放送時間 毎週日曜日あさ8時25分~8時55分

再放送時間毎週火曜日午前1時30分~2時00分(月曜深夜)

これまでの放送

2015年4月19日放送

下水に光を!活用しよう下水資源

貴重な資源への扉は ここにある

下水

佐賀発★下水肥料の実力 収穫量UPおいしさUP

肥料を会に来た農家佐賀市の下水処理場。なにやら人がたくさん集まっていますが...「畑が肥えますよ、よく出来るようになりましたね。」というのは農家の方。ここでは、下水から取り出される汚泥を再処理して肥料を作っています。お値段、10キロ20円。安い!汚泥とはいえ、きちんと処理されているので、もちろん安全。質も良いと大人気です。実は今、こうした下水を資源として活用しようという動きが全国で広がりつつあります。1日に発生する下水は全国で4000万トン。この処理費用は1日25億円、1年分でおよそ9000億円!
費用のかかる下水。それを資源として活用する最新事情をご紹介します。

高橋さん佐賀の下水処理場から生まれた農業用肥料を愛用して4年目という農家の高橋恵子さん。この下水肥料に変えてから、収穫量がアップしたそうです。高橋さんが作っているのは、アスパラガス。よく見ると、畑の地面から熱気が...。これは肥料の中の微生物が活発に働き、土に栄養がいきわたっている証拠です。「おととしまでは、えぐみがあったんですけど、去年から徐々に取れて、今年は『またおいしくなったね』って言われますね(高橋さん)」質のよいアスパラガスが栽培できるようになり、最近では、県内外の飲食店と直接取引きも始めました。

安心安全 下水肥料 土壌協会 太鼓判!

検査でも、下水から作られた肥料で野菜がおいしくなるってホントなの?そこで訪ねたのは、日本土壌協会。土壌や肥料の分析、評価をしています。去年、国の要請を受け、下水肥料を分析。一般的な有機肥料や化学肥料と比較しました。すると下水肥料で育てた野菜は糖度が増し、えぐみや苦みの成分が減少する事が実証されたのです。「甘くて苦みがそんなに多くないというデータが裏付けられて(下水肥料を)使っていける可能性が、味の方からも保証されてきたと思います。(日本土壌協会調査広報部・井上恒久さん)」

汚泥再生&処理水利用 大活躍!下水資源っ!

汚泥と分離 いったいこの下水肥料、どのようにして作られているのか?あらためて佐賀の処理場をみると...肥料作りの要となるのは、日本の下水処理場には必ず設置されている「反応タンク」。この中にいる100種類以上の微生物が水の汚れを食べることで、窒素やリンといった栄養分が含まれる水と、汚泥に分離されます。一般的に、汚泥は莫大なお金をかけて焼却処分されていますが、佐賀の処理場では農業用の肥料へと再生。アミノ酸など数種類の栄養分を混ぜ込んで、1か月間寝かせます。

水をまくこうして作られる下水肥料は、年間1400トン。量産化のために専用の工場も作っちゃいました。さらに、さきほど微生物が分離した水も無駄にはしません。塩素処理を施し、栄養分が豊富な状態で、無料提供しています。この水をくみに来ていた男性。処理水を使う事で畑の野菜が格段においしくなったんだとか。「微生物で処理されていますから、非常に畑にまいて育ちがいい。うちの子は『ニンジン食べんよ』って言ってたけれど、生でも食べられるようになりましたから。子どもが一番(味を)よく分かります。」

情熱が処理場の未来を変えた
      前田さん★「下水は宝だ!」

前田さん佐賀市で下水を有効活用する取り組みが始まったのは8年前。職員の前田純二さんが、下水処理のコスト削減を命じられたことがきっかけでした。「赤字が続くような運営の状態。これは全国どこでもそうだと思います。下水の有効な使い方がないかと検証してきました。」下水の活用法を独学で探し求めた前田さん。思いついたのは、お金のかかる高度な処理を、あえてしないこと。もちろん、国の安全基準をクリアしつつ、栄養分を残し、下水を再利用しようというのです。これにより、高度処理に使用していた薬品コストは抑えられ、年間3500万円の削減に。さらに、肥料となる汚泥は焼却する必要がなくなり、年間5000万円のコスト削減に繋がりました。

イベント「(前田さん)浄化センターは、宝の施設だと思っています。掘り起こしたらそこにあったんだよと、全国の皆さんにも世界の皆さんにも伝えていきたいなと思っています。」そして今、「ビストロ下水道」と銘打って大PR中。下水肥料の正しい使い方や、中に含まれる成分が、どんな野菜に適しているのか、定期的に勉強会を開催しています。価格も安くて、効果の高い肥料に生まれ変わった下水は、農家の心強い味方です。「最後まで見届けることが必要だと思います。そうしないと循環型の社会は成り立っていかない。(前田さん)」

新潟発★豪雪地帯のホットな技術
    下水管はあったかいんだからぁ♪

システム日本有数の豪雪地帯、新潟県十日町市。雪国の保育園で、去年12月から新しいエネルギーの活用が始まっています。なんと新技術の導入によって、灯油の使用量が7分の1になったそうです。「(園長さん)2日に1回ずつが、今は2週間に1回ぐらいで済んでいます」灯油ストーブにかわって部屋を暖めているのは、空調設備。その元をたどってみると...部屋の外には、何やら大がかりな機械が。さらに、その先をたどると、保育園の前にあるマンホールに到着。中をのぞいてみると...なにやらチューブがいっぱい!地中の下水管を流れる水は、年間を通して15度から20度。安定した温度を保っています。この熱を取り出して空調に利用していたのです。

