これまでの放送

2014年8月31日放送

発明で生き残れ!"大学発"ビジネス最前線

ニッポンの未来を変える"夢"の発明品がきっと生まれる

発明の出張授業

大学がビジネスに乗り出した!?
      生き残りのカギは"発明"だっ

大学外観今、多くの大学が特許料収入につながる発明に力を入れています。そもそも大学って研究や教育の場のはず、どうしてそんなにビジネス展開を?...実は今、大学の運営自体を考えていかないと大変なことに。例えば、深刻な少子化問題。10年前、141万人いた18歳の人口は今や118万人。そして2024年には106万人にまで落ち込むと見込まれているんです。学生数が減るということは授業料も減る。大学の運営自体が大変なんです。そこで今、力を入れているのが「研究成果をビジネスに生かす」ということ。中でも奮闘しているのが地方の大学です。

伝統舞踊をデータ化@秋田大学

踊る片山こちら秋田では...コンピュータの応用技術が専門、秋田大学名誉教授の玉本英夫さんが、伝統舞踊をデジタルデータ化する研究を続けています。例えば、秋田県中部に伝わる角間川盆踊り。振付を多角的にCGで再現し、誰でも簡単に学べるシステムを考案しました。体に磁気センサーをつければ、仮想空間の中で一緒に踊ることができ、しかも採点まで!舞踊の専門家の協力のもと、踊りのサンプルの中からプロの目線で表現力を点数化。それをデータ解析し、採点システムに反映させたのです。今後は、ゲームや遊園地のアトラクションなどへの応用も考えています。

これは便利!空中台車@徳島大学

空中台車続いては四国・徳島から。機械のコンピューター制御のスペシャリスト・徳島大学大学院講師、三輪昌史さんは、産業用ロボットメーカーと"空中台車"を開発中です。操縦はプログラム任せ。タッチセンサーに触れるだけで、誰でも簡単に操作できます。今のところ500グラムを運ぶのがやっとですが、将来的には、積載量10キログラム、飛行時間20分を目指しています。「(三輪さん)例えば災害の場合、道が崩れたり水があふれている向こう側に人が取り残されているような時に、救急物資を送るなどで使えたらいいかなと。」

大ヒットの予感"大人用オムツ" 
      集結!スペシャリスト@鳥取大学

植木教授

大学と企業との共同研究の件数は、10年間で3倍近くに増加。そうした中、大ヒットの期待が集まる商品が今年3月に鳥取大学医学部から誕生!それは...大人用紙おむつ。介護現場での悩み、男性の尿漏れトラブルを、なんと60%も減らすことに成功したんです。年間1600億円という大人用おむつ市場。共同開発したメーカーも今後の主力製品と位置付けています。しかし医療機器開発を統括する植木賢教授は、厳しい表情。「大学も、こういう新しいチャレンジや開発をしないと生き残っていけないんです。」

オムツの溝というのも、国立大学の台所は火の車。最大の収入のひとつ、国からの交付金は毎年削減。鳥取大学では、ここ8年で22億円の減額に。財政難を少しでも改善したいと、発明による特許料収入を、10年後、1億円に設定。再生医療、遺伝子研究、機械工学や社会学など、様々な分野のスペシャリストを集め、新しい医療技術の開発とともにビジネスチャンスにつなげようと取り組んでいるのです。こうして誕生したのが大人用紙おむつ。床ずれを研究してきた形成外科の医師と放射線技師がタッグを組み、男性の尿漏れのメカニズムを最新のCTスキャナーで撮影。おなか側から尿漏れしていることを突き止め、尿を背中側に誘導する溝を考案。劇的に尿漏れトラブルが改善しました。

だれでもみんな発明家★植木教授
       アイデア続々★鳥取大学の強み

学生と話し合う植木教授この日、植木さんは去年導入したばかりの3Dプリンターを前に、医療での新しい使用方法を学生と一緒に考えていました。「(学生1)義手や義足とか、骨だけでも、その人のもともとあったオリジナルの形に...」「(学生2)細胞とかで立体的に臓器作っちゃったりとか将来的には...」新しい発想を生み出すのに立場は関係ありません。「(植木さん)資源が少ないと言われている日本において、知財と人材、この二つは非常に重要だと思う。新しいものを生み出して世界をよりよく変えていけるような人材を育てていくのが大学の一つの使命ではないか。」現在、鳥取大学では新型電動車イスなど25のプロジェクトに取り組んでいます。

