【みんなの子育て☆深夜便】子育てリアルトーク「育てにくさを感じるとき」

23/12/29まで

ラジオ深夜便

放送日:2023/11/23・2023/11/24

#子育て#家族#コミュニケーション#お悩み

11月のテーマは、「育てにくさを感じるとき」。かんしゃくがひどく、気にいらないことがあると泣きわめいたり暴れたりする、友達とトラブルになることが多い、落ち着きがない、といった、子どもの困った行動や気になる様子にストレスを抱えていませんか? 当事者の悩み、経験談に耳を傾けながら、対応のヒントを探りました。(聞き手・村上里和アンカー)
*放送の一部をこちらでお読みいただけます。全体は「聴き逃し」からどうぞ!

【出演者】
柴田:柴田愛子さん(保育施設「りんごの木」代表)

静かで大人にとって都合のいい子なんていない!

――子育てリアルトークのコーナーです。ゲストをご紹介します。子どもの心に寄り添う保育をモットーに子どもたちの成長を見守っていらっしゃる保育の専門家、Eテレで『すくすく子育て』でもおなじみ、保育施設「りんごの木」代表の柴田愛子さんです。柴田さん、どうぞよろしくお願いいたします。

柴田:
こちらこそ、よろしくお願いします。

――きょうは祝日でしたから、保育施設はお休みで…?

柴田:
だったんですけどね。私はきょう昼間、日野市(東京都)に行っていたんです。日野市に行って、保育者の方とか親御さんとかにお話ししてきたんですけれどもね。そのきっかけを作ってくれたのは、今から47年前に私、自主保育をやっていたんです。47年前…、あ、37年前! ごめんね。その当時、ご縁があって出会った人が、子どもと動物が触れ合うような活動してらっしゃるのね。で、「日野市で子育ての話をしてくれませんか?」っていうので行ったんですよ。そしたら、その当時の3歳だった3組の家族が来てくれてたの!

――ええーー!

柴田:
それでもわかるものよね。私ね、座ったとたんに、「あっ! たーちゃん!」って言っちゃったのね。そしたら彼がね、「たーちゃんって言われて、本当に泣きそうにうれしかった」って…。

――あら・・・(笑)。

柴田:
「ああ! こうたろう!」とか言ってね。その子たちが40歳なんですよね。3歳の時に出会って、そのことがこんなふうにいつも途切れないでね、どっかでつながっていて、こんな再会があってね。なかなかいい日だったのよ。

――いや、本当ですね。3歳のときに出会った子たちが、3家族も会いに来てくれたっていうのがうれしいですよね。

柴田:
そう、またよく覚えているの! 昔のことだから(笑)。

――いい日ですね!

柴田:
本当に楽しかったですよ、うん。

――いつも明るくてパワフルな愛子先生ですが、そういうところからパワーをもらってらっしゃるんですね。

柴田:
そうよね。そうよね。だから何かこう、人生の初めのころに出会わせていただいているから。そのたーちゃんなんてね、お母さんが心配性で、過保護でね、もうね、「この子はやがて自立して家庭を持てるか」って、すごい心配した子だったのよ。

――どうでしたか?

柴田:
その子が、子どもを連れてやってきて、「あらもう、あなた、こんな(大人)になったのねー!」って。彼もすごくよく覚えていてくれたんですけどね。何か…、いい仕事ですね(笑)。

――もう満面の笑みでいらっしゃいます。では、きょうもその愛子先生の明るさとパワーで、たくさんの悩めるお父さん、お母さんの話を一緒に聞いて、お話をしていきたいなと思います。

柴田:
まあ、お聞きすることぐらいしかできないんですけどね。

――きょうのテーマは「育てにくさを感じるとき」。かんしゃくがひどかったり、落ち着きがなかったり、我慢ができない。偏食が過ぎる、寝てくれないなど「本当に子育てに手がかかって大変!」「なんでうちの子はこうなんだろう?」「私の育て方が悪いんだろうか」など、悩みやモヤモヤを抱えているみなさんの声に耳を傾けていきます。育てるのが本当に大変だという、そういうSOSの声っていうんでしょうか。柴田さんのもとには届いていらっしゃいますか?

柴田:
山ほど。

――山ほど!

