インドア派から一転、登った山は100座以上! 書道家・武田双龍さん

24/02/10まで

石丸謙二郎の山カフェ

放送日:2024/02/03

#登山#ネイチャー

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登山を趣味とし、山を愛する石丸謙二郎さんが「山」をテーマに、さまざまな企画をお届けする<石丸謙二郎の山カフェ>。今回は「山と書」をテーマに、書道家の武田双龍さんをお迎えしました。インドア派から一転、登山に目覚めた双龍さん。そのきっかけを伺いました。

【出演者】
石丸:石丸謙二郎さん(俳優・ナレーター)
山本:山本志保アナウンサー
武田:武田双龍さん(書道家)

「自分が苦手なものをやってみたい」

石丸:
今、武田さんの作品を見ていますが、大きくて、力強くて。これは何という文字だろう?

武田:
「逢」という字の作品ですね。

石丸:
“龍のしっぽ”みたいになっていますね。

武田:
まさにそれをイメージさせてもらいました。
大きい紙に書いて、それを7つに切って、作品化したものです。間の文字の部分を切り取って、パーツとして分かれていて、「出会いのかけらが大きいものになる」という作品にしました。

石丸:
これは大きい筆で?

武田:
すごく筆が大きいですね。パフォーマンス用の筆で書いたものです。

石丸:
ああいうものは、売っているのですか?

武田:
売ってはいるのですが、それ以上に大きいものになってくると、特注になります。私が持っている一番大きい筆だと、墨を含んだら25キロにもなる筆もあります。

石丸:
それで書道家でありながら、山にも?

武田:
山は、趣味の一環ではありますが、“山と書道は通ずるもの”があるので、楽しませていただいております。

石丸:
山にはどれくらいのペースで?

武田:
「週に一度は行く」レベルですね。雨でも行きます。今は冬なので、頻度は低いですが、雪山も好きですね。

石丸:
そもそもですが、登山を始めたのは何年くらい前?

武田:
2019年の夏頃だと思います。5年前なので、意外とそんなに長くなくて。

山本:
5年間でどれぐらい制覇されたのですか?

武田:
100座は超えていて、有名なところで言うと、剣岳(つるぎだけ)・槍ヶ岳(やりがたけ)・水晶岳(すいしょうだけ)・鳳凰三山(ほうおうさんざん)・薬師岳(やくしだけ)など、だいたいは登りましたね。

山本:
すごい! でも、実は双龍さんは、「アウトドア全般が苦手だった」という。

武田:
外があまり好きじゃないというか、スポーツするにもインドアだったし、自然が得意なタイプではなくて。田舎出身ではありますが、ちっちゃい時からゲームばっかりしていたし、インドア派でしたね。

石丸:
そのままずっといくものだと思っていたら……。

山本:
何が起きたのでしょう?

武田:
「自分が苦手なものをやってみたい」と思って、王道ですが、高尾山(たかおさん)に1度行ってみました。そしたら、自然の美しさに感動したのもありますが、自分が思っている以上に登れない。「山頂まで90分しかかからない」と言われていたから、「若いし大丈夫だろう」とは思っていましたが、やっぱりしんどくて。「これはちょっと、自分も若くないな」と思って、そこから体力作りを始めて、いろいろな山に登るようになりましたね。

石丸:
その次はどこに?

武田:
これも王道ですが、筑波山(つくばさん)です。

山本:
高尾山がしんどくて、“リベンジ”として登ったということですか?

武田:
リベンジでもありますし、山がとにかく面白かったのがありますね。自分が思っている以上に「自然はきれいなんだな」と思いましたし、山頂まですごく長いけれど、つらい先に山頂があった時の達成感に、筑波山あたりでハマって、ちょっとずつ低山を中心に登りました。

山本:
高尾山の次が筑波山というのが、セオリー通りでいいですね。

武田:
知り合いに聞いて、勧められたので。根が真面目なタイプなので、基本から忠実にやりたいと思っていたので、教科書通り。危険のないように、登山ショップに行って、ちゃんとした靴も購入して、ちゃんとした洋服も購入して。

石丸:
いいお客様でございます。
手応えのある山に、最初に行ったのはどこですか?