工業×医療のコラボ★新型ドリル

ドリル先端去年6月、とある展示会に驚きのドリルが登場!ステンレスの板をわずか20秒で貫通!従来のドリルでは穴あけに数分以上かかるというから驚きです。その秘密はドリル先端にある小さな溝。この溝のわずかなカーブが、鎌で掻き切るように堅いステンレスを削り取るのです。ドリルの噂を聞きつけて、鳥取大学の植木さん、あるアイデアが。「医療で使えるドリルを作れないか。」折れた骨をボルトで補強する時などに使われる医療用ドリル。骨の表面は滑りやすく、しかも曲面になっているため、ドリルの刃先が滑りやすいという問題がありました。

当時の写真ドリルを作り始めてまだ3年ほどの産業機器メーカー。「一緒に、医療用ドリルを作りませんか!」乗りこむなり、頭を下げた植木さんに...「(開発部部長 木村勝世さん)びっくりしました。まさか国立大学の医学部の先生が来られて医療用ドリルの研究をしたいとは...」"研究室に留まっていてはイノベーションは生まれない"...植木さんの持論なんです。 「(植木さん)病院では困っている課題がまだたくさんありまして。地元の企業や全国の企業とオールジャパンでというか、チームを組んで医療機器を開発したいなと思っています。」

手嶋さん植木さんの熱意に圧倒されて始まったプロジェクト。立ち上がったのは、開発部の中堅、手嶋智さん(40)。早速、鳥取大学を訪ねた手嶋さんが見た驚きの光景とは..工業の世界では必ずと言っていいほど垂直に使うドリルを、医師は斜めにして使っていたのです。医療現場では、骨が斜めに折れている場合、ボルトをいれる穴も斜めにあける必要があるのです。しかも、ただでさえ滑りやすい骨の表面。ドリルを斜めに当てれば、更に滑ってしまいます。神経や血管を傷つけてしまえば命にかかわる危険な作業。...手嶋さんの挑戦が始まりました。

ドリルの先端まずは従来のドリルを詳しく調べてみたところ...斜めにすると角が当たり、先端が骨に触れていないことが分かりました。これでは滑って当然。そこで、ドリルの先端を尖らせていくことにしました。「尖らせれば尖らすほど強度は落ちますけれども、そこを落ちないような強度で保ちながら尖らす、これが技だと思います。燃えてきますね。」10か月後、遂に、試作品が完成しました。先端角は60度。切れ味を良くするためのあの溝もついています。

新型ドリルのテスト早速、植木さんの元に、新型のドリルを持ち込んだ手嶋さんたち。テストをするのは、整形外科の専門医。果たして・・・。「(整形外科医)おっ、さすが。滑らん滑らん。」鋭い刃先が、見事に骨の表面を捉えました!今までのドリルと全く違う手ごたえでやりやすいと医師からも高評価。「(手嶋さん)先生方に生のリアクションを見させていただいて、ちょっと自信が湧いてまいりました。」手応えアリの医療用ドリル。今後は改良を加えながら製品化を目指します。

大学を飛び出し小学校へ★出張授業
       伝えたい!発明の喜び★発想のコツ

出張事業新しい発明のタネはいたる所にある。大切なのはそれに気づく目を養うこと。今、植木さんが力を入れている学外活動。それは「新しいものを作り出す喜びと発想のコツを子供達に伝える」出張授業です。自作の絵本を持ち込んで子ども達に教えるのは...算数をもとにした発想法。例えば足し算。鉛筆と消しゴムを足すことで消しゴムつき鉛筆ができました。引き算の発想を使ってできたのはスリッパのかかとを切り落とすことで作られたダイエット用スリッパ。授業を受けた子どもたちは...「足し算の発明や引き算の発明があることが分かって面白かった」「車で、海に入れたり、空を飛べたりするのが発明したい」発想豊かな子ども達を育て日本を発明王国にすることが研究者の仕事だと、植木さんは考えています。

