【みんなの子育て☆深夜便】子育てリアルトーク「大事にしたい!子どものワクワク」

23/12/02まで

ラジオ深夜便

放送日:2023/10/26・2023/10/27

#子育て#家族#コミュニケーション#お悩み

10月のテーマは、「大事にしたい!子どものワクワク」。
子どもの好奇心を大切に育てたいとは思うものの、どこまでどの程度つきあったらいいのかと悩んでいませんか?
今回は、子どもの"ワクワクする気持ち"をそのまま受け止め、見守り、応援するにはどうしたらいいのか、ワクワクの“タネ”はどこにあるのか、そのヒントを探ります。(聞き手・村上里和アンカー)
*放送の一部をこちらでお読みいただけます。全体は「聴き逃し」からどうぞ!

【出演者】
安田:安田美沙子さん(タレント)
豆先生:大豆生田啓友さん(子育て支援の専門家・玉川大学教授)

小さいころのワクワクは“意欲”につながる

――きょうのテーマは「大事にしたい!子どものワクワク」。おたよりをご紹介します。

奈良県40代男性
8歳、5歳、2歳の3人を子育て中です。
子どもの好奇心やチャレンジ精神には感服させられることも多く、頼もしく思います。一方で子どもの事故や事件など痛ましいニュースを見ると、過保護と思われようともつい止めたくなってしまうことも…。特に下の男2人は怖いもの知らずで、ひやひやさせられます。末っ子は、上の2人を見ているから何でもできると思い、ついていこうとします。先日も大型の公園に連れて行くと、駐車場でも動き回るわ、広場に出た途端に虫とり網を持ってばらばらに走り出すわで、「これは迷子になるな」と覚悟しました。頼りになる長女のおかげで、ことなきを得ましたが、なかなか大変でした。
長男は生き物に興味がある年ごろなので、頑張ってつきあっています。お庭のダンゴムシ、ミミズ、バッタ、ムカデに始まり、ことしの夏は、ちょうちょ、クワガタ、カタツムリ、ザリガニ、カメといろいろ経験させてあげました。私は、苦手なカタツムリも凝視できるようになりました。

というおたより、ありがとうございます。この方、カタツムリが苦手で…。

一同:
笑。

安田:
かわいい(笑)。

――きっと、頑張って子どもたちに引っ張られながら奮闘してらっしゃるんだろうなと。パパの奮闘ぶり、そして子どもたちのワクワクぶりが目に浮かぶメールでした。安田さん、どうでしょう?

安田:
私がやっていますね。これ…(笑)。すごくよく分かります。今、長男も次男も虫とりが大好きで、詳しくなってきたのはすごくいいなと思うんですけれども。シジミチョウがまずすごく好きで、あとツマグロヒョウモン、オンブバッタ、モンキチョウ、アオスジアゲハ、夏にはセミを家で羽化させましたし…。

――ちょうど、サナギから出てくるところを観察できましたか?

安田:
はい。息子は横になって寝そべって見ていて、寝ちゃったんですけれど…。

――けっこう時間がかかるんですよね!

安田:
そうなんですよ。ドキドキしながら…。でも、すごく美しいのが見られて、いい経験ができたなと思いました。最近は、ヤモリの赤ちゃんを見つけて、「何を食べるんだろう?」「クモの赤ちゃんじゃない?」って…。でも、クモが大嫌いで(笑)。カマキリがバッタを食べるところとか、こういう世界が虫の世界にはあったんだっていうのを、子どもがいることで知ったりして、すごくおもしろいですね。

――豆先生、虫っていうのは、やっぱり子どもは…夢中になる子は夢中になりますよね?

