【みんなの子育て☆深夜便】子育てリアルトーク「子育てからみる この一年」

24/02/10まで

ラジオ深夜便

放送日:2023/12/28・2023/12/29

#子育て#家族#コミュニケーション#お悩み#コロナウイルス

12月のテーマは、「子育てからみる この一年」。2023年は、子どもや子育て家庭を取り巻く課題、社会の在り方について、いろいろと考える機会が多い1年でした。そこで、こどもまんなか社会、子どもの権利、少子化対策…など、いろいろなキーワードをあげながら振り返ります。(聞き手・村上里和アンカー)
*放送の一部をこちらでお読みいただけます。全体は「聴き逃し」からどうぞ!

【出演者】
犬山:犬山紙子さん(イラストエッセイスト)
青山:青山誠さん(保育の専門家)

コロナ禍が“子どもの育ち”に与えた影響とは?

――きょうは、子どもや子育てにまつわる、いろいろなキーワードを挙げながら、2023年を振り返ります。まず取り上げるのは、“子どもの育ち”です。

2023年7月に京都大学などの調査で、コロナ禍を経験した5歳の子どもは、平均して4か月ばかり発達が遅いという分析結果が発表されて、ニュースになりました。言葉での表現、そして社会性といった領域で遅れが出ているということなんですが…。犬山さん、このニュースを知ってどんなふうに思われましたか?

犬山:
うちの子どもが6歳なので、本当に関係のあるニュースだなと思って、最初はやっぱり不安に思いました。これがその…、可逆性のあるものなのか、それとも不可逆のものなのか。きっと子どもは、ぐんぐん成長するから、取り返しもつくのかなって思いながらも…。でも、うちの子の場合、例えば、お泊まり保育が無くなるとか、動物園に行って動物のスケッチをするとか、そういった園の行事とかもやっぱりたくさん無くなっていたんですよね。

あとは、マスクで(隠れているから)相手の表情を読むとか、コミュニケーションのところは、きっと、遅れもあるだろうから、どうやってそれをこれから無理させない程度に取り返していけるのかなとは、不安に思っています。

――青山さん、今の犬山さんのお話を受けて、現場の感覚としてどうでしょうか?

青山:
はい、この調査は、私も目を通したんですけれども、調査の中でも確かに遅れは見られるんだけれども、この程度の遅れであれば、消失していくであろうということも記されておりました。

たとえば、園の行事のようなことって、工夫をしても、コロナの中では、やっぱりちょっと今までどおりにはできないことってたくさんあったと思うんですね。で、僕は、それはあんまりたぶん問題ではなくって、(犬山さんが)おっしゃられた、むしろ、マスクによって大人の表情が見えないということが(問題で)。子どもって“社会的参照”といって、例えば、ごはんを食べるときも、ママとパパと一緒に「おいしいね!」っていう、顔を見ながら「おいしい」という言葉を身にしみさせて、言葉を獲得していくというか。単に語彙数が増えるわけではないんですよね。

で、そういう意味では、コロナの中でやっぱり子どもたちの自然な欲求、あるいは身近な人たちとの感情を交えた関わりっていうのが制限されてきたことが、おそらく一番、子どもたちの発育にとっては影響が大きかったのかなと。で、まあ、どうしたらいいかなんですけれども。

――はい。これから先、どうしたら良いでしょうか?

青山:
もうね、本当に、お父さんとお母さんが、普通に、普通に、子どもたちと一緒に楽しく過ごしていれば、もう全然問題ないと思うんですよね。

もちろん、楽しくっていっても、ときには怒ったり、疲れたり…。とにかく普通に暮らすっていうことをしていけば、子どもの中には育つ力っていうのがありますから! それはその周りの人と一緒に育っているんですね、実は、お母さんお父さんとか、友達とか、おじいちゃんおばあちゃんとか。なので、“日常を豊かに普通に楽しむ”で大丈夫だと思います。

――犬山さん、いかがですか?

犬山:
心強いですね! “子どもと楽しく過ごす” それが一番なんだなってわかりました。

病児保育はハードルが高い!