武田:
神奈川県の大山(おおやま)ですね。友人と登ったのですが、友人全員がひざを痛めて、自分はそのとき少し慣れていたので、痛めませんでしたが。「大山は簡単な山」と言われていますが、僕ら含めて、素人からすると、階段も長いし、下りもひざを痛めるような山なので、そこから「山って結構大変なんだな」と思いましたね。

石丸:
ということは、ケーブルを使わなかった?

武田:
そうですね(笑)。せっかくならば、ケーブルを使わずに下りも頑張ろうと、男坂から下りて。でも、夕方になっちゃいましたね。

石丸:
それは結構大変でしたね。

武田:
途中でしゃべったり休憩したりすると、意外と時間って過ぎるじゃないですか?

山本:
そうですね。
でも、「大山で自信を深めた」というのは?

武田:
みんなひざを痛めているのに、自分は登りの時に息も切らさないし、「体力があるのはいいことなんだな」と思いました。また、体力があると「人生楽しめるんじゃないかな」と思って、そこから本格的に体力作りをするようになりました。

石丸:
ステップアップすると、次は“泊まり”ですね。

武田:
そうですね。でも「泊まりをやりたい」というよりは、「槍ヶ岳に登りたい」と思ったんですね。

石丸:
泊まらざるを得ない。

武田:
泊まらざるを得ない山なので、得意じゃなかったけれど。虫も嫌いだし(笑)。

石丸:
虫も嫌い!

武田:
あんな薄い(生地の)中で寝るなんて、考えられなかったです。

石丸:
ということは、テント?

武田:
テントです。

石丸:
小屋じゃなくて?!

武田:
その前に、塔ノ岳(とうのだけ)の尊仏山荘には泊まったのですが、槍ヶ岳に行く時は、「どうせならチャレンジしたい」という意味で、テントを持っていきました。楽しかったですね。すごく暑い日でしたが、登って幕営して。でも、初めてなので眠れなくて。

石丸:
一人で行ったの?

武田:
一人で行きましたね。

石丸:
いきなりソロテント?! ハードルを上げる、上げる。

武田:
そうですね(笑)。
でも、槍ヶ岳に登った時に感動しました。低山もすごくすてきですが、アルプスの山は、自分が想像していたよりも美しすぎて、涙が出ちゃって。そこから本格的にハマるようになって。テント泊自体も好きになったので、春・夏・秋は、毎週のように泊まりに行きました。

山で書

石丸:
書道家として、すずりや墨は(山に)持っていくのですか?

武田:
実は持っていきます(笑)。(山で)書くことがやってみたくて。

石丸:
どこで書くのだろう?

武田:
テーブルがある山だったら楽なのですが、例えば、大菩薩嶺(だいぼさつれい)だったら、りょう線上に、平たくていい感じの岩があって。そこで正座で書いたりすると、富士山をバックに書けました。すずりのセットとか書道の道具は、実は登山ショップで販売しているので、やられる方がいるのかなと。実際に見たことはないのですが。

石丸:
僕も持っているんですよ。僕の場合は、字を書くのではなく、スケッチブックに絵を描いちゃった人なんですよ。

武田:
絵もすてきですよね。

石丸:
墨と紙と筆を持って行って。

武田:
いろいろ書いたりして、すごく楽しいですね。

石丸:
大きさは?

武田:
半紙か色紙の大きさですね。半紙よりも2回り大きい紙を持っていくこともありましたが、どうしても重たくなってしまうので。いつかは大きめの紙を持っていきたいですね。

石丸:
平たい場所なら蓼科山(たてしなやま)の山頂とか。

武田:
たしかに! 冬しか行ったことないですが、夏だったら岩があるのかもしれないですね。

石丸:
あそこは、岩が平らばっかりです。

武田:
そこで大きいのを書こうかな……!

山本:
X(旧:Twitter)で、「山小屋で書道教室を開催してくだされば参加したいです」と来ております。いかがですか?

武田:
たしかに面白いですね。山小屋もすてきなところで、最近、本当にたくさん行っているので、そういう機会があればいいと思います。

石丸:
水も、自然の水や雨水で!