大公開!熱回収システムのヒミツ
     "光"で固める強化プラスチック

配管チューブ下水の熱を取り込むため、配管にチューブを設置。チューブの中に液体を流すことで、熱を取り出すという一見、単純なシステムですが、チューブの設置には特殊な技術が必要です。下水の流れを妨げないよう、チューブは管の底に確実に固定しなくてはなりません。今回、日本で唯一という、チューブの設置技術を再現してもらいました。ポイントは、ガラス繊維を何枚も重ねて作られた黄色い素材。繊維の間にあるネバネバとした樹脂に光を当てると固まるという特殊な代物です。チューブを下に敷くようにして、この素材を管の中へ引き込みます。そして、空気を入れて膨らませ、およそ1000ワットの強い光を出す「UVライトトレイン」を使って樹脂を固めると...非常に強固なプラスチックになるというのです。

欧州生まれの先端技術を直輸入★
      大岡伸吉さん★先見の明と使命感

大岡さん日本ではまだあまり知られていないこの技術、その名も「光硬化工法」。光で固められた樹脂の強度は、コンクリートを上回ります。ヨーロッパ生まれのこの技術を日本に持ち込んだのは、会社の創業者、大岡伸吉さん(80)。スウェーデンで光硬化工法を目の当たりにした大岡さんは、すぐにライセンス契約を結びます。ところが...「持って帰って役員会・社員に見せても、『ご乱心したんじゃないか』と、誰も喜ばないですよ。皆が反対するなら面白いなと」大岡さんには、周囲の反対を押し切ってでも、この技術を導入したい理由がありました。

古いコンクリート1960年代、大岡さんの会社は下水管や地下鉄などのトンネル工事に携わっていました。数々のインフラ整備を手がけながら、大岡さんが気になっていたのは、コンクリートの耐久年数。「コンクリート製品は50年とか70年で償却するわけです。そのときに悪くなったものをどのように補修するのか。」コンクリートの老朽化を見越していた大岡さんは、30年も前から海外への技術視察を繰り返してきました。そこで出会った光硬化工法。この技術なら下水管を修復しつつ、熱利用のシステムも組み込めると考えたのです。そこには、高度経済成長を支えた建設会社の自負と使命感がありました。

人の暮らすところに下水熱あり!?
    可能性広がる未来のエネルギー

ポテンシャルマップ...とはいえ下水管の熱利用はまだ大々的に展開されているわけではありません。そこで、いま下水道熱をとることを目的とした規制緩和が審議中です。具体的には今後、どのように使われるようになるのでしょうか?
国の事業として調査会社が作っているのは「下水熱ポテンシャルマップ」です。一般的に下水の流量が多い所ほど熱の回収効率が高いそうで、その場所を地図に表したもの。並んでいる丸はマンホールの位置で、赤いものほど熱利用の潜在能力が高いことを示しています。ちなみに、赤で表示された大阪ミナミの交差点のポテンシャルは...給湯なら、一般の家庭1000世帯から5000世帯ぐらいまかなえるだろうということです。

姫野修司さん(長岡技術科学大学准教授)

姫野修司さん(長岡技術科学大学准教授)

われわれの生活のほうが、自然のエネルギーよりも安定しているんですね。人がいればいるところにエネルギーがあることになる。これからもたぶん、永久的にその活動は続いていくことになります。(各家庭で下水熱の利用が進む可能性は?)各家庭というよりは、少しまとまった施設やコミュニティになると思いますが、下水管から熱をとる場合だと、利用者の近いところから自由にとれることになりますので、利用できる機会がふえていくと思います。

デーモン閣下(アーティスト)

デーモン閣下(アーティスト)

佐賀市の下水から肥料をつくるものでは、市の職員の人が何とかいい方法はないのかって考えた結果、いいものを発見した。パイプの中に機械を通してっていうのも、あそこの社長さんの情熱でね、「そんなものやんなくていいよ」ってみんなが言うのに、「何としてもやるんだ」って言って日本に持ってきている。どの事例も、そういう人のエネルギーとか情熱とかがあるからできること。この資源のない国で、もっとアイデアをつぎ込んでいけば、すごくいいところに着地できるような気がするのね。

お問い合わせ先

汚泥を活用した肥料を販売している下水処理場
佐賀市下水浄化センター
ホームページ:http://www.water.saga.saga.jp/main/568.html

佐賀市の下水処理を分析
一般財団法人 日本土壌協会
ホームページ:http://www.japan-soil.net/

「ビストロ下水道」について
※日本全国の下水処理場で行っている、下水の汚泥や汚水を「食」に生かす取り組みをPRするために、国土交通省と日本下水道協会が共同で企画。

日本下水道協会
ホームページ:http://www.jswa.jp/

光硬化工法で下水管の修復と熱利用を同時に行う技術を持つ建設会社
東亜グラウト工業株式会社
ホームページ:http://www.toa-g.co.jp/index.php

下水熱ポテンシャルマップを作成した調査会社
総合設備コンサルタント
ホームページ:http://www.socon.co.jp/
カビラさん選曲のエンディングの曲
曲名:「I'm Ready (1978)」
歌手名:Muddy Waters