいろんな食材があって、どれ食べても美味しいですよね。」バイヤーたちをうならせる、これが天草の実力です。

天草大王国内最大級と称される、大型ブランド地鶏「天草大王」を育てている養鶏農家。「天草大王」は高級地鶏ゆえに価格が高いというイメージが強く、販路が広がらずにいました。でもこの日、市役所ではその商談が!「天草大王」に東京のバイヤーが興味を示したのです。噂にたがわず、肉質は申し分ない。気になるのは、価格。「(バイヤー)思ったほど高くないんですね。天草大王ってものすごく高いイメージがあるんでね。こういうことであれば...。」商談成立。年間100万円の売り上げアップにつながりました。

平塚さん「(養鶏農家)平塚さんは私の天草大王の営業部長です(笑)お客さんにどうしたらたどり着くのかな?というのが私らの悩みなんで、お話できる相手の方をご紹介いただけるというのがほんとにありがたいです。」天草と都会を結ぶ二地域就労。平塚さんは、その手応えを感じています。「(平塚さん)3年目に入って、いろんなものの可能性が今は伸びつつある。いかにそれを生かして、伸ばして、経済にプラスを与えるぐらいにするか。そこが、これからの課題だと思います。」

天草の生き字引 フミちゃん

1時間後天草の名物おばあちゃん、地元では「フミちゃん」で知られる田尻冨美子さん(83)。実はフミちゃん、天草が誇るアナウンサー。地元のインターネットテレビに出演するフミちゃんは、天草の生き字引。さっそく、潮が引いた時にしか見ることが出来ないという、とっておきの場所に案内してもらいました。その名もおっぱい岩。およそ4000万年前の岩が海水で削られてできたもので、この岩を撫でると母乳がたくさん出るようになるそうです。

フミちゃん、片山バックショット 夏ともなれば、親子づれで賑わったという天草の海岸。しかし...「(フミちゃん)この頃は子供がおらんでしょうが。昔は近所の子供達を連れてきて自分の家で遊ばせたりなんなりしてしよったけど、それがこの頃はなかけんなぁ...寂しかなぁ。」天草市の人口はこの50年で半減。高齢化率も全国平均を大きく上回っています。かつての賑わいは、もう戻らないのでしょうか・・・

島に生きる若者たちの模索

訪れた中学生旅の終盤、この土地に希望を感じさせる出会いが待っていました。天草市の中心部から船で40分。市で唯一の離島の町、御所浦に向かった片山アナ。人口3000の漁業の町では、15年も前から町に活気を取り戻す挑戦を続けています。その1つが「アイランドツーリズム」。島ならではの体験を生かした観光業で活路を切り開いてきました。この日、中学生の団体が到着。島の暮らしこそ、観光資源。「おー、また見っけた!」至る所に転がっている化石は、都会の子どもたちにとってはまさに宝物です。さらに鯛の養殖イケスでのエサやり体験に・・夜は島の一般家庭に宿泊。いわゆる民泊を体験します。

おにぎりすり身 さらに地元グルメも開発。地元漁師が、売り物にならない魚で作る家庭料理にお宝を見つけました。土産物として売り出し、新たな収入源にしようという作戦です。オリーブオイルなどで風味付けをしたすり身でご飯を包んで油で揚げた、その名も「おにぎりすり身」。他にも、すり身を使ったシューマイに、フライ、ソーセージ。これらを「島フード」と銘打ち、発売から2か月。作った先から飛ぶように売れ、生産が追いつかない状態が続いています。

島の風景この島フードを考えたのは、島の若手15人からなる「島おこし隊」。リーダーの松永さんを中心に今、夏休みを狙った集客イベントを計画中です。天草の未来について、松永さんに聞きました。「田舎は田舎のいいところもあるので、それを生かして交流人口をどんどん増やしていく。観光を仕事にし、仕事を増やしてUターンでもIターンでも、どんどん(人が)増える要素を作れば、可能性があると思います。子どもたちも減っている状況で、私たちの世代でしなければ、もう間に合わない。動いたら動いた分、何でもよくなっていく・・・と思っているので、まずは動くこと・・・と思っています。」

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今回、天草を旅し、地域活性化のヒントを探ってきました。状況は厳しくても、今あるものを生かして活路を見いだす天草の人たち。希望をもって動いていくことこそが、本当の活性化なのかもしれません。

思い出の風景

お問い合わせ先

天草の風土にこだわった焼酎を作る酒造会社
天草酒造
電話:0969-46-2013

国内最大級の地鶏「天草大王」の生産者
公元
電話:090-1515-5390

「二地域就労」プロジェクトを実施する天草市
天草市 総合政策部政策企画課企画調整係
電話:0969-23-1111

「天草小唄」が歌われていた、音楽好きの集まる酒場
ビアレストラン ばってん
電話:0969-23-1063

天草弁の伝承者フミちゃん、こと田尻冨美子さんが出演する天草のインターネットTV
天草テレビ
電話:0969-22-2350

御所浦島で体験民泊を主催する団体
御所浦アイランドツーリズム推進協議会
電話:0969-67-1080

御所浦島おこし隊が開発した島フードを売っている店
御所浦物産館
電話:0969-67-1234

「ヒオウギ貝」や「ビーツ」「アワビ」など、天草の生産物・生産者について
天草市産業政策課
電話:0969-32-6786
カビラさん選曲のエンディングの曲
曲名:「Somewhere Over the Rainbow (サムウェア オーバー ザ レインボー) (1993年)」
歌手名:Israel Kamakawiwo'ole(イズリアル・カマカヴィヴォオレ)