豆先生:
いやいや、だから本当にこの時期、そういうふうに虫とか自然にいっぱい出会える機会があるって、本当に貴重だと思います。

安田:
そうなんですか。

豆先生:
逆にいうと、この時期、虫をおもしろがらなかったら、多分この先そうそうはないですよね。でも今の話だって、おもしろいのは、親になって子どもからそのおもしろさに出会うって…。

――そうですね。

豆先生:
子育て期って、何かちょっとその魅力ってあるんですよ。
子どもがやっているおもしろさのところに、親も一緒に巻き込まれておもしろくなるってことがあるんですよね。

安田:
はい。

豆先生:
何ていうのかな、この、虫とかのことって、本当に小さい時期って夢中になるので。いわゆる…物おじしないっていう、さっきのメールのパパさんの言っていたとおり、そういうこともいろんなことをチャレンジするようになるし、科学的な好奇心なんかも…。いろんなこと調べたくなりますよね?

安田:
はい。

豆先生:
人が学ぶことの根幹って、やっぱりこうやっておもしろいってワクワクするってことがあるから、「もっと知りたい」「これ、何食べるんだろう」「これやってみたらどうかな?」みたいなことが、どんどんどんどん出てくる。やっぱり子どもと自然。特に虫なんか、すごくこの時期にね、いっぱい出会えたら幸せだなと思いながら、安田さんちの子どもたちは幸せだなと思いながら聞いていました。

安田:
パパがそんなやってくれなくて…(笑)。私がすごくやってて…。

――ママが、虫担当ですか?

安田:
そうなんですよ。

――生き物担当で…。

安田:
生き物担当なんですけど、何かすごく不思議で。なんで子どもたちって、こんなに虫が好きで、「虫とり行こう、行こう」って毎日のように、何でこんなに言うんだろうと思うんですけど…、何でなんですかね?

豆先生:
何でですかね~。

安田:
不思議です。

豆先生:
つまり人の…、小さい子たちって、何か一番“原形”な気がするんですよね。

安田:
動物的な?

豆先生:
そう、動物的。何かやっぱりその時期って、そういういろんな多様なものと仲良くしたいっていう本能みたいなものがあるんじゃないかなと思っちゃいます。

安田:
ほぉー。

――へぇー。

豆先生:
だからあの人たちは、本当はこっちがいろんなことを先回りしなかったら、そういう世界におもしろいものがいっぱいあるってことに(気づいている)…。だって、あんなにアリを見ては立ち止まる、ダンゴムシ見てはあんなふうに動くって…!

安田:
そうー。

豆先生:
だから、そういう環境さえあって大人が先回りしなければ、世界って本当に、美しくて魅力的なものにあふれているんだって出会えるいい機会がいっぱいあると思うんですよね。

安田:
なるほど…。じゃあ大人がいろいろ知識があるからストッパーかけちゃうときもあるけれど、ほっておいたらきっとすごい大発見が広がっているってことですか?

豆先生:
ですよ! だから子どもとやっぱり自然の場に行くと、こんなにね、いろんなことがおもしろがれるんだっていうのはあると思います。でもだんだんだんだんやっぱりそうでない環境に置かれることが当たり前になってきちゃうと、その子の中にはそういうものがどんどん減っていっちゃうので、だからそうやって自然の場に連れて行く機会があるって、ものすごい大事! 今、うちの子たち、大学生になっても女の子だって「キャンプに行こう」って言いますよ。

安田:
え~!

豆先生:
小さいころの原体験は、やっぱり後々まで生きていくんじゃないかなと思ったりします。

安田:
基盤ができたんですね。

豆先生:
そう! それは、いろんな世界に対してのいとおしさになるから、愛ですよね。

――愛…。

豆先生:
自分が生きてきたこの環境を大事にしたいという思いに、多分つながるんだと思いますよね。

安田:
虫とりは、バカにできないですね。

豆先生:
そう、もう、絶対!

安田:
一緒に飛び込んで、何も考えずに無になって感じたらいいんですね。

豆先生:
もちろん個人差があるのでね。虫が嫌いな子は、そうでないことに多分興味あったりするしね。それもまた大事にしたいところではありますけどね。

――豆先生は、子どもたちが集中する、ワクワクする気持ちっていうのは、子ども時代にとっても大事だと常々おっしゃっていますが、どうして大事なんですか?

