阿南市は“ガチ”で野球でおもてなし

ざっくり言うと
電光掲示板、アナウンス、チアガール完備の球場で地元チームが迎え撃つ「野球観光ツアー」
「9番、ピッチャー、大越くん」。大越ピッチャーもガチで登板
2019/11/21 「三宅民夫のマイあさ!」 三宅民夫の真剣勝負! 大越健介の現場主義

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スポーツ

2019/11/21

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2019年11月21日(木)放送より

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【出演者】
三宅キャスター:三宅民夫キャスター
大越キャスター:大越健介キャスター


こじれる「桜を見る会」、問題の本質は見えているか

三宅キャスター: 大越健介さん、きょうは四国、徳島県阿南市にいるそうです。大越さん、おはようございます。
大越キャスター: おはようございます。
三宅キャスター: 「なぜ阿南市なんだろう」とラジオをお聴きのみなさん、お思いだと思いますが、それはまた後ほどということですね。まず、最近のニュースの話から始めましょうか。
大越キャスター: 少々こだわりが強いんですが、先週、総理大臣主催の「桜を見る会」、これはこじれますよという話をさせていただいたんですが、やっぱり国会、こじれていますよね。税金を使った社交の行事に安倍総理の個人事務所の案内で地元の後援者から数多くの人が招待されていました。安倍総理自身、「ことしの招待者のうち、総理側からの推薦は1000人程度だった」ということを認めています。野党の追及はやむ気配がありませんよね。
ここで大事なのは、論点をきちんとしぼることだと思うんですよね。野党側は「桜を見る会」の前日に都内の有名ホテルで開かれた後援会の会合の費用について、参加者個人が支払った額が安いのではないかと。もしその分を安倍事務所が補填(ほてん)していたとすれば、事実上の買収ではないかと追及していて、安倍総理側はこれを否定しています。その点も確かに焦点ではあるんですけれども、「問題の本質って一体何なんだろう」っていうことをもう1度考える必要があると思うんです。

大越健介の現場主義(2019/11/14放送)はこちら

三宅キャスター: 問題の本質。
大越キャスター: やっぱり「公私混同があったかどうか」ということではないかと思うんです。税金を使って行う社交の場、そこに招待されるのは、政府の説明によれば「皇族や各国の大使、閣僚、国会議員や各界の代表者」ということになっています。安倍総理大臣の地元の支援者の中にもそれぞれの立場で地域に貢献していらっしゃる“各界の代表者”と言える人も当然いるでしょうけれども、それにしても全体の出席者が1万5000人という中で、安倍総理大臣の推薦が1000人程度というのは、個人事務所の推薦があまりにも大きいな、という感じがしますよね。公金で大盤ぶるまいする時代ではないわけですから、「政権運営の緩みがあった」と言われてもしかたがないと思うんです。
菅官房長官は会見で、「安倍総理自身、反省を示している」というふうに言っていますけれども、安倍総理大臣は憲政史上、最も長い任期を記録していますよね。ですから、それだけの風格を持って国民に向き合ってほしいと思いますし、反省すべき点があるのであれば、しっかりと反省の言葉を述べて行動で示すと。そんな政治を見せてほしいな、というふうに思います。
三宅キャスター: 国内外、ほかにもいろんなニュースがありましたね。
大越キャスター: ありましたね。「ニュースは消費される」っていうふうに僕は思ってるんですよ。消費されてはいけないニュースもあるんですけど、日々いろんな事件が起きて、いろんなニュースが取って代わられていく忙しい世の中ですが、その中で実は心にひっかかったのが、女優の沢尻エリカ容疑者の違法薬物を所持していたという容疑での逮捕。これはちょっとショックを受けました。
「あなた何で沢尻さんなんですか? ちょっと似合わないんじゃないですか」と言われそうですけれども、私は実は彼女にインタビューをした経験があるんですね。2012年、<ニュースウオッチ9>という番組のキャスターをやっているときに、映画『ヘルタースケルター』が話題になっていました。彼女は主役として女優の新境地に至った、そんな印象があってインタビューをして。そのとき、女優という仕事に本当に魅力を感じていることを熱く語っていました。1人の人間としての本音や、「実は結婚もしたいんですよね」みたいなことも正直に話をしてくれて。
ちょっと気難しい印象のある人だったので、インタビューしたときは私自身がほっとしたという強い思い出があるんですが、彼女自身の供述によりますと、「この10年間ほど、薬物を使用していた」ということのようですので、インタビューをしたときも実はそうだったのかなと思うと、何ともやるせない思いがいたします。この際しっかりと調べに応じて、人生の新しい局面に踏み出す機会と捉えて、これからのことを考えてほしいなというふうに私自身、個人的には思いました。

