津放送局・コンテンツセンター鈴村 亜希子
大学を卒業して、実家のある三重県尾鷲市のケーブルテレビに就職しました。氷河期ということもあり、職種にこだわらず就職活動をしているなかで、いろいろな偶然が重なって映像取材として働き始めました。撮影もして、原稿も書いてと、なんでもやりました。
3年ほど働いた後、NHKに転職しました。生まれ育った三重県で、継続して仕事ができることに魅力を感じ、地域職員を志望しました。その頃、ちょうど結婚を考えていて、相手の勤務地が三重県津市だったことも大きかったと思います。
尾鷲支局で働いていたとき、東日本大震災が発生。現地で被害の状況や復興に向けた取り組みを取材したいという思いが強まっていました。そんななか着目したのが、地元・三重での防災の取り組み。子どもたちの避難訓練を取材した際、すばやく避難場所まで走っていく姿を目の当たりにし、意識の変化を感じました。取材を進めるうち、ある小学校の避難経路が細くて危ないことが分かり、最終的には行政が動いて直通で裏山の避難場所に向かえる避難経路ができました。地域が抱える問題を掘り起こし粘り強く取材を重ねることで、少しでも地元に役立つ結果を出していけたら。この取材を通して、そんな意識が芽生えました。
NHKに入ったばかりのころ、大勢の人に話を聞く企画に携わりました。そのとき上司から「なんでも聞けるのは君の良さだから、生かした方がいいよ」と声をかけていただいて、それが自分の持ち味なのだと思うようになりました。いまでも“記者らしくない”とよく言われますね(笑)。
今は経済を担当していますが、ずっと地元で仕事をしているので、人脈づくりを含め幅広く地域のことを知っていたいと思っています。私たち地域職員は採用された局で仕事をしていきますが、多くの職員は全国を異動します。そのため毎年、私が務める津局にも三重を知らない方が異動してくるので、頼られる存在になれたらと思っています。
幅広いジャンルの取材や、何か起きた時にすぐに対応する遊軍の記者として働いています。一年を通して三重県内でどんなことがあるのか、ある程度は分かるので、取材予定の洗い出しなどは効率的にできていると思います。旬の食べ物や祭りの話題などを映像取材やキャスターと共有して、一緒にリポートを作ったり、中継のネタに採用してもらったりして、地域放送の充実につなげています。
地域職員は、しっかりした組織で働ける安心感だけでなく、遠くの地へ転勤になることがないので暮らしの見通しが立てやすいのが良いところです。普段は三重県内向けのニュースを取材していますが、リポートが全国で放送されることもあり、取材先に喜んでもらえると、とてもやりがいを感じます。
穏やかな気候のせいか、のんびりしている人が多いです。このテンポが自分に合っていると感じます。食べ物は、松阪牛や伊勢えびがよく知られていますが、魚介、肉、野菜、なんでもおいしいです。伊賀の忍者はよく知られていますが、世界遺産の熊野古道、海女文化など、世界に誇れるものがたくさんある割に、県としての知名度はいまひとつなので、地元の魅力を広く世界に伝えていくお手伝いができれば、と思っています。
三重は住みやすい所ですが、地方では少子高齢化による過疎化が深刻ですし、都市部では外国人労働者の子の就学問題など、課題はたくさんあります。そうした地元の課題や解決策に光を当てて、放送を通じて地元を少しでもよくできれば、と思います。また、ニュースを見た人が笑顔になれるような話題をたくさん発信していきたいと思います。
昼ニュース用の取材、出稿
交通事故などの発生対応