アナウンス室澤田 彩香
2018年5月、春季東海地区高等学校野球大会で実況研修
高校の大先輩であるNHKアナウンサーの方にお話を伺ったことから興味を持ちました。
現在ラジオで「NHKきょうのニュース」(ラジオ第1・午後7時台)を担当している野村正育アナウンサーに、大学時代、ご縁を伝ってお仕事のお話を聞く機会がありました。地域の方やときには総理大臣に取材をして、いろんな人の思いを自分の言葉で伝えられる職業だと知り、興味を持ち、採用試験に挑戦。入局当時は、スポーツ実況をしたいという明確なイメージを持っていませんでしたが、高校野球の「甲子園」が中学生のころから好きだったので、アルプススタンドから応援団の生の声を届ける「アルプスリポーター」を担当することをまず目標にしました。アルプスリポーターは、中継中にニュースやリポートを入れるタイミングを決めるラジオディレクターも兼任。そうした業務の中で、先輩アナウンサーが自分の言葉で選手たちの一挙手一投足から会場の熱気までを伝える様子に、実況の難しさや奥深さを感じ、「私もやってみたい!」と思い、スポーツ実況を本格的に学ぶようになりました。
スポーツ実況の仕事をするうえで大切にしていることは、「丁寧に伝える」「事実を積み上げる」です。
甲子園のラジオ実況では、“ストライクかボールか”、“ランナーがどこにいる”などの、基本情報を伝えるのはもちろんですが、例えば、ピンチを向かえた選手に注目して、「帽子をとり、スタンドを見て大きく息を吸った」など、選手の動き一つ一つを言葉にするようにしています。そういった目の前で起きている事実を着実に積み上げ、伝えることで、会場にいるかのような実況を視聴者に届けられるのではないかと思っています。
会場にいると、強烈な思いを持って本番に挑む選手たちの、互いのエネルギーがぶつかり合う瞬間を目にします。それを見て「自分も頑張ろう」と勇気をいただくことも。そういった貴重な場面に立ち会い、その様子を視聴者に届けられることはとても幸せに思います。逆に、興奮し過ぎて過度な実況にならないよう、“心は熱く、頭は冷静に”伝えることを心がけています。
「スポーツが好き」という思いの原点が、甲子園。そのラジオ実況の技術を向上させつつ、多くの方が視聴し、影響力の大きいテレビ実況にも挑戦したいです。
テレビ実況には、ラジオとは違った難しさがあります。テレビは映像で試合の様子を伝えられる分、言葉の数は多くありませんが、見ている人に的確に情報を伝えるキーワードを取捨選択する必要があります。また、解説の方にお話いただく時間がラジオよりも多いので、視聴者が求める見解を解説の方から引き出せるように、私自身、野球の知識をより深めていきたいです。
私はまだ実況できる競技数が少ないので徐々に増やしていき、ゆくゆくはアナウンサーとしても大舞台である五輪での実況を担当したいです。任せていただくにはたくさんのステップを踏まなければなりませんが、1歩ずつ焦らずに経験を積んでいきます。
朝食をとり、出かける支度をします。「プロ野球」デーゲームのベンチリポーターを担当する日は、9時に自宅を出発し、球場へ
実況やリポート内で紹介する情報を集めるため、練習の様子や選手・監督を取材
軽くお弁当を食べ、マイクテストや午前中の取材内容を実況者・解説者に共有
試合の途中で選手や監督の談話を紹介。「サイド」という業務を担当する場合は、スコアブックをつけます
放送終了後、球場を後にする
家族と食事を楽しみ、テレビを視聴。次の担当競技に備え、これまでの大会映像を見て、勉強することも