いざという時に覚えておきたい! アウトドアスキル

24/03/09まで

石丸謙二郎の山カフェ

放送日:2024/03/02

#登山#ネイチャー#防災・減災

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登山を趣味とし、山を愛する石丸謙二郎さんが「山」をテーマに、さまざまな企画をお届けする<石丸謙二郎の山カフェ>。今回のテーマは「いざという時に覚えておきたい! アウトドアスキル」。アウトドアライフアドバイザーの寒川一さんに、命を守るための大原則、「サバイバル3の法則」や、災害時の備蓄品としておすすめのグッズを教えていただきます。また、被災時に応用できるアウトドアのスキルも伝授してもらいましょう!

【出演者】
石丸:石丸謙二郎さん(俳優・ナレーター)
山本:山本志保アナウンサー
寒川:寒川一さん(アウトドアライフアドバイザー)

「3日間の飲料水」「30日間の食料」

山本:
きょうの「山カフェ」は、「いざという時に覚えておきたい! アウトドアスキル」と題して、アウトドアライフアドバイザーの寒川一さんにお越しいただいています。
先ほどは、「空気3分」、「体温3時間」という、「サバイバルの3の法則」の前半2つを伺いました。
(※くわしくは8時台後半の放送で)

  •  ① 酸素 → 空気がないと「3分間」しか生きられない
  •  ② 体温 → 適切な体温を維持できなければ「3時間」しか生きられない
  •  ③ 水分 → 体内に水分がない状況では「3日」しか生きられない
  •  ④ 食料 → 食べなければ「30日間(*3週間説もあり)」しか生きられない

この「サバイバル3の法則」、残りの2つを教えてください。

寒川:
「3日間の飲料水」です。能登半島地震で「生存の72時間」と、よく報道で言われておりました。あれは、水を飲めるか、飲めないかという72時間ですね。

山本:
“脱水”は、生命に関わる状況なのですね。

寒川:
本当は、純粋な水だけではなく、ミネラルも必要ではありますが、とにかく飲み水を確保できないと、何も始まりません。

石丸:
泥水も飲めないわけではありませんが、その後、何の病気になるか、分かりませんからね。

寒川:
そうですね。危うい水は、絶対飲んではいけないです。お腹を壊して体内から水分が出てしまうので、逆効果になります。だから“安全な水”を確保する必要があります。

山本:
そして、“4つ目の”3の法則は?

寒川:
「食料を30日間」。30日間ということは、かなり時間の余裕がありますから、むしろこの考えでいくと、皆さんの備えが変わるのかなと思います。世界中にたくさんの災害がありますけれども、食料がまったくないケースは、あまり聞いたことがありません。大抵、何らかの救援がそれまでにはやってくる。だけど、「自分でやっておかなければいけない」のは、先ほど紹介した3つ。これは人がケアしてくれない可能性があります。

山本:
空気・水・体温。この3つは自分で。

寒川:
“自分で守れて、家族を守れる”ぐらいは、しておきたいですね。

災害への備えとして役立つ、アウトドア道具

山本:
ここからは、具体的に「3の法則」を踏まえて、災害への備えとして役立つ、アウトドア道具や、知っておきたいスキルを教えていただきます。登山やキャンプにアウトドア遊び、いろいろありますけれども、いざという時に使えるのはどんなものでしょう?

寒川:
「アウトドア用品」です。特に登山用品は、頑丈にできている。きょうは、「登山用のヘルメット」を持ってきました。頂上からの落石に特化して作られているので、中を見ると、すごく大きなパッドが頭についていますよね?

石丸:
ちょっと空間がある。直撃してガーンとならないように。

寒川:
また、ヘッドライトが装着できるようになっていて、機能的でもあります。一般商品に比べてお値段は高めではありますが、長く使えます。

石丸:
軽いですしね。
おしゃれにもなりましたからね(笑)。

寒川:
長い目で見ると、アウトドア用品は、いろいろな場面に使えるかなと。

石丸:
1人1つ、ということですよね?