武田:
ちゃんと雨水で炭をすって、自然を楽しみながら書道するのも楽しそうです。

石丸:
僕もすずりを持っていた時は、自然の水でやりました。自分の気持ちが違うだけなんだけれど(笑)。

武田:
おっしゃる通りで、「山で書いたら、何が違うの?」って言われると、「自分の気持ちが違う」というところではありますが、大好きですね。

雨が上がったあとの槍ヶ岳の美しさに感動

山本:
5年間で、100座を超える登山。槍ヶ岳に登ったという話を伺いましたが、「印象に残ったことがあった」そうで。

武田:
1回目は、天気がよくて最高でしたが、2回目の槍ヶ岳は、雷雨に見舞われて。槍ヶ岳の手前1時間ぐらいだったので、逃げ道もなく。

石丸:
カールのところですね。

武田:
カールのところで、逃げ道もないし、木もないし、その後も怖くて、「いつか、雷に打たれるんじゃないか」と、周りの登山者の方もおびえていて、みんなで声を掛け合って登っていました。その後、雨が上がった槍ヶ岳が、夕日に照らされて、あまりにも美しくて。1回目に登った時は、青空の槍ヶ岳に感動したのですが、2回目の雲の中から顔を出す槍ヶ岳に、とんでもない感動を覚えましたね。でも、その時のテント泊が、びしょびしょで寒くて、それも同時に記憶に残りました(笑)。

石丸:
テント泊ということは、14~15キロは担いでいますよね。

武田:
僕は軽いタイプを担いでいるので、7キロぐらいですね。

石丸:
山に登り始めたのが5年前でしょう? 進化した物を手に入れて、考え方も進化しているところから始めている。僕みたいに重い物を背負う人は、最近やらない。

武田:
最初から勧めてもらっている物が軽いので、10キロいかないんですよね。

山本:
“令和の登山”という感じがします。

石丸:
そうだね。
高所恐怖症というか、槍ヶ岳の最後のはしごは平気ですか?

武田:
怖いですね(笑)。今でも、高いところはそんなに得意ではないですが、せっかくなので登りたいと思って、1回目は登りました。2回目は人が多かったので、断念しました。

石丸:
怖いときって、どうやって克服しています?

武田:
考え方ですよね。下を見ないようにするとか……。今でも高いところはすごく怖いので、慎重に慎重に……。

石丸:
はしごって登るのはいいけれど、下り始めは怖いでしょう? 「あそこから体を乗り出すの?」って。

武田:
「こういうところは、人が行くところなの?」と思いながら、下っていますね(笑)。

山本:
でも、100座行かれているわけでしょう? 結構高い山もあるじゃないですか? “選ぶ基準”はあるのですか?

武田:
しらみつぶしですね。アルプスなど、有名な山は全部登りたいし、ネットで上がっているような山に、全部登ってみたいだけですね。

山本:
みんなが知っている山には登りたい。

武田:
その中でも好きな山はありますが。

山本:
「有酸素運動が苦手」というのは、どう克服したのですか?

武田:
2019年に始めるまでは、ランニングもしないし、“ハアハアしている”のがすごく嫌だったのですが、いつの間にか、“ハアハアする”のが気持ちよくなってきて、そこから“ハアハアしながら登る”のが楽しくなってきてしまいました。今は有酸素運動が大好きで、毎日走っています。

石丸:
トレイルランも?

武田:
2年くらい前から、トレイルランにも挑戦しています。

石丸:
そういうのが、一番嫌いな人だったのに!

武田:
そういうのが好きではなかったですが、トレイルランから始めて、ランニングをするようになりましたね。山があまりにも面白いので。

山本:
どこかでスイッチが切り替わるのですか?

武田:
登り始めは、最初、誰しもきついと思いますが、体が慣れてくると“ハアハア”も落ち着いてくるし、“ハアハア”を楽しめるようになる。“ハアハア”をしている時に考えることは、これだけきついと、「ふだん、仕事や大変なことがあっても耐えられそうだな」と。人生経験のためにもなるかなと思っていますね。


番組では、番組へのメッセージ・写真投稿をお待ちしております。また、最新の放送回は「らじる★らじる」の聴き逃しサービスでお楽しみいただけます。ぜひ、ご利用ください。

石丸謙二郎の山カフェ

ラジオ第1
毎週土曜 午前8時05分

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2024/02/03 「石丸謙二郎の山カフェ」

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