野球のまち阿南 “ガチ”なおもてなしの草野球

大越キャスター: 後半はがらりと話題を変えて、阿南市について話します。
三宅キャスター: 後半のタイトルが「ガチでおもてなし、野球のまち阿南」。ガチでおもてなし?
大越キャスター: 「ガチ」というのは、NHKのニュースではあまり使わない言葉かもしれませんけれども(笑)。
この阿南市は、徳島県南部の人口約7万人のまちで、海あり山ありの本当に風光明美なところです。このまちは非常にユニークな取り組みで知られているんです。阿南市役所の産業部という中に、その名も「野球のまち推進課」という課を持っているんです。まさに市を挙げて「野球のまち」として発展を目指しているところなんです。きのう、この阿南市で「なるほど、野球でまちおこしとはこういうことか」と、私、実際に経験させてもらいました。その印象を語ると、「ガチでおもてなし」という言葉になります。
三宅キャスター: 「ガチ」って、「ガチンコ」というぶつかり合うイメージがあるじゃないですか。それでおもてなし?
大越キャスター: そうなんです。この阿南市では、ほかの県から積極的に野球を愛する人たちを観光ツアーとして招く取り組みをしていて、その1つが「実際に草野球をやってもらおう」ということなんです。阿南市に来て、心ゆくまで草野球を楽しんでもらうために、あらゆるガチなおもてなしの姿があったんですね。
きのう実は愛知県半田市の60歳以上の人たちからなる、いわゆる“還暦野球”のチームが阿南市を訪れていました。山間なんですけど阿南市には非常に立派な野球場があって、両翼100メートル、ナイター設備や電光掲示板、さらには投手の投げたボールのスピードガン表示まであると。天然芝がきれいで本当に「ここは野球をやりたくなるな」という場所なんですけれども、そこを迎え撃ったのが、同じ還暦野球の地元阿南市の強豪チーム。その草野球の試合が、まさにツアーのメイン行事だったわけなんです。
三宅キャスター: 草野球だと「のんびり」っていうイメージがありますが、それが「ガチ」って、どういうことですか?
大越キャスター: 例えばですね、電光掲示板に自分の名前が表示されて場内アナウンスがつくんですよ。プロ野球みたいでしょ。これは僕みたいに野球が好きな人間からすると、自分の名前が電光掲示板に表示されて、例えば「9番、ピッチャー、大越くん」と言われると、本当にゾクゾクすると。
三宅キャスター: あっ、名前も呼ばれるわけですか?
大越キャスター: 呼んでくれるんです。実際にそういう女性のアナウンスの方がいらっしゃって、公式記録員もいて。そしてなんとスタンドには、ポンポンを持ったチアリーダーの方もいらっしゃる。
三宅キャスター: えっ! チアリーダーもいるんですか。
大越キャスター: その名も、「ABO60」と言いまして、妙齢な女性によるチアリーダーのみなさんなんですが(笑)、両方の選手を応援してくれるんです。私も実はこの地元阿南市のチームのほうに合流させていただいて、大学時代はちょっとピッチャーなんぞをやらせていただいていましたので、登板をさせてもらいました。結果はあまり期待にそえるものではなかったんですけど、結局試合が接戦になるという貢献は果たせたということでありました。
三宅キャスター: 大越ピッチャーとしては、活躍はどうだったんですか。
大越キャスター: 2回投げて4点取られてしまいまして。
三宅キャスター: だめじゃ……(笑)。
大越キャスター: 実は相手の半田市のチームの方々に話を聞いてみると、もともと高校の名門野球部で大活躍した人であるとか、社会人の都市対抗野球で活躍した、そうそうたるメンバーで、もちろんお年もお年なので、なかなか足がついていかなかったりはするんですけれども、非常にやっぱりレベルも高くて楽しかったですね。実はこれで4回目の訪問だということでした。その半田市の方々がこの試合をいかに楽しみにしているかということを聞いたんですけれど、「試合設備といい、チアガールといい、非常に大真面目に試合をできることが楽しいんだ」と。