豆先生:
大人もそうですけど、人が幸せだって感じるのは、「何かこれおもしろいー! これやってみたいー!」とか「これ好きー!」とかっていうのが、一番、人、幸せじゃないですか? で、それってやっぱりワクワクで。そういう意味でいうと、子どもって、本来はさっきも言ったように、小さなもので心が動くんですよね。

だけど何かそうでないことにやっぱり置かれちゃうっていうか、何かさせられることが多すぎたり、制約が多すぎたりすると、本来あったワクワクっていうものが、消えちゃうこともあるかもしれないっていう意味でいうと、やっぱり子どもが小さいころワクワクすることは、それはつまり“意欲”につながるんですよね。生きていく意欲とか、何か知りたい、学びたい意欲だとか、何かチャレンジしたいだとか。何かそういうふうなことにつながるということで、すごく今、子どもの育ちで大事だっていわれています。

人が幸せに生きていくために必要な力

――じゃあ、そのワクワクを育てるために…、ワクワクって別にこう身につけるものじゃなくて、湧き出てくるものだとは思うんですけれども、「子どもにワクワクしてもらうために、どうしたらいい?」っていったら変ですが、やっぱり、遊んでいるときっていうのが大事なんでしょうか?

豆先生:
そうなんですね。人は、遊ぶときに一番その自分の良いものが出てくるっていうか…。意欲が出てくるっていうかね。つまりそれって興味関心ですよね。

安田:
はい。

豆先生:
自分が好きって思うことのところに、一番意欲が出てくる。小さいころに、そうやって意欲が出てくるってことは、何か自分の好きなこと…、例えば、泥だんごを作っていても、子どもってお兄ちゃんがやっているのをあこがれると、結構チャレンジしようとするじゃないですか、自分ができること以上に。

安田:
はい。うんうん。

豆先生:
つまり、意欲、やってみたいっていう気持ちって、自分が壁を乗り越えていく力とか、何かの1つのことに集中したり、夢中になったり、やりぬいたり、「おお、オレできた!」っていう自己肯定感だったり…。「じゃあ、今これはちょっとやめとこう」って気持ちを切りかえることだったり。こういうことって全部、今、いわゆる非認知能力、あるいは社会情動的スキルって言い方をするんですよね。

――…難しいですね。

豆先生:
はい。まあ、目に見えにくいんだけれども。なんか子育てしているとね、早く計算ができるように、文字の読み書きができるようにってことが大事と思われるけれども。

――お勉強の方にいっちゃう…。

豆先生:
そうなんですよね。

――そうじゃない力。

豆先生:
はい。これもいろんな研究で分かっていることで、いわゆる心や社会性なんですけど、さっきの意欲をはじめ、やり抜く、夢中になるとか、そういうことがすごくやっぱり生涯にわたって、人が幸せに生きていく力として大事なんだって。

安田:
へえー。

豆先生:
でも、考えてみたら子育てって、やっぱり幸せに生きていてほしいってことが一番の目的ですよね。

――本当にそう。

安田:
そうですね。自然の流れでこう楽しんでほしいと思っていたけど、それが実は本当に良かったということですよね。

豆先生:
そうです。ワクワクする意欲みたいなことが、最初は自分の好きなことだけなんだけど、何かその虫とりをやっていると、図鑑を調べることがおもしろくなって…。

安田:
あ! たしかに。

豆先生:
本がおもしろいとか、何かその虫のことから、「それ、絵で描いてみたい」とか、「文字で書いてみたい」とか、「お話にしてみたい」みたいにいく子もいたりして。好きなことが根っこにありながら、いろんな力に転移していくんですよね。だから、その自分の好きなこと、興味関心意欲みたいなことって、人が育つすごく大事なことの根っこになるかなと思うんですよね。

子育てのモットーは“1日1刺激”

――安田さんは、お子さんたちのワクワクをとても大事にしてらっしゃるように思うんですが…。ふだんそういう子どもたちのワクワクする気持ちっていうのは、どんなふうに意識して見てあげているんですか?

