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Discover science column

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今回の実験は「立て!トラック」

番組の最初のほうに登場するおもちゃは「やじろべえ」。左右のおもりのバランスをうまく調節すると、少しくらい傾けてもへっちゃら。ゆらゆら揺れながら、元に戻ります。

右に傾けると、その動きはアームを通して、左のおもりを持ち上げることにつながります。持ち上げられたおもりは、落ちてもとの高さに戻ろうとします。勢いがついて、もとの位置よりもさらに下まで下がることがありますが、それでも大丈夫。左のおもりが下に下がると、右のおもりが持ち上がることになり、今度は右のおもりが落ちることになるからです。

前後に傾けても同じです。やじろべえの本体を前に傾けると、左右のおもりは後ろに向かって持ち上げられます。おもりは落ちてもとの高さに戻るため、本体は傾いた状態から起き上がります。

やじろべえでは、本体と左右のおもりのバランスが大切となります。さらには、アームの長さや角度も関係します。このあたりは粘土のおもりなどで実際にやじろべえを作って、ぜひ実験してみると、楽しいですよ。

大実験で立たせようとしたのは、小型トラック。アームと合わせると重さは約1100kg。途中まで、ずっと左右のおもりは同じ重さにしていましたが、立ったときには左のおもりは348.0kgで右は330.6kgと約17kgの差がありました。これは不思議ですよね。

実は、実験レンジャーたちは当初、トラックの重心から2本のアームを伸ばそうと考えていました。しかし、そうすると右のアームが後ろのタイヤにぶつかってしまうことがわかり、重心から40センチほど上にアームの取り付け位置を動かしたそうです。重心とトラックが立つことになる一点とを結ぶ線の延長上にアームの取り付け位置があれば、理屈の上では左右のおもりは同じ重さになるはずですが、少しずれたのではないか、ということでした。また、実際に現場でやってみると、タイヤを固定していなかったために動いたり、アームが重さでたわんだりしていたそうです。そういうことも左右のバランスに影響している可能性がありそうです。

実験レンジャーたちは、見事、一点でトラックを立たせることができたら、棒の先でアームを押してトラックをぐるりと回転させようと考えていたそうです。でも、やってみたらびくともしない。合わせて2トン近くあるので、棒でちょっと押したくらいでは無理だったようです。近寄って直接グイッと押したら動いたと思う、という話でしたが、当日は風も強く、さすがに危険でした。ちょっと残念でしたね。

(日本科学未来館・詫摩雅子)