寒川:
ヘルメットとヘッドライトは、家族に1個ではなくて、1人につき1個。

石丸:
最初から、ヘルメットにヘッドライトを装着した状態にしておくといいですよね。

山本:
私、ちょうどほしいと思っていました。どうせヘルメットを買うのであれば、山にも使えて防災にもなるのはいいですよね。

寒川:
昔は、大きな乾電池で、ライトも豆球だったので暗くて、電池もすぐなくなってしまったのですが、今はLEDで、すばらしいですよね。
今はUSBで充電できるものもありますから、持たない手はないぐらいです。

山本:
続いての、山の装備・防災でのおすすめグッズは?

寒川:
「エマージェンシーブランケット」です。

石丸:
薄手のアルミホイルみたいな……。

寒川:
一説には、「毛布3枚分の暖かさがある」と言われております。ただ、使うのにコツがあって、頭からすっぽりかぶって、全身に巻きつけます。

石丸:
広げると1枚のシートになっていて、ぐるぐると服の上から巻きつける。

寒川:
自分から発する熱を反射させるものになっています。雨が降っても、基本的には大丈夫です。

山本:
「エマージェンシーブランケット」というのは、大きな薄手の素材のアルミシートなのですね。

寒川:
これが命を救う、大きな境目になるような物だと思います。

石丸:
すごく軽い!

寒川:
邪魔にもならないです。100円ショップでも購入ができます。
何個も購入しておくといいかもしれません。

石丸:
一回広げちゃうと、畳むのがなかなか大変なんだよね。

山本:
でも畳むと、手の平の中に収まっちゃうぐらいの大きさですね。

こんな体験談が来ています。

愛知県・40代男性
役に立った道具は、「エマージェンシーシート(ブランケット)」です。薄いシュラフしか持っていなかった時に、テント泊で毎回のように使っては畳んで持ち歩いていました。ある時、山仲間から「日常的に使うものじゃないよ」と言われて、暖かいシュラフに買い替えました。今は非常用として持ち歩いていますが、寒い時にはどんどん使っていいアイテムだと思います。

石丸:
これ銀色でしょう? もしものことが起きて、ヘリを呼ぶときに、反射板として使えますよね。

寒川:
僕は、自分の体の大きさに合わせて、ペンで自分の見ごろを書いて、テープで貼って、ジャケットを作るというワークショップもやったことがあります。これを服の中に入れると非常に暖かいです。あとは、自分の足のサイズに合わせて切って、靴底を作ったことも。靴に1枚入れると全然暖かさが違います。

山本:
ふだん寒いときにも使えますね(笑)。

続いてのおすすめの品が、「登山用ザック」。

寒川:
そのままザックとして使う機能だけではなく、これを背負って歩けば、後頭部までカバーすることができます。例えば、上から物が落下してきた時に、背中のエアバッグのように、脊髄を守る。転倒した時にも、これがあるかないかで全然違います。大きなザックだと、頭を越えるぐらいの物もあります。

また、ザックは容積がリットルで示されています。きょう持ってきたザックは、約50リットルなので、50リットルのゴミ袋をザックの中に入れてしまえば、お水を入れて持ち運ぶことが可能です。

石丸:
水を運ぶペットボトルがなくてもね。

寒川:
灯油を運ぶポリタンクは、18リットル入りますが、あれを手で持った時の重さは、すごくありますよね。人間の手の筋肉は大してないので、バランスが崩れますが、18リットルを背負ったら全然重くないです。

また、ザックはストラップが長くついているので、これを伸ばすと、1人入れられるぐらいのスペースができます。自分とザックの間に空間を作ることができるので、“しょいこ”のようになります。

石丸:
おんぶして行くのはつらいですからね。
床に座って足を通してもらって、自分はいつもの肩のひもを通せば。

寒川:
また、おんぶだと手が使えなくなりますが、背負うと両手が使えます。

石丸:
おんぶをして山から降ろすのは、疲れるし大変だからね……。

石丸:
そしてもう一つは、「浄水機」。油性ペンみたいな形をしている。

寒川:
ペットボトルにも“ジョイント”が簡単にできます。ペットボトルにつけて、逆さまにしてもらえば、ある程度は水の重力で点滴のように落ちてきますし、押しながら飲んでみてください。

石丸:
(ほうじ茶のペットボトルで実演)んん! ほうじ茶が水になってる!

