ワオーーーーーン! エッエエッエーーー!

24/03/13まで

大竹しのぶの“スピーカーズコーナー”

放送日:2024/03/06

#ライフスタイル#うた♪#舞台#世界情勢

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ご自身の舞台公演の準備のほかにもびっくりするぐらい活動する渡辺えりさんをゲストに、ご自身の舞台公演の初日がもっと先だったらいいのにと思うしのぶさんがお送りした、今回の “スピーカーズコーナー”。ホームページでえりさんへのメッセージを募集したはずなんですが……えりさんの(しのぶさんも)おしゃべりが止まらない!

【ゲスト】
渡辺えりさん(俳優・劇作家・演出家)


大竹しのぶの“スピーカーズコーナー”
R1・ラジオ第1 毎週水曜日 午後9時05分~9時55分

詳しくはこちら

ちょっと私が今しゃべってるんだから

大竹:
今週の“スピーカーズコーナー”にはこの方が来てくれました。パチパチパチパチ~(拍手)。私とは舞台『三婆(さんばば)』などで……。

渡辺:
……ははははは(笑)。

大竹:
ちょっと、いきなり笑わないでくださいね(笑)。

渡辺:
いやいやいやいや。

大竹:
共演して、もう長いおつきあいの渡辺えりさんでーす!!

渡辺:
渡辺えりで~す!

♪「風が吹いてきたら」/渡辺えり子 が流れる)

懐かしい、これ。

大竹:
えっ、えっ!? これなんの歌?

渡辺:
これ、私が歌手になろうとしてデビューした、デビュー曲よこれ。

大竹:
ええっ!?

渡辺:
これ知らない?

大竹:
知らない!

渡辺:
NHKの、なんだっけ、歌番組でデビューしたのよ私は。

大竹:
うそでしょ!?

渡辺:
ホントよ! で、1か月間これがずっとかかってたのよNHKで。五木寛之さんが作詞で、作曲、三木たかしさんよ。

大竹:
えー、すごい。何年前なの?

渡辺:
何年前だろ。

大竹:
タイトルはなんていうの?

渡辺:
「風が吹いてきたら」。これ、いい曲でヒットする予定だったんだけど、そのあと歌手活動辞めちゃったのよ、芝居やってて。

大竹:
あら残念。

渡辺:
ここで歌手活動してれば、今頃歌手としてこの番組にゲストで出てたね。

大竹:
あっ、そうかあ。そうだね……えっ、それ何歳ぐらいのときですか。

渡辺:
これね、40歳ぐらいじゃない?

大竹:
えっ、結構遅いデビューだったのね(笑)。

渡辺:
はっはっは(笑)。なに言ってんの? 今68だよ、言っとくけど。あ、違うわ。69だった。あっはっはっは(笑)。

大竹:
ちょっと、年ごまかさないで。
笑い声といろいろ重なっちゃっていったい誰が来てるんだかわからない人もいらっしゃると思うんですけども、俳優であり、劇作家でもあり、歌手でもあり……。

渡辺:
はっはっはっ(笑)。

大竹:
なんで笑うの(笑)、いちいち。
私の友人でもあり、なんかいろんな肩書をたくさん持ってらっしゃる渡辺えりさんなんですけども、一時はコメンテーターとしても活躍されて。

渡辺:
そう、何年もやってた。

大竹:
なんでも思ったことを言ってしまって、テレビ局からちょっとドキドキされてたり。

渡辺:
そう、毎日謝ってた(笑)。

大竹:
そんなときもありまして。

渡辺:
不適切なことを言ってしまいましてすいませんでした、って毎日番組の終わりで謝ってました。

大竹:
ちょっと今私がしゃべってるんだから(笑)。ほんとに、ね? お願いしますよ?

私は止まると死ぬマグロだから

大竹:
えり子さん(注:渡辺えりさんは2007年、「渡辺えり子」から「渡辺えり」へ改名)はえり子さんでいいと思うけどね。
でも、ほら、芝居を書いたりとか、もちろん演じたりとか、あとライブとか歌も歌ったりとか、アルバムを作ったりとか、もうびっくりするぐらいの活動をしてるじゃないですか。なんかやってないと。

渡辺:
いろいろやってないとマグロみたいに、