【アフロ記者】これからは“助け合いの時代” 「お互いさま」の精神で

24/02/09まで

ラジオ深夜便

放送日:2024/01/04

#アフロ記者#ライフスタイル

暮らしを豊かにする達人たちにお話を伺う「ライフスタイル 令和つれづれ草」。
アフロヘアーがトレードマークの元新聞記者・稲垣えみ子さん。今回は新年に起きた災害や事故から、これからの時代に必要な「助け合い」についてお話いただきました。(聞き手・渡邉あゆみアンカー)

【出演者】
稲垣:稲垣えみ子さん(元新聞記者)

助けることで、自分が助けられる

――年末年始、いかがお過ごしでいらっしゃいました?

稲垣:
父がいま87歳で、一人暮らしを頑張っているのですが、大みそかから3が日までは、父の家で過ごす、毎年恒例の正月でした。

――ご実家に帰られたということですね。

稲垣:
「あけましておめでとうございます」と言いたいのですが、新年早々大変なことが相次いで起きて、何と言ったらいいのかですが、大みそかは父と2人で「紅白歌合戦」を見て、去年はいろんなことがあった年だったので、出演者の方が「来年はいい年になるといいですね」とおっしゃっていて、「そうだよね」と思いながら見ていましたが、年明け早々、初詣に行って帰ってきたら、大きな地震と津波のニュースがやっていて、テレビの前で沈黙したまま見ていました。そのあと飛行機事故まで起きて、「いい年になれば」という願いがこんなに一瞬にして砕かれて、どう考えたらいいものかと、気持ちの置きどころがありませんが、ただ唯一、たしかなことが一つあると思っていて、それは“助け合いの時代”が始まったと。何が起きるかわからない時代になると、国や大きな組織の力も大事ですが、個人の小さな力を発揮して「お互いさま」と、みんなが助け合わないとやっていけない時代なんだなと思います。

ただ、そういうことを急に言われても、自分のことで精いっぱいでしょうし、「きれいごとじゃないか」と思う方も多いと思います。その気持ちはとってもよくわかりますが、実家に戻ってきたら、たまたま助け合いに関連する冊子が届いていて、「なるほど、そうだよね」とその中身を読んだところでして、きょうはその中身についてご紹介したいと思います。

その冊子というのは、「ユニセフ」という世界の困っている子どもを助ける、黒柳徹子さんが親善大使をされている有名な団体があるのですが、日本の支援者にアンケート調査をしたものが載っていまして、「どうしてずっと寄付をしてるのですか?」と、きっかけを聞いたものでした。
年配の方ですと、「自分も戦争でとても苦労したから、世界で苦労している子どもたちを助けたい」という方もいるし、自身が非常に貧しくて苦労したとか、親しい人と死別したとか、そういう苦労の中で「自分も人に助けられたので、今度は自分が助けたい」という方もいるし、若い方では、「学校の授業で、同じ世代の子どもが大変な状況にあるドキュメンタリーを見て、何かできないかと思いました」とか、いろいろなきっかけがあるなと思って読んでいました。

私が一番印象に残ったのは、「寄付を続けてきてよかったことは何でしょうか」という質問があって、例えば、60代の男性は「寄付を続けていることが唯一の僕の誇りです」という答えがあったり、50代の女性は「世界がつながっていると感じることで、自分が日々頑張れています」という方とか、60代の女性は、精神的な病気になって、仕事をいくら頑張ってもなかなか評価されなくて苦しんでいたけれど、「寄付をするために働くんだと思ったら、腐ることなく仕事を続けられてきました」という答えがあったりと、皆さんが助けてるはずが、“自分が助けられてる”という答えがとっても多かったんですよね。

実は私も最近、ユニセフ・その他の団体に寄付をしまして、私もまったく同じ感想を持ちました。最初は、寄付がきれいごと過ぎて、気恥ずかしい感じがしましたが、いざやってみたら、私は独身ですし、子どももいませんが、世界中に子どもがいるような、家族がいるような感じがあって。その子ども達のお母さんのように「お母さん頑張るよ」と、「みんなのために頑張って稼ぐよ」という思いが強くなってきて、「人を助けることと、自分が助けられることは一体だな」と思いました。よく人を助けたらそれが回り回って、いずれ自分も助けられるみたいなことを言うじゃないですか?

――情けは人のためならず。

稲垣:
それは何となくそう思っていましたが、それだけじゃなくて、人を助けることが、同時に自分が助けられることを、今初めて知りました。これは自分にとっては新鮮な発見で、人生後半戦を生きていくうえで、大事な指針になる気がしています。なので「自分が何をしたらいいのかな?」と、かみしめるような年明けになりました。

ことしもきっと大変な時代になる気がしていますが、自分にできることを、元気に精いっぱいやっていく年にしていきたいなと思っております。

――寄付することは、あり余っているからするわけではなくて、みんな同じように生きている人達が、「お腹が空いてる」とか「学校に行けない」とか、いろいろなことを見て見ぬふりはできないから、「ちょっとでもお役に立てるなら」という思いがありますよね。昔、私の先輩が教えてくれた言葉で、「貧者の一灯」という言葉がありまして、もちろん稲垣さんは貧者ではないですが、豊かな中からではなくて、同じ人間だし同じ思いを持っている、各地で起こっている戦争・被災地・その他で苦しんでいる子どもたちの顔を見ると、やっぱりいたたまれないですよね。「こんなにあり余るものを食べていていいのだろうか」と思ってみたり。

稲垣:
アンケートに答えた方も、決してリッチな方ではなく、普通の方々ですよね。自分よりもっと困っている人がいることを知ったときに、一歩踏み出すことで、「いいことしてる」だけじゃなくて、「そのために自分が頑張ろう」となるのが、すごくリアルに思いましたし、無理しない範囲でもできることがあるのは、すばらしいことですよね。

――もちろん、貧困や自然災害はないほうがいいですが、必ずこういうことは起こるわけで、そういうときに自然に助け合うことができたらと思いますよね。

稲垣:
助けることで、自分が助けられる。

――いつか自分や、周りの知人や、親族が助けられることもあると思いますからね。

稲垣:
「お互いさま」と改めて感じました。

――そのために自分も頑張っていかなくちゃ。

稲垣:
下を向いていても変わらないので、元気に生きて、その中で人を助けることができたら幸せですよね。

――ことしも頑張りましょう!

稲垣:
元気でやろうと思います。

――ありがとうございました。


【放送】
2024/01/04 「ラジオ深夜便」

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