知ってましたか?3つのタイプ
       未来を切り開く研究者とは

研究者3つのタイプ鳥取大学の植木さんは、メーカーや小学校に足を運んだり、かなりアクティブでしたが、 "研究者"についてこんな研究発表があります。(※上図をご覧ください)ボーア型は、研究に没頭するタイプ。エジソン型は、実用的な研究に特化して利益を生み出していくタイプ。そして、パスツール型は、基礎研究を生かして社会に還元していくことをバランスよく考えるタイプ。今、求められている研究者は、パスツール型ですが、実際はまだボーア型と言われている研究者が大学には多いようです。

赤池伸一さん(文部科学省 科学技術・学術政策研究所 客員研究官)

赤池伸一さん(文科省 科学技術・学術政策研究所 客員研究官)

明るい未来をつくるためには、やっぱり"イノベーション"って大事だと思うんです。そしてイノベーションは何かっていうと、新しい、異質なものの結合、知識の結合です。だから、大学の持っている知識と企業の経験。それから文系と理系の知識。同窓会の出会い、その出会いと知識の融合っていうのがイノベーションを生み出して、これからの日本の産業をつくってくんじゃないかと思います。

眞鍋かをりさん(タレント)

眞鍋かをりさん(タレント)

大学と社会(企業)とを出会わせるのってすごく必要だと思うんですけど、今、男女の出会いもネットでという人がすごく多くなってきてるじゃないですか。同様に、大学の研究室と企業を繋ぐためのSNSみたいなものがあればいいですよね。「こういうことができる人いませんか」に対して、「ああ、うちの研究室、これやってますよ」っていう、そういうネットの出会いみたいなものができれば。
出会わないことには始まりませんからね。(笑)

お問い合わせ先

秋田大学「舞踊学習システム」について
秋田大学ベンチャービジネスラボラトリと、秋田を拠点とするプロ劇団「わらび座」が
共同開発中。詳しくは・・・

劇団わらび座
ホームページ: http://www.warabi.jp/

徳島大学「空中台車」について
徳島大学大学院ソシオテクノサイエンス研究部三輪昌史講師が、
埼玉の小型ロボットメーカー「enRoute」(エンルート)社と共同開発中。具体的な商品化は未定。

鳥取大学医学部の開発チームについて
鳥取大学医学部付属病院では、「次世代高度医療推進センター」を2012年10月に設立。
新しい医療方法や器具の開発を行っています。

鳥取大学医学部付属病院 広報企画戦略センター
電話: 0859-38-7040

「新型大人用紙おむつ」(おむつパッド)について
鳥取大学「次世代高度医療推進センター」と大王製紙株式会社が共同で開発。
今年3月より病院・施設等の業務用ルートで販売が開始。
店頭での一般販売は9月21日を予定。

大王製紙株式会社 エリエールお客様相談室
電話: 0120-205ー205
ホームページ: http://www.elleair.jp/attento/special/scare_double/

鳥取大学 「新型電動車いす(後ろから乗り込むタイプの電動車いす)」について
鳥取大学と株式会社テムザック技術研究所との共同開発。
現在、鳥取大学医学部付属病院にて臨床実験中。具体的な発売は未定。
詳しくは・・・

株式会社テムザック技術研究所 TEL:0859-57-5231

医療用ドリルの開発について
株式会社 ビック・ツール
ホームページ: http://www.bictool.com/ 

鳥取大学医学部・植木賢教授の小学校への出張授業について
通常は鳥取および近隣県(島根、岡山等)の小学校~高校で行っています。
発明のコツを算数にたとえてまとめた絵本「発明楽(ハツメイガク)」は文部科学省の特別事業の中で
制作され、市販はされていません。植木先生の授業や絵本についてのお問い合わせは・・・

鳥取大学医学部付属病院 広報企画戦略センター
電話: 0859-38-7040
カビラさん選曲のエンディングの曲
曲名:「SCHOOL OF ROCK (2003)」
歌手名:JACK BLACK