そして阿南市の迎え撃つ監督のお話も聞いたんですけれども、「一切の手抜きなんてありません。必死です、こちらも」ということで対戦成績もこれまで拮抗(きっこう)しているということなんです。こうしたアマチュアのチームをたくさん呼んで、その実力に見合うチームを編成してここで試合を行う、というのがこのツアーの1つの見どころなんですね。
三宅キャスター: すごいユニークですけど。どうしてそういうことが始まったんですか?
大越キャスター: 熱心な市の職員がいらっしゃいまして、今も市の参与を務めていらっしゃる田上重之さんという方です。生まれつき体が不自由で、大好きな野球なんですけれどもご自身では十分に楽しめないと。その思いをむしろ市の発展に生かそう、野球をまちおこしにつなげられないかと考えられたそうなんです。
市内に本格的な球場が整備されたことが大きな飛躍のきっかけになって、徳島は暖かいところですので、春の野球シーズンになりますと、冬場になかなか思うように練習ができない北のほうの野球の強豪校の高校などが訪れて合宿することもあってですね、地元との野球を通じた「化学反応」が起きたということです。
三宅キャスター: 化学反応?
大越キャスター: そうですね。人間と人間がつながりあうというのはいろんな場面であると思うんですけども、やっぱり化学反応には「触媒」っていうものが必要だと思うんです。この「野球のまち阿南」の場合は、まさに田上さんという方がみずから「触媒」になった。野球を通じて人と人とをつなげる、まちを発展させる。そうした知恵を持って実践に移したということが大きいと思うんですよね。
おもてなしと言いますと、相手を気分良くさせる、ともすると相手の機嫌をとるようなこともあるかもしれませんけど、そうじゃなくて、まさにガチで、すべてのことに本気で野球を通じて交流し合うことで、このまちが「野球のまち」として発展し、そしていろんなところとのつながりができた。

こんなこともあったんです。この春の選抜甲子園に富岡西高校という阿南市の進学校が登場して、優勝した愛知の東邦高校と戦って、接戦を演じた場面もありました。これは高校野球ファンの間ではなかなか話題になって、これも1つの野球のまちおこしの象徴的な姿かな、というふうに思ったりしています。
三宅キャスター: 話を聞いていると、地方創生のヒントがありそうな感じがしますね。
大越キャスター: 地方創生って、かつてはよく言われましたけれども、最近はちょっと聞かないのが残念なんですが、その実践例の1つだと思いますよね。もともと阿南というのは野球どころ、その野球を通じてそれを外に開いて、まちの発展に尽くしている。これはやっぱり地方創生の実践例だと思うんですよね。いろんな地域の人たちの話を聞くと、「自分たちもまちおこししたいけど、なかなか思いと実践、結果が伴わない」という声が多いんですけれども、やっぱり熱意を持ち続けることに尽きるんではないかなと思いました。一極集中の中で、大事な問題だと思いました。
三宅キャスター: ありがとうございました。

NHKジャーナル「徳島・阿南 野球ファンがしびれるまちづくり」(2019/07/02放送)の記事はこちら

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2019年11月21日(木)放送より

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