【もっと、光る君へ】所作指導 花柳寿楽さん

24/12/31まで

もっと、光る君へ

放送日:2024/02/04

#大河ドラマ#映画・ドラマ

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大河ドラマ『光る君へ』をもっと、楽しむためのコーナーが「ラジオ深夜便」で放送する「もっと、光る君へ」。キャストやスタッフが、ドラマの現場から制作チームのこだわりをお伝えします。案内役は、ドラマの芸能シーンに携わる、芸能考証・指導の友吉鶴心(ともよし・かくしん)さんです。

【出演者】
友吉:友吉鶴心さん(薩摩琵琶奏者・『光る君へ』芸能考証・指導)
寿楽:花柳寿楽さん(所作指導)

平安時代のテンポ感を大切に

友吉:
案内役の友吉鶴心です。
きょうは、所作指導を担当する、日本舞踊家の花柳寿楽さんとご一緒にお送りします。
所作指導とは、着物などの着付けをしたときの立ち振る舞いや、いろいろな動きのアドバイス。どうしたら一番すてきに見えるかというのを現場で指導してくださっていると思うんですが、今回の平安(時代)については、特に何かございますか?

寿楽:
一番気を付けていることは、僕の中ではテンポ感なんですね。芝居の感情の動き方っていうのは、僕は同じだと思うんですね。好きと思うタイミングだったりというのは、基本的には同じだと思うんですけど、何かを考えている“間(ま)”。
例えば、今ですとSNSやメールで、すぐに行って帰ってくるというのが、瞬間的ですよね。でも、手紙を誰かにお願いして、お月様を見ながら…「届いたのかな、届かないのかな」「返事はいつ来るのかな」っていうテンポ感っていうのは、やっぱりあるんだと思うんですね。

衣装も、特に今回の平安のものは江戸のものとかと比べますと、女性は十二単を着ていたり、男の人も狩衣(かりぎぬ)だと、たもとが大きいわけですね。
例えば、同じたもとをさばくような“さばき”にしても、武士っぽい感じでやるとバサバサして、とてもうるさくなっちゃうので、“ふわっ”というのか、“さらっ”というのか、そういうところの扱いが大事なのかなと。
あと、女性が長袴のすそをさばいて(歩いて)いく時に、目いっぱいさばけば、誰でもさばける。それをいかに必要最低限ぐらいの動きでやるのかっていうのが、慣れに見えたり、きれいに見えるところのポイントなのかなと。

もう1つ、テンポのほかに大事にしていることは、オンとオフのメリハリを出そうと思ってるんですね。
オンは宮中にいるような時、そして、オフっていうのは自宅で過ごしてるような時。
分かりやすく言うと、きちんとネクタイを締めて会社に行きますよね。で、家に帰ってきてネクタイを緩める感じがオフの感じだと思ってもらえばいいんですけど。それと似たようなことで、狩衣というのは、首のところにボタンみたいなもので1つ留まっているのですけども、それを家に帰ってきて外して、くつろぐ。ちょっとネクタイを緩めるような感じ、ジャケットを脱ぐような感じで袖を抜いてみる、とかっていうようなことをほかの平安のものよりも多用してみたり、崩せるところは今回、1歩も2歩も攻めて崩してみようかなと思ってます。

結局、平安時代でも、やっぱり人はこうだったんじゃないかなと思うこともあるんですよ。座ってるよりは、寝そべっている方が楽だったり、やっぱり楽な時は楽していたと思う。
それは、絵巻物の端っこのほうに描かれているような絵の中の1コマでも、「きっと、こういう風景や人っていうのはいたんだね」っていうものから、イメージを膨らませて使えるようなものがあったら、さしこんでいけたらいいかななんて。それをなるべく役の個性として、それも監督やご本人と相談しながらさせていただいてます。

友吉:
たくさん芸能が出てきて、芸能の中でもご一緒にお仕事をさせていただいておりますが、五節の舞(ごせちのまい)は儀式的要素が多かったですよね。それとは真逆な「散楽(さんがく)」、楽しかったですね。

寿楽:
散楽は楽しかったですね。ジャズのセッションみたいに、演出家がいて僕がいて、友吉さんがいて、あとアクロバットができるような人たちがいて。「ここでは、こんな表現がしたいんです」って言うと、それぞれが提案するわけですよ。「和の感じでいうと、こうかな」とか「洋の感じだったら、ここまでいってもいいんじゃない」みたいなことを言って、何か入札みたいに「じゃあ、それいただきましょう」「ここ、これいただきましょう」って。

友吉:
散楽は正倉院御物の中にたくさん絵が残っていまして、跳んだり跳ねたり、宙返りをしたり、かなりのアクロバットをしている絵図が残っていますので、それをお伝えして、振付の中に用いていただいたような感じでございます。

寿楽:
散楽っていう芸能は、今まであんまり扱ってないんですよね。今回いくつか、あんまり平安の中でも扱われていない芸能みたいなものが出てくると思いますので、それを扱うにあたって、どういうふうにやっていこうかっていうのは、それぞれの監督(演出)の思い入れがありますので。きっと無理難題を、友吉先生が僕に分かりやすくかみ砕いて、「ここのところの振付をください」とか、「どうしたらいいと思いますか」なんて、ああでもない、こうでもないって言いながら、楽しくやっているような気がします。

友吉:
これからも、舞や音楽や芸能も、いろんなことがたくさん出てくるかと思いますので、そういうところにも注目してお楽しみいただければ幸いでございます。
きょうは、所作指導の花柳寿楽さんとご一緒にお送りしました。


【もっと、光る君へ】制作統括 内田ゆきチーフ・プロデューサー(2023/12/30放送)

【もっと、光る君へ】紫式部/まひろ役 吉高由里子さん(2024/01/07放送)

【もっと、光る君へ】藤原為時役 岸谷五朗さん(2024/01/21放送)

光る君へ

日曜日 [総合] 午後8時00分/[BS・BSP4K] 午後6時00分

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【放送】
2024/02/04 「ラジオ深夜便」

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