柴田:
あのね、親の思うとおりに育っている子っていないと思うよ。だって、こんな手ごわい仕事、やったことないと思うんですよ、みなさん。

――子育てという…。

柴田:
そうそう。でね、子どもはね、静かで大人の都合のいい子はいない。いないよね、そういう子って。

――はい。

柴田:
やっぱり子どもはしょうもない“やつら”なんですよね。だからね、親がね、手に負えないっていうことの方が多いし、そういう声は、日々、山ほどうかがっていますけど。

――(笑)、そうですか。子どもはそういうものであると、まず柴田さんは受けとめるわけですね。

柴田:
そう。そして子どもをなんとかしようと思うと、なんとかなんないことの方が多いから、どんどんつらくなるじゃないですか。だからね、子どもってね、都合がいいようにはいかないのよね、わからんちんなのよね、危ないことが好きなのよねって、自分に言い聞かせちゃった方がいいよね。

――なるほど。

かんしゃくを起こしやすい子

――4人の方のメールを続けてご紹介しますね。
東京都40代女性

もうすぐ5歳になる女の子。今「やりたい」と思ったらやらずにはいられず、我慢ができず泣き叫んだり、蹴ってアピールすることもしばしば、保育園では我慢できているようですが、家では毎日そんな状態でイライラさせられます。自分自身で気持ちをコントロールして、我慢したり、約束を守れる子になってほしいです。

東京都30代女性
5歳の息子のかんしゃくが激しい。思いどおりにならないときに、パンチやけりをして暴れたり、暴言「殺す」「死ね」などをはく。奇声をあげるなど…。公共の場ではそのような状態になってしまうと、周りに迷惑がかかるという焦りから、おやつを与えたり、本人の要望を聞き入れるなどしてしまいます。そういうことは自分としてはしたくないけど、そうもいかずモヤモヤしています。

埼玉県40代女性
小1の次女。自分の思いどおりにいかないとすぐにかんしゃくを起こして泣き叫びながら、殴る、蹴る、つねるなどすぐに手が出る。6歳上の姉は逃げ回りながらひたすらに我慢。優しく諭そうとしてもだめなことが多い。共働きで忙しく一緒に過ごす時間が少ないため、愛情が足りていないのも原因の1つとは思っていますが、そんな次女に愛情を注げません。とてもつらいです。

そして4人目の方
6歳長女の感覚過敏や事細かなこだわり、それが達成されないときに泣く、叫ぶ、たたく、蹴るというかんしゃくに悩まされている。対応のタイミングが少しでもずれるとかんしゃくを起こすので、毎日長女がかんしゃくを起こさないようにあれこれ先回りして動いたり、大きな声が聞こえると、かんしゃくが始まったかと、内心びくびくして過ごしてきた。子どもの強い要求とこだわりのたびに、時間をかけて交渉していては、とても生活がまわらず、親が折れて妥協する場面が多かったです。もうこれ以上、耐えられない、逃げたい。こんなことがこの先、十何年も続くなら消えてしまいたいと思うことがありました。

もう本当にそれぞれのお父さんお母さんが必死で対応して、頑張ってギリギリで…、自分を責めて追い込まれている様子が伝わってきました。

柴田:
本当ね…。私、かんしゃくの激しい子ってね、たくさん見てきましたけどね。結局は、思いのはけ口がかんしゃくになっていると思うんですよ。思いが上手に(伝えられず)、思いとかストレスのはけ口が(かんしゃくになっている…)。絶対、親の愛情のせいじゃないです!

――ああ、もうきっぱりですね!

柴田:
もう、きっぱりです。あのね、やっぱり癇(かん)が強いのは、生まれ持った気質だと思います。だから兄弟の中でも1人だけだったりするじゃない? それでね、親の愛情でというのは…、そんなこと思わなくていいです!

――はい。

柴田:
って思うのね。例えば、どの方も保育園では我慢できているけど、うちではって。

――そう書いてらっしゃいますね。

柴田:
ね! それは、保育園で我慢しているから、うちでそうなっちゃうのよ。

――ああ(笑)。

柴田:
そう思わない? 保育園でかんしゃくを起こせれば、家では起こさないのよ。でも、どこかで必要以上に自分を頑張っているわけですよ。

――保育園で、頑張っているんですね。

柴田:
そうですよ。私たちだってさ、仕事で頑張って、うちで頑張れます?

――いやー、頑張れないですね。不機嫌になります。

柴田:
両方で頑張れないの。だから、どっちか頑張れば、どっちかは緩めなくちゃいけないわけですよ。だから「ああ、きょうはこんなに保育園で頑張ってきたのね」と思えばいいと思うんですよね。で、保育園の先生はそれがイメージできないと思うんですよ。私なんかも「この子はかんしゃくが、かんしゃくが」って親御さんが言うときにね。「えー? そんなふうに見えないわ」って思っていたの。

