「私の持ち歌、この３曲」はカラオケに来た気分で歌っちゃうコーナーで、水前寺清子さんの『三百六十五歩のマーチ』を熱唱。この間、稽古場でこの歌の話題が出て、「一歩進んで、二歩下がる♪」って歌ったら、「しのぶさん、三歩ですよ！ 一歩進んで、二歩下がったら、永遠、後退しちゃいますよ！」と言われたというしのぶさん。今週は久しぶりの生放送で、リアルタイムでたくさんのおたよりをいただき、紹介しました。
大竹しのぶの“スピーカーズコーナー”
R1・ラジオ第１ 毎週水曜日 午後9時05分～9時55分
千秋楽の日に必ず見る夢
大竹しのぶ、今週の「喜or怒or哀or楽」。うれしい、楽しい、悲しい、腹が立った。人はそんな感情が揺さぶられるような経験をすると、その話を誰かに伝えたくなるものです。今週は四つの中からこのお話「喜」。
「喜」でもあり、「哀」でもあるかな…。
ミュージカル『スウィーニー・トッド』東京公演を無事に完走することができました。ありがとうございます。それは本当にうれしいです。やっぱりね、あの、S席が１万5,000円かな？ すごいそんな高いお金を払ってですね、時間を作ってくださって…。そしてSNSのコメントとかを見ると、遠くの北海道、大阪、九州からとか来てくださる方もいらっしゃって、本当に「毎回、毎回、全身全霊で演じなければ申し訳ないな」って思っていた全ステージ25回でした。
本当に来てくださった皆様、ありがとうございます。そのアンコール、カーテンコールで、本当に熱い拍手をもらうと「ああ、幸福ですね」。やっぱりそれは役者として、自分が一生懸命、自分たちが仲間と一緒に、必死になって作ったものをこんなにたくさんの人が喜んでくださるっていうのは、本当に、なんですかね、幸福感に包まれます。
もちろん、拍手は人を良くもするし、だめにもするし、だから中には「なんだ、こんなの？」って思っている人もいるかもしれませんけども、とりあえずは「本当に、観てくださってありがとうございます」っていう気持ちになりますね。
で、千秋楽の日はですね。近所の沖縄料理屋さんに、来られる人で…。スタッフさんはね、”ばらし”というのが、次の日、地方公演に向けての用意があるので、行けなかったですけども。役者でちょっと沖縄料理を食べに行って、そこでみんなと一緒に初めてごはんを食べて、楽しい時間を過ごすことができました。
そして、お家に帰ってくるわけですよね。そうすると、楽屋の荷物とか、お洗濯しなくちゃいけないものとかがいっぱいあるし、片づけなくちゃいけないこともいっぱいあるわけですよ（笑）。
で、いつもね、千秋楽のときに思うんですけども、すごくその「終わった」という、あしたから睡眠時間をちょっとだけでも気にしなくていいとか、マッサージにメンテナンスのことを考えなくてもいい数日間があると思うだけで、少しほっとするわけですよね。だけど「お疲れさま、よく頑張ったね」とか、「これ、ワインか何か飲む？」という人は、私には誰もいないわけですよ!!! 分かります？ このシーンとした部屋で、たくさんの洗濯物があって、「あ～、これどうするか」。スウェットとかね、いろいろ地方に向けて用意しなくちゃいけないこともあるわけです。「ああ、これ、きょう洗濯機をまわすか、まわすまいかー」って何かそのギャップを感じるわけですよ。
そして、あとやっぱり、ある種のこう達成感みたいなのもあるから、そんなすぐには眠れないわけですよね。だけど私はそんなにお酒を飲めるわけでもないし、語る相手も家の中にはいないわけだし（笑）。そして寝られない日が多いですね、だいたい千秋楽の日は…。本当に空が白くなるまで、全然寝られないということが多いですね。
で、明け方近くに「ああ、ちょっと眠ろう」と思って眠ると、そこがおもしろいんですけど、この何年間か、必ず母の夢を見ます。だから、こないだの千秋楽の日も、母が、必ず私に何か怒っています（笑）。洗濯物の畳み方とか、食器の洗い方とか、「しのぶは、本当にササササッって早いけど、もうちょっと丁寧にすすぎなさい」とか、「洗濯物を畳むときは、ピーッ、ピーッて、伸ばしてから畳みなさい」とか母に怒られる夢を必ず千秋楽の日に見てしまうんですね。
それは、「母が、母なりに『お疲れさま』って言ってくれているのかも知れないなー」なんて思って、少しだけ会えた喜びで幸せに目覚めることができます。この２～３年はそんな夢をいつも見ます。それで、“喜と哀”ということでした。
とにかく、これから舞台はまだ続きますので、もし観に来てくださる方がいらっしゃいましたら、どうぞよろしくお願いいたします。とてもおもしろいミュージカルなので、また、みんなで、全力で頑張りたいと思います。
あなたが小さなハッピーを感じたことやカチンときたことや悲しいことや楽しいこと、喜怒哀楽をメッセージでお待ちしています♪
【放送】
2024/04/03 「大竹しのぶの“スピーカーズコーナー”」
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