【もっと、光る君へ】装飾 大角啓太郎さん

24/12/31まで

もっと、光る君へ

放送日:2024/02/18

#大河ドラマ#映画・ドラマ

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大河ドラマ『光る君へ』をもっと、楽しむためのコーナーが「ラジオ深夜便」で放送する「もっと、光る君へ」。キャストやスタッフが、ドラマの現場から制作チームのこだわりをお伝えします。案内役は、ドラマの芸能シーンに携わる、芸能考証・指導の友吉鶴心(ともよし・かくしん)さんです。

【出演者】
友吉:友吉鶴心さん(薩摩琵琶奏者・『光る君へ』芸能考証・指導)
大角:大角啓太郎さん(装飾)

台本のセリフから登場人物が持つ道具をイメージする

友吉:
案内役の友吉鶴心です。
きょうは、「装飾」を担当する、大角啓太郎さんとご一緒にお送りします。

装飾さんは、室内の調度品を整えたり、登場人物の持つ道具を準備したりするお仕事ですよね。
大角さんとは、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(2022)など、たくさんご一緒させていただいていますが、今回は平安時代。準備は大変でしたか?

大角:
そうですね。平安時代の貴族の社会を描く、ほぼ初めての大河だと思うので、絵巻をよく隅から隅までじっくり見て、「こういうのがあるんだ」と。分からないものは先生方に「これはどういうものですか?」と聞いて、それが準備可能かどうか、道具と相談しながら準備を進めてきました。

友吉:
道具って、あるものもあるけど、ほとんどないですよね。

大角:
この時代のものは、ほとんどないですね。そういう時は、いろんなものを手作りしていくんですけども、例えば主人公のまひろが代筆仕事をする時の携帯用の筆巻き。現代でも、筆を巻くものもあるんですけど、「まひろが自分で作ったんじゃないか」って思わせるようなものを使いたいなと思って、ちょっと手作りでやってみました。

友吉:
どうやって作っていくんですか?

大角:
ホームセンターとかで売っている「すだれ」を改良しました。今回の筆が七寸ぐらいの長さがある筆なので、それに合わせて裁断して、糸を全部ほどいて、色を変えて付け替えました。で、エンジ色の布で縁取って、巻いたあとに留めるひもだけを紫色にして、ちょっと、後の紫式部を予言しているじゃないですけど…というのにしてみました。

友吉:
すごいな~、いろいろお作りになって。硯(すずり)もお作りになりましたよね。

大角:
(藤原)為時が、今、亀の形をした硯を使っているんですけど、あれも手作りでやらせてもらいました。

友吉:
なんで亀なんですか?

大角:
台本を読んだイメージなんですけど、為時さんがちょっとのんびりしているというか。仕事が欲しいけど、自分からは取りに行かないとか、でも地道に1歩ずつ、進んでいっている、けなげに1歩ずつ歩いているっていうのが、ちょっと亀のイメージがあったので、亀の硯を使っていたらいいかなと。亀の甲羅をとると硯の面になっているというので作ってみました。

友吉:
キャラクターを表したり、スピリッツにあるものをちゃんと台本を読み解いて、装飾していくということですね。

大角:
そうですね。台本のセリフとかから、「こういう事を言う人って、こういう人だよな」っていうのを自分の中で考えながら、「じゃあ、こういう人って、こういうのを持ってるよね」とか。「こういう使い方するよね」みたいなところをイメージしながらやってますね。

友吉:
ほかにもたくさんあると思うんですけど、私が非常に印象的だったのは散楽のシーン。
町の中で芸能を楽しむために、シンボル=「ここでやってますよ」っていう、大きなのぼり旗とか何かを立てるんですけど、そこに「冠」みたいなのを作ってくださった。

大角:
あれも、(美術)デザインさんのほうから、「何かインパクトのあるシンボルないかな」っていう話が出まして、ちょっと私もふざけて、「でっかい冠みたいなのを掲げたらどうかな」っていうのを笑い話で冗談っぽく言ったんですけど、「それいいですね」って話になってしまいまして…。言ったからには作んなくちゃいけないというところで、竹細工をいろいろ見ているうちに、これを逆さまにしたら冠っぽく見えるかなと。

友吉:
何を逆さまに?

大角:
実は、どじょうすくいのザルを逆さまにして。巾子(こじ)のとんがっている部分は、うなぎのビクをひっくり返して立てたら、冠っぽく見えるかなと。それを組み合わせて黒い布で覆ってみて。
で、試作したものを1回友吉先生に見てもらって、「これ、怒られますかね?」というご相談をさせてもらった時に、「もっとやっちゃっていいんじゃないか」っていう話が出たので(笑)。横のかんざしの部分をもっと長くしたほうがいいんじゃないかとか、纓(えい)の部分を異常なぐらい長くして本数も増やしちゃったほうがいいんじゃないかというふうに言われまして(笑)。
もう先生がそう言うなら、やるだけやっちゃおうみたいな。やり過ぎるぐらいまでやってみようっていうので、あれが完成したって感じですね。

友吉:
「えい」は、冠の後ろに布が出ている。それを旗印みたいに、「地面にこすりつけるぐらいまで長くしたら」とか、「すごく派手にしたらいいと思います」というご提案をさせていただいたわけでございます。
いろいろ想像しながら作っていくのは楽しいですか?

大角:
あるものを作る、再現するっていうのもいいんですけど、やっぱり、ないものを想像しながら作るっていうほうが、想像力が膨らんで楽しいですね。

友吉:
ぜひ皆さん、ドラマを再生して何回もご覧いただくときには、持っているものとか、机の上に置いてあるものとか、さまざまにちょっと見ていただけると、さらに楽しくご覧いただけるかなと思います。
きょうは、装飾の大角啓太郎さんとご一緒にお送りしました。


【もっと、光る君へ】紫式部/まひろ役 吉高由里子さん(2024/01/07放送)

【もっと、光る君へ】藤原為時役 岸谷五朗さん(2024/01/21放送)

【もっと、光る君へ】所作指導 花柳寿楽さん(2024/02/04放送)

光る君へ

日曜日 [総合] 午後8時00分/[BS・BSP4K] 午後6時00分

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【放送】
2024/02/18 「ラジオ深夜便」

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