寒川:
これがあれば、非常に簡単に飲料水を確保できます。

石丸:
ペットボトルの中に泥水を入れて、浄水器をねじって、逆さまにするだけで出てくる。こんなのが売っているんですね。

寒川:
山に行かれる方たちが縦走をされるとき、昔は5リットルくらい持って歩いていましたけれど、浄水器を持っていれば、1~2リットルのお水を持って行って、飲んだ分を、沢で補充することができます。自然界の水から、飲料水を得ることができる道具ですね。

石丸:
10グラムくらいで軽い。 こんなものがあるのですか!

寒川:
こういうアウトドア用品は一般的には知られてないですよね。僕は車の中に積んで数本持っています。

災害時に活かせる! アウトドアスキル

石丸:
グッズに加えて、アウトドアのスキルで災害時に活かせることはありますか?

寒川:
素材をよく知ることも重要なことで、私は今、ウールのシャツを一番下に着て、中間着として空気のたっぷり入るウエアを着て、その上に「シェル」と言われるジャケットを着ています。そうすることで、自分から発する熱を温めておいて閉じ込めることができます。外に出ても、ジャケットの中の温度は保たれている状況です。

先ほどの浄水器もですが、あらかじめ知っているのと、知らないとでは、大きく状況が変わってくると思います。

山本:
“重ね着”って、大事なのですね。

寒川:
脱いだり、着用したりで、恐らく20度ぐらいは対応できるかなと思います。

山本:
体験談が寄せられています。

福島県・50代女性
ウールの靴下、速乾性のTシャツ、下着は基本ですね。知床半島の探検で、3泊4日、着たきりでも平気でした。避難生活でも役に立つと思います。

寒川:
山へ行かれる方は、基本として理解をされて、身に着けているのはすばらしいですね。

山本:
今、お手元にボトルがあります、「広口ボトル」というものですね。山でどんなふうに使っていらっしゃるのですか?

寒川:
「広口ボトル」は、頑丈にできていて、圧力にも強いものです。温度も100度を超えたものを入れても大丈夫です。僕は水筒としても使いますが、例えば、キャンプで湯たんぽとしてお湯を入れて使うこともできます。

また、広口というだけあってメガネが入るので、テントで寝る時に、踏んでしまったり、「メガネどこいった?!」みたいなことはありがちですから、メガネを入れたり、車のキーもよく入れます。

先ほど、ヘッドライトの話が出ましたが、もし停電とかした時に、このボトルの中にお水を入れた上で、ヘッドライトで照射すると、光がボトルから拡散されて、常夜灯のように使えます。ヘッドライトは照射角が狭いですから、ふだんは1人分ですが、この状態で使えば、グループでこの明かりを頼りに行動することができます。

山本:
体験談のメールも来ています。

群馬県・40代女性
家が停電した時に、幸いガスは無事だったので、夫婦それぞれの登山用ヘッドランプを使ってお風呂に入りました。壁にかけた2つのヘッドランプに照らされた浴室は、夜の露天風呂のように思えたらしく、子どもにとって温泉気分で楽しそうでした。

山本:
この方は、風呂場でヘッドランプを使ったということですが。

寒川:
アウトドアの用品は、シンプルで頑丈にできているものが多いので、考え方次第でいろいろなものに活用できます。それが面白さでもあるかなと思います。

山本:
また、「水は必要だけれど、たくさんは手に入らない」。そういう時に、何かアドバイスはありますか?

寒川:
「補充ができる」がすごく大切だと思っております。たくさんのものを備えておくのは安心ですが、備えたものは減っていくわけですよね? それも何日間使うのか、最初からわからないことが多いです。災害時は、復旧の日が明確に出されない。ひょっとしたら、1か月、水が得られない可能性もあるわけです。そういう時に「補充ができる」もの。先ほどの浄水器もですし、充電バッテリーもソーラーの性能がすごく上がっています。太陽光で電源も補充ができる。このことを意識していれば、「備えておくプラス、補充をする」。これがキーワードだと思っています。


番組では、番組へのメッセージ・写真投稿をお待ちしております。また、最新の放送回は「らじる★らじる」の聴き逃しサービスでお楽しみいただけます。ぜひ、ご利用ください。

石丸謙二郎の山カフェ

ラジオ第1
毎週土曜 午前8時05分

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【放送】
2024/03/02 「石丸謙二郎の山カフェ」

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