人事局斉藤 一成
NHKが作った映像ではありませんが、学生時代に見た20世紀から21世紀に変わる頃のカップ麺のCMが魅力的でした。20世紀の名場面、俳優の永瀬正敏さんがまるでその場にいるように表現された映像でした。そうした映像加工やイメージを具現化できる技術を持つ企業を探していた時に出会ったのが、NHKの番組技術展。CG技術はもちろん、3D映像や曲げられるディスプレイの展示、サーバー型放送の仕組みなど、NHKは映像表現の先に、社会の新しい可能性を作り上げることができるところなんだとワクワクしたのを覚えています。私にとって、CGエンジニアを目指せる職場であり、新しい「伝える」に挑戦できる可能性があるNHKはとても魅力を感じました。
「放送技術」の職種で採用され、エンジニアとして約10年間「番組制作」や「データ放送の企画開発」を担当。2013年、福岡放送局に異動して仕事に対する思いが大きく変わりました。福岡県では「飲酒運転の事故」が非常に多く社会問題にもなっていました。「なぜ?」という疑問と同時にエンジニアとして「事故発生データを分析して事故を予測できないか?」と考えるようになりました。記者と一緒に取材し、警察からのデータ提供を受け、調査報道や飲酒事故撲滅キャンペーンを実施しました。しかし、その年の飲酒事故はわずかですが増加。NHKでデータを活用しているだけでは、なかなか課題解決にはつながらない。NHKが保有するデータや開発ツールを社会に公開してみんなに使ってもらったほうがいいのではないか。そんな野望を抱くようになりました。
NHKが取材などを通じて集めたデータや手法を公開すれば、課題意識が同じ誰かに有効に使われ、結果として社会を変える力が広がるかもしれない。そう本気で考えています。新型コロナに関するNHKの特設サイトでは、日本国内の新型コロナの様々なデータを公開していますが、ある時からアメリカのジョンズ・ホプキンス大学が定期的に取得して、世界の情報とともに研究機関向けに公開するようになりました。報道機関が集めたデータを公開し、それが広く社会で活用されて何かの役に立っていく。そんな流れを当たり前にしていけないか。ハッカソンや実証実験を重ね、ちょっとずつ思いをカタチに、協会内外の同志とともに、前に進んでいきたい。「公共性に富み、社会的価値の高いコンテンツやデータ」を「社会に利用されやすい形で公開」していきたいです。
人事局に所属しながら、いろいろな現場のプロジェクトに関わっています。現場のワークフロー改善のために、新しい技術を取り入れながら既存の仕組みとうまく共存していく。また、新しい仕組みにいきなり移行できないのであれば、少しずつトライ&エラーを重ね、チーム・組織として、新しい考え方、デザイン、ノウハウを共有し、未来を見据えてシステムやサービスを入れ替えていく。こうしたクラウドジャーニーや小さな成功体験を複数のシステムや組織で体現している真っ最中です。NHKは放送の歴史の中で培われていたルール、システム、コンテンツという宝が無数にあり、まだまだ生かし切れていません。放送文化に敬意を払いつつ、そうした宝がオープン化され「NHKが社会をしれっと支えている」、ちょっと先のミライを想像しながらナニカを創造するために挑戦を続けています。
「なんてことのない作業が この世界を回り回って 何処の誰かも知らない人の笑い声を作ってゆく」(「彩り」Mr.Children)私の好きな曲の一節です。ニュースAPIを開発している間、ハッカソンを計画している間、世の中は進歩し、新しいソリューションを発表しています。作っては壊しを繰り返して改善を図るクラウドでの開発は、NHKではまだ始まったばかり。NHKの持つ取材データ、文化を継承する有益なコンテンツ、過去の多種多様な番組アーカイブは宝であり「公共財」だと思います。これらを有機的につなぎ、その価値を判断できる内部基盤と公開基盤を構築してようやく、公共メディアとして社会のあらゆる問題や課題に立ち向かえると考えています。新しいナニカをみんなで一緒に考え、作って壊して、また作って、公共財を社会とともに育てていきたいです。
SNSを中心にスポーツ、ニュース、天気をチェックします 通勤中は英語の勉強もしくはゲーム
DoneとToDoリストをまとめ、チームで共有します 相談事をチェックして早期課題解決に努めます
現行システムを次期システムにクラウド移行するために、問題点を洗い出し、解決方法や検証について議論します
放送センター内の食堂でSNSを見ながら、知人のリア充でパワーをもらいつつ、いいね!することが多いです
調査や研究を依頼している企業と進捗共有 得られた知見や開発状況をもとに、実務に応用できるか考察を深めます
マイクロサービスを本番系にデプロイするため、PC画面をチームで共有しながら複眼チェックで安全に作業します
次のサービスや調査内容のイメージをチームや上司と共有するため、モックを開発したり、システム設計図を描きます
帰宅後は、YouTubeを見ながらビールを飲んで「笑う」のが好きです