大河ドラマ『光る君へ』をもっと、楽しむためのコーナーが「ラジオ深夜便」で放送する「もっと、光る君へ」。キャストやスタッフが、ドラマの現場から制作チームのこだわりをお伝えします。案内役は、ドラマの芸能シーンに携わる、芸能考証・指導の友吉鶴心（ともよし・かくしん）さんです。
【出演者】
友吉：友吉鶴心さん（薩摩琵琶奏者・『光る君へ』芸能考証・指導）
渡辺：渡辺大知さん（藤原行成役）
書の達人、行成を演じて
友吉：
案内役の友吉鶴心です。
きょうは、藤原行成（ふじわらのゆきなり）役の渡辺大知（わたなべ だいち）さんとご一緒にお送りします。
藤原行成といえば、「書」が大変優れた、歴史的な人物ですが、書のお稽古を重ねられていかがですか？
渡辺：
最初は大変だったんですけれども、根本知先生（書道指導）にご指導いただいて。柔らかく書くということにすごく苦労したんです。小学校のときに習ったような、ぎゅっと押して書くような感じになっていたんですけど、それを平安の優美な雰囲気というか、「かな」の柔らかな美しい文字というのを、会得するのにすごく苦労しています。今も頑張っているところです。
友吉：
そばで拝見していると、どんどん素敵な字になっているんじゃないかなと。この間も、副調で拝見していたんですが、小さな紙に和歌を書く場面があって、監督（演出）がOKを出しても、「もう１度、撮らせてください」っていう場面を見てしまったんですけど。
渡辺：
あの時は、ちょっと大変でしたね。手元の寄りになると、震えてきてしまって。
それはいくら練習していても、どうすることもできなかったりして、こんなつもりじゃなかったのにと焦って、より手が震えてきてしまったり。それぐらい、本当に書いています。手元が映るところは、なんとか自分でと。
友吉：
でも、書くことは楽しくなってきていますか？
渡辺：
そうですね、徐々に。ただ書くだけじゃなくて、歌（和歌）をうたっているように、そういう気持ちになって書くことができるようになってきました。もちろん、まだまだ技術はだめですけど、歌うような気持ちで字を書けるようになってきたのかなと思っております。
友吉：
渡辺大知さんといえば、大変著名なミュージシャンでもいらっしゃいますが、「音楽」と「書」の関わり合いみたいなものを感じるときはありますか？
渡辺：
やっぱり、空気の流れといいますか、「漂う時間や雰囲気の流れをキャッチする」というところは似ているのかなと思いますね。
音楽も、どんなに激しい音楽だろうが、穏やかな音楽だろうが、「流れている時間を、よりいいものにする」という「空気を扱う表現」でもあるので、そういうところが似ているのかなと思います。
友吉：
このドラマでの行成の人物像。脚本と向き合って、何か思いはありますか？
渡辺：
柄本佑（えもと たすく）さん演じる、藤原道長という人物がメインにいらっしゃいますけど、その周りに、いろんな欲望を抱えた人物がたくさん出てきます。この行成という人物は、その中でも自分の欲望というのはあまりなくて、「人の欲望をどう叶えようか」ということを考えて、それが自分の生きる喜びでもあるような人物なのかなと思っております。
友吉：
道長さんを見る目が、いつもキラキラしているんですが…（笑）、行成さんにとって、道長さんの存在というのは？
渡辺：
幼少期から道長と生活を共にしているようなところがあって、憧れを超えて恋愛にも似た気持ちがあるのかなとも思うんですけど、それは年齢とか、いろんな環境の変化とともに変わっていったり…。でも、心のどこかにずっと、そういう憧れを超えた何かみたいなものは、持っているんじゃないかなと思いながら演じています。
友吉：
最後に今後の見どころを、ぜひ行成さんから。
渡辺：
本当に波乱万丈というか、ドロドロもするし、激しい展開があるんですけど、ここからまた、吉高さん演じるまひろと、道長の「出会い」「離れ」の繰り返しがロマンチックになっていくと思うので、そこを見ていただけたらなと思います。
個人的には、行成としても、そのおふたりの恋路には参加しないかもしれませんが…（笑）、道長をより近いところで支える役目になっていくと思うので、そこを見ていただけたらなと思います。
友吉：
本当に品の良い藤原行成さんと、ご一緒にお送りしてまいりました。これからも、道長さんをそっと見守っている役になるのかなと想像しております。
きょうは、藤原行成役の渡辺大知さんとご一緒にお送りしました。
【もっと、光る君へ】藤原斉信役 金田哲さん（2024/03/17放送）
【もっと、光る君へ】藤原伊周役 三浦翔平さん（2024/03/31放送）
【もっと、光る君へ】チーフ演出 中島由貴ディレクター（2024/04/07放送）
【放送】
2024/04/21 「ラジオ深夜便」
この記事をシェアする