――続いてのキーワードにいきましょう。“病児保育”です。ことしはインフルエンザをはじめ、子どもたちがかかりやすいさまざまな感染症が、同時流行した年でもありました。

お便りを2通続けてご紹介します。
愛知県30代女性
私の身近な体験から、ことし考えたことをメッセージしたいと思います。この4月より、育児休業から復帰したのですが、保育園に入園したての2歳の娘は、案の定、たくさんの病気をもらってきて、まともに働けない状態でした。そこで感じたのは、病児保育の必要性です。みんなの利用が集中し、空きがなかったり、キャンセル待ちの末、予約できてもアクセスが悪かったり、医療機関で所定の様式を書いてもらう必要があるなど、とにかく利用までのハードルが高すぎました。そして、慣れない病児保育室に体調の悪い子どもを預けるときの、あのいたたまれない気持ちと言ったら…。

そんな中、もし私が市長なら、訪問型の病児保育の拡充を進めたい! それも今すぐ! と思いました。訪問型なら体調の悪い子どもあちこち連れ回す必要もないし、慣れた環境で過ごすことができる。そして新たに、病児保育室をつくるといったハード面の費用と手間も必要ない。一番の問題は、スタッフさんたちをたくさん集められるかどうかかな? などなど。今、育児休業中の手当増加や、不妊治療の休暇制度など、さまざまな政策が進められていますが、職場復帰したあとに必要となる病児保育もすごく大切だと思います。そんなことを考えた2023年の暮れでした。

――そしてもう一人いきます。

奈良県40代男性
8歳の長女、5歳の長男、2歳の次男の子育て中です。とにかく子どもはよく熱を出します。次男の鼻水、発熱から始まり、長男が高熱を出し、それが治ったかと思えば、長女がインフルエンザ(泣)。一度にかかっても大変なのですが、微妙にずれながら次から次へと子どもの発熱。奥さんはデイサービスに勤めておりまして、コロナ禍以降は身内の発熱による出勤制限がさらに慎重になり、12月は2週間ぐらい仕事を休まざるをえませんでした。給料がどれくらい減るかわかりませんが、なかなかの経済的問題です。子どもの医療費負担軽減等はありがたく助かりますが、複数の子どもがいる家庭だと今回のようなことが起こりやすいのではないでしょうか。少子化対策の1つとして考えてほしいと思いました。

という、お2人からのメールをご紹介しました。病児保育の必要性、そして、看護で休まざるをえないときの金銭面で支えてもらえたら…という、おたよりでした。犬山さん、どうお聞きになりました?

犬山:
いや、病児保育は本当にハードルが高いなっていうのは、私もすごく感じていて。実は1度も、まだ使ったことがないんですね。たどりつけませんでした。

――そうですか。

犬山:
昨今というか、つい昨日かな? SNSで、「病児保育にかかるのがいかに難しかったか」というポストが流れてきたりとか。みんな同じように苦労しているんだなって思ったり。あと私自身がフリーランスなので、先日やっぱり子どもがインフルエンザにかかり、家族みんなでかかってしまったんですけれど、もちろん職場に迷惑がかかることも本当に心苦しいんですけど、フリーランスだと休んだ分まるまる、お金がね…、なくなるっていうのは、まあすごく大変なことだなと思いながら過ごしていました。

――いやー、本当にそうですね。青山さん、こういう声が、たくさんあるようですが…。

青山:
そうですね。保育園からの風景として、保育園に預けられないお子さんが、次にまず行くのが病児保育なんですよね。でも、このお便りも犬山さんもおっしゃったとおり、すごく実はハードルが高いです。数が限られているのと、手続きがやっぱり複数あるので、働いている方からすると、朝、時間との戦いになってしまうっていうこともありますし…。

で、今、選択肢がやっぱり少なすぎるような気がするんですね。まず、園があり、保育園があり、そこへ預けられない状態ですと、やはり病児保育1択。で、そこに預けがたいとなると、このお便りの方のおっしゃるとおり、他にも幾つかの手だてっていうのは、ありえたほうがいいかなと思います。

