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Discover science column

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今回の実験は「高速磁石列車」

太いゴムチューブの力で高速で動く列車。すごい迫力でしたね。でも、今回の実験で注目してもらいたいのは、横にある小さなライト。100個ずつ5枚のパネルになっています。これを点けることができるかどうかが、今回の大実験。テーマは発電なのです。ちょっと難しい言葉を使うと「電磁誘導」。導線のそばで磁石を動かすことで導線に電気の流れを生じさせることです。大実験では固定した導線の下を列車に見立てた磁石を走らせました。

「大科学実験」ではこれまでにも発電をテーマにした回があります。実験07「人力発電メリーゴーラウンド」と実験27「なわとび発電」がそれです。番組の冒頭で、自転車のライトが出てきました。タイヤの回転をモーター(発電機)に伝え、ライトを点けます。人力発電メリーゴーラウンドでは、ペダルをこいでモーターを回して発電。その電力でメリーゴーラウンドを動かしました。

モーターの中に入っているのは導線をぐるぐる巻きにしたコイルと磁石です。磁石のそばでコイルをくるくる回すと、電気が流れます。今回の実験では、巻いていたコイルをまっすぐな導線にしています。同時に、回転の動きも磁石の直線的な動きに変わります。

流れる電気の大きさは磁石の強さと動きの速さで決まります。もう少し正確にいうと、磁石の力の変化量で決まります。磁石は近づくと力が強まり、遠ざかると弱まります。この強弱が変化量です。ゆっくりゆっくり磁石を動かせばじわじわと変化していくので変化量としては小さくなりますが、すばやく動かせば変化量は大きくなります。大実験では、磁石の数を増やし、ゴムの力を借りてすばやく動かすことで、500個の発光ダイオードのあかりを点けることに成功しました。

この実験では「ネオジム磁石」という超強力な磁石を使っています。実験レンジャーの話によると、手に持った磁石どうしの距離が30センチくらいでも引き合う力を感じるほどだとか。実験では長さ3センチ、直径3センチの筒型のネオジム磁石を使っていますが、赤と青に塗り分けたのは実験レンジャーたちです。うっかりしていると、手に持って色塗りをしている磁石めがけて、別の磁石が飛んできたそうです。おかげで、実験レンジャーたちは血豆だらけに……。なんともはや、壮絶な実験でありました。

(日本科学未来館・詫摩雅子)