安田:
そうですね。コロナ禍にもすごく考えたんですけど。
やっぱり「何もできない」じゃなくて、「何ができるんだろう?」って考えて、“1日1刺激”をモットーにしようと思ったんですよ。

豆先生:
おお、なるほど。

安田:
ちょっとしたことでもいいから、ちょっと幼稚園の帰りの道を「きょうは違う道行って、探検してみようか」って思ったり、「お月見だから、白玉だんごを、(机を)汚してもいいから作ってみようか」って作ったり。何かこうちょっとしたこと、何でもいいからやったことないことをやってみようと。
けっこう食育も好きなんですけれども、食育の内容って、パン作ってこねこねして手の触る感覚とかを学んだりとか、そういうこともワクワクかなと思って…。何でもいいから、本人がワクワクってこう刺激があることをしたいなって思って過ごしています。

――とてもいいですね!

豆先生:
いいですね。やっぱり大人もワクワクしながら、「今度こうやったらおもしろくない?」っていうふうに、大人もおもしろがりながら提供してくれるということが、すごく子どもの世界を広げていきますよね。いつもとちょっと違う道って、何かそれだけで、もう言葉だけでワクワクしますよね。

――こんなおたよりも来ていて…。

東京都40代女性
3歳の子どもがいて仕事をしているので、送り迎えができないし、習いごとはしていません。友人が習いごとに通わせている話を聞いて、何もしなくていいのか悩みます。子どもにいい影響だと思いながらも、平日あまり一緒にいられないから、土日はゆっくり過ごしたい思いもあり、習いごとをどうしようか悩んでいます。

というおたよりなんですが、習いごと、たしかに1つの刺激になるかもしれませんが、今、安田さんと豆先生のお話を聞いていると、それだけじゃない。全然もっと違うところに(ワクワクのたねが)たくさんあるという感じがしますね。

豆先生:
そうですね。もちろんね、習いごとの中に子どもがそのワクワクに出会うものっていう選択を持っていくのも1つです。でも今ね、安田さんのおうちの中にワクワクが…。おうちで料理も作れるし、お散歩のコース(をちょっと変えるとか)。だから、ワクワクの材料は、家庭やそのちょっとした外の地域の中に本当はいっぱいあるはずなので、何かそんなことだって…、いや、そんなことだってじゃなくって、そこがもしかすると、むしろ基盤かもしれないって思いますよね。

――新しいものを見たり触ったり、作ったり、五感を大事にした働きかけをしてらっしゃいますよね。

安田:
そうですね。自分は経験したことがすごく増えてきて、いっぱい家にもあるけれど、子どもたちってまだ生まれてから3年、4年、5年とかだったら、やっぱり経験したことないことの方が多いじゃないですか。その(自分が経験してきたこと)1個1個をやっていくだけでもすごく楽しいのかなと思って…。何でもって思っていますね。ちょっと気持ち悪い思いもしながら(笑)。

豆先生:
そうですよね。さっき、食育っていってましたけど、実は毎日の暮らしの中に豊かなことって、本来子育ての中にいっぱいあって、食事を一緒に作るっていうこと自体がものすごく豊かな文化ですよね。

安田:
そうですね。子ども用包丁握ってみるとか…。怖いけど、それもワクワクな経験かなと思いますね。

豆先生:
そういうことは、実はいっぱいあるっていう気がしますよね。

――気を張ってどこかに連れていかなきゃとか、習い事をさせなきゃって、そこばっかり考えなくても、(ワクワクとの出会いは)身近にあるよっていうのは何かちょっと安心できますね。


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