NHKさいたまブログ

その道の達人に「埼玉県のトリビア」を教えてもらう「彩たまDEEP」
ゲストは、大東文化大学教授 宮瀧交二さんです。

 

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旧制粕壁中学校時代の加藤楸邨
(さいたま文学館『加藤楸邨と埼玉』より)

 

「加藤楸邨」という俳人をみなさん、覚えていらっしゃいますか?

中学高校の国語の教科書でよく登場する方です。楸邨は、実は、埼玉県春日部市で俳句と出会い、俳人の道に進むことになったのです!

 

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旧制粕壁中学で教員となった楸邨は、ほかの教師のススメで無理やり俳句を始めることになりました。

その後、あの名句が生まれたのは、やはり埼玉でした。


「鰯雲人に告ぐべきことならず」

教員の安定した収入を捨て、大学で改めて俳句を学ぶ決意をしたときの句です。

子ども3人、そして郷里の妹や弟に仕送りをしなくてはならなかった身としては、相当な覚悟だったはずです。

背景を聞くと、胸に来る句だと思いました。また、明治、大正、昭和、平成を生きた楸邨ですが、古利根川を夫婦で訪れた時の句「芹の根も棄てざりし妻と若かりき」と当時貧しかったころを詠んでいます。

妻と当時を懐かしんだのか、その妻に感謝の気持ちだったのかわかりませんが、この十七字に込めた想い・・・。俳句の奥深さ、人間性に巣張り切り込んでいく数々の句。

楸邨に魅了されたDEEPコーナーでした。


さらにさらに、埼玉県は、そうした楸邨の功績もあってか、とても結社の数が多く、その後、川柳や短歌のグループも全国的に見てもいまだ多いそうです。


さいたま~ずで五七五のコーナーも人気となっているのは、楸邨が礎を築いたからかもしれませんね。
秋、楸邨に浸ってみるのはいかがでしょうか?

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