子育て支援全体にいえると思うんですけれども、今までの子育て支援って、お家から人を減らすっていう手だてがすごく多かったと思うんですね。「預けていいよ」って。「お子さん預けていいから、ちょっとママ、リフレッシュしてきてね」って。これももちろん一案だと思うんです。でも、このお便りにあったように、お家に人が来てくれて、ちょっとホッとされるっていう方もいるかと思うんですよね。お家の状況、お母さんお父さんの心境もあるから、選択肢の1つでいいと思うんですけれど…。なので、何かその子育て支援の案というのも、もっと複数あってもいいのかなって気はしています。

犬山:
熱を出している子どもを(外に)連れて行くのも本当につらい気持ちもあるので、おっしゃるとおりですね。あと、子どもって急に熱を出すので、事前登録って…。いやいや、熱出すことを事前に予測するなんてできない! みたいな気持ちもあったりします。

――(病児保育の受付が)前日の何時までにというのがあるそうですね。当日受け付けてくれるところもあるようですが…。朝起きて、ガーンってことがありますからね。

犬山:
本当に…。

――しかも時間に追われている。やはり選択肢をもっと増やしてほしいっていうのはありますね。

今の時代に合った“選択可能な”子育て支援を

――こんなおたよりも来ています。
神奈川県60代女性
娘たち夫婦は、保育園の送り迎えと発熱による自宅待機が悩みごとのようです。2人では対応しきれない状況がありますが、男性上司が露骨に「奥さんの実家に頼め」と発言したのはいかがなものかと思っています。

こちらの方は(娘さん夫婦の子育てを)お手伝いされていると思うんですけれども、この上司の発言…。

犬山:
いやー、いただけないですね! これ、何で“奥さんの”ってついているところが、はてな(?)ですし。もちろん頼れるんだったら、きっともう頼ろうとしていると思うんです。しかも、すべてのお家が実家との折り合いがいいっていうわけでもないと思うんですよね。そういう多様な人のことも考えてないし。この発言のせいで、本当に会社を休みづらくなるというか、これも本当に良くないなと思います。

――「休んでいいよ」って言ってほしいですね。

犬山:
言ってほしいです。

――やっぱり、青山さん、社会の意識っていうのも変えていかないといけませんね。

青山:
そうですね。やはり昔のままの家庭像で社会が構成されているって、まだまだ思われている方がすごく多くて…。先ほどお話しした「いどばた」という会(月1回保育園で保護者と子どもが夕飯を持ち寄って食べる会)を始めたのも、例えば、食の方面でいうと、それこそ夕飯をみんなで囲んでおかずが出てきてっていう、もちろんこれが幸せな風景の1つであることも否定はしないんですけれども。でも、その幸せに、そうじゃなきゃいけないみたいに、押されちゃう人も多いんじゃないかなっていう気がすごくしていて…。

で、それはその…ある条件が整ったときに、それはできる場合もあるけれど、でも、今そうではない人もたくさんいる中で、やはりこのお便りもそうですけれど、昔ながらの「実家なんだから頼れるであろう」とか、「それは奥さんのほうだ」とか、何かそういうことって、やっぱり押しつけちゃいけないのかなって気がします。

で、先ほどのお家に人を増やすような子育て支援も必要なのかなと思ったのは、昔の子育て夫婦の周りに、(助けてくれる人が)何人かいたような、そういう構成をやっぱり社会でもう1回新たに作り出さなきゃいけないんだけど、それは今の時代に合わせて、選択可能な複数じゃないといけないんですね。押しつける複数ではなくて。「この人たち、はい、どうぞ」じゃなくって、時にはもちろん「1人でこれはやりたいな」とか「自分で関わりたいな」っていう場合もあると思うんですよね。

確かに子育てっていうのは、“1人子どもが育つのに1つの村が必要”という言葉があるくらい、何かそのぐらい必要なんだけれど、それを前の家庭像で(あてはめようとするの)は、ちょっと無理があるかなと。

――園の「いどばた」で、お父さん、お母さんどうしが知り合うことによって、助け合うネットワークが出来ていくということでもあるんでしょうね。

青山:
そうですね。ありますね。


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