デザインセンター・映像デザイン部川名 隆
ドラマ「超人間要塞ヒロシ戦記」のセット美術を担当
大学では日本画を専攻し、1人で作品を作る楽しさを知っていましたが、仲間と制作活動をする喜びも味わいました。廃材で家具を作ったり、自主映画を作ったり。自分だけではできないものを仲間と作りあげる体験をして、チーム一丸となって一つのものを制作する仕事がしたいと思ったのが、この仕事を目指したきっかけです。
ドラマ「阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし」では、チーフデザイナーとして主人公の阿佐ヶ谷姉妹が暮らす部屋のセットを一から作りました。二人の姉妹のようでもあり、夫婦のような関係に着目して、“対”になる小道具を散りばめました。スタッフの方から、「セットが面白いね」と反応してもらえたり、役者の方が小道具に気づいて、それを演技に取り入れてくれたときは、うまく物語にセットが生きていることを実感できてうれしいですね。
セットをデザインする際、スケジュールや予算を考慮する必要があり、そのことばかりを考えて、モノづくりの楽しさを感じられなくなった時期もありました。番組サイドからもOKがもらえず悩んでいた時に、先輩に「細かいことは後で考えればいい。とにかく面白そうな絵を描こう」と言われ、大胆なデザイン画を描いてみたところ、それがOKに。実現が難しく思うようなデザインでも、大勢いる美術スタッフがアイデアを出してくれます。皆さんの力を得ながら、ワクワクするものを作ることが大事なのだと気づくことができました。 「超人間要塞ヒロシ戦記」では、物語の主な舞台となる宇宙船の内部を考えるのに苦労しました。原作の漫画には詳しく描かれてない母星の歴史など、細かい設定から考えていきました。一から世界観を想像する大変さはありますが、やりがいも感じています。
とにかく面白いドラマを、美術デザイン担当として作っていきたいです。そのためには、全部署が高いレベルで技術を磨いていく必要があると思います。NHKでは、時代劇やファンタジー作品など様々なドラマに関われるので、やりたいジャンルを絞らずに、アイディアの引き出しが多い、万能なデザイナーを目指していけたらと思います。仕事以外でも美術展に行き、モノ作りのヒントを得たりしています。そういった日々の積み重ねによって、役者さんの演技の後押しができるようなものが作れたらうれしいです。また、昨今注目されている、誰もが使いやすいデザインを推奨するユニバーサルデザインの考え方も意識しながら、制作陣みんなでワクワクするものを作り続けていきたいです。
シリアルを食べ、7時半に家を出ます。最近始めた自転車通勤で、40分ほどかけて放送局に向かいます
メールをチェックします
担当ドラマの収録スタジオに行き、セット作業が滞りなく進んでいるか、装飾に間違いがないかをチェックします
食堂や局近くの飲食店で昼食をとります
デザイン画や図面を描きます
担当ドラマの別セットをチェックしに、スタジオへ
担当ドラマの台本を読み込んだり、今後の収録スケジュールを確認します
スタジオに行き、翌日以降の収録に備えて打ち合わせをします
帰宅後は、動画配信サービスを利用しながら夕食をとります