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Discover science column

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今回の実験は「音の特等席」

二酸化炭素の詰まった大きな風船を音源の前に置きます。すると風船がないときに比べ、音の聞こえ方が小さくなる場所と、大きくなる場所ができる──不思議ですよね。どうして、こうなっているのでしょう。

番組の始めの方にレンズが登場しました。レンズはガラスでできていて、外側にふくらむような形をしています。ガラス中と空気中とでは、光の進む速度が違うため、レンズの中に入るときと出るときに光は折れ曲がります。中を通って来た光が一点に集まるように形を工夫したのがレンズです。

今回の実験での風船も、レンズと同じような役割をしていると思われます。中に二酸化炭素を詰めていますが、空気と二酸化炭素とでは、音の伝わる速度が違います。レンズを通った光と同じ現象が起きて、音の集まる場所ができるというわけです。

でも、音が集まったのは、別の可能性も考えられます。風船の脇を通った音が、風船の後ろに回り込み、ちょうど風船の真後ろで左右から来た音が重なったという可能性です。

音は音源から空気の中を波のようにひろがっていきます。池に石を投げ入れると、波が同心円状に広がっていくように、音も同心円状に広がっていきます。2つの石を少し離れた場所に投げ入れると、波が重なったところではより高い波になります。

風船の左と右を通った音の波は、風船の真後ろでぶつかるはずです。ちょうど実験で一番、音が大きくなっていましたね。

音が大きくなった理由が、レンズのような効果なのか、左右を通った音の波が重なった効果なのかは、今回の実験だけからではわかりません。両方とも効いている可能性もあります。

実験レンジャーの話によると、大実験のときには少し移動するだけで音の大きさが本当に変わったそうです。耳で聞く感じとしては、大きさだけでなく、音が聞こえてくる向きが変わる感じがしたのだとか。

レンズの効果と波が重なる効果と、どちらの方がより効いているのかを突き止めるには、別の実験が必要です。どんな実験をすればそれがわかるでしょう? ぜひ、考えてみてくださいね。

(日本科学未来館・詫摩雅子)