ところがね、3年目のね、3月期の末になったらね、「りんごの木」でもかんしゃくが起きたの。「ああ、やっと安心できる場所になったんだ」と思いましたよ。

――逆にそう思えたんですね。

柴田:
そう。「これですか?」って言ったら、「これです!」って親がおっしゃったけどね。そんなふうに子どもだって、敏感なのかもしれないけど、どこかで自分の気持ちを抑えているから(かんしゃくを起こしちゃう)。

それで、公共の場やなんかでね、そういうことになったときに困るから、おやつを与えたり、本人の要望に応えたりすることにモヤモヤするっておっしゃるけど、「やれやれ! それでいい、それでいい」って思うの。自分でね、これは正しくないと思う必要はなくてね。今、どうにかしなくちゃいけないわけでしょ? もう必要に迫られている。どうにかしなくちゃいけないときにね、おやつが出てきていいしね、鬼だって出てきていいと思うわよ、私…(笑)。

――鬼?(笑)

柴田:
そう、鬼来るよとかね。あのね、鬼のアプリは嫌だと思っているけどね。でもね、そういう漠然とした、鬼とか、罰が当たるとかあるじゃない。そういう言葉で、子どもを制するっていうのは、私は子育ての文化だと思っています。

――ああ。

柴田:
昔からそうやって、大人が困って、あの手この手の中で、おやつとか、何かプレゼントあげちゃったり、鬼が出てきたりって…。子どもの思いをどうにかしてあげられないときって、「それでいいんじゃないの?」て…。だからそれでモヤモヤしなくていいって私は思いますよ。それから、このきょうだいに…。

――暴力をおねえちゃんにふるってしまう(妹さん)…

柴田:
(おねえちゃんには)「ああ、ありがとねえ。まあ、本当にこんなことになっちゃったね」って家族で(一緒に)困っていればいいと思うんだけどね。でも確かに、この…思いのはけ口がないのって、どっかに無理があるんですよね。だからそれを体から出すことが大事だと思うの。

――はい。

柴田:
叫ぶだっていいのよ、泣くんだって。とにかく子どもの体から出そうとしているわけですよね。だから、布団でサンドバッグみたいのを作ってさ、「わああああ!」って叩くとかね。そしたら、「おー、始まった! きょうは大変ですね!」って(見守ればいい)。外走らせてきたりね。

――安全な場所でね。

柴田:
そうそう。エネルギーを発散させることが大事。体からとにかく出すってこと。こんなの嫌かもしれないけど、例えばぬいぐるみ投げるんだっていいしね。だからそれって、もしかしたらね、お母さんのイライラと同じ対処。

――ほう…。

柴田:
子育てってイライラするじゃないですか。お母さん、イライラ我慢していると、発酵して爆発してね、子どもひっぱたきたくなっちゃうからね。だから、お母さんもほどほどにね。この子たちと同じよ、心のはけ口ってみんな持っていた方がいいと思うんですよ。

――私、お風呂場に行って、暴言吐いていました(笑)。「バカヤロー!」って。

柴田:
そう、そういうこと。あなたはお風呂場ですよね? でも子どもはお風呂場にしなくちゃと思ってないから! だからその辺で「ワーワー!」やっちゃうのよね。だから大きな声出すのでもいいし。そんなふうに、人間みんなが自分の中に抱えているモヤモヤを何らかの形で、自分から出したほうがいい。で、出すことは恥ずかしいことじゃなくて、自分を調整するとかコントロールするという意味で、私は必要なことだと思っていますけどね。

――そうですか…。

柴田:
そうですよ。

――例えば、暴力を振るっちゃうという子は、布団か何かをボコボコボコってそちらの方向に向けさせていくこと。そういうかんしゃくとか、ちょっと暴力的なことって、いつかは収まっていきますか?

柴田:
収まってきますよ。今まで私50年保育してきましたけど、そのまんま、大人になった人はいません! 何となくそのモヤモヤを自分で処理をする手だてを見つける、もしくは人と折り合うことを見つける、で、その辺のバランスをとりやすく…、とれるようになっていくんですね。
だからね、私の感じでは、だいたい2年生から4年生ぐらいで穏やかになって、他の方法を見つけていく子が多かったような気がします。

――そうですか。

柴田:
一生じゃないわよ!(笑)


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左:犬山紙子さん
右:青山誠さん

次回の「みんなの子育て☆深夜便」は12月28日(木)です。
テーマは、「子育てからみる この1年」。
今年は、子どもや子育て家庭を取り巻く課題、社会の在り方について、いろいろと考える機会が多い1年でした。
そこで、こどもまんなか社会、子どもの権利、少子化対策…など、いろいろなキーワードをあげながら、2023年を振り返ります。
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ゲストは、エッセイストでタレントの犬山紙子さんと、保育の専門家、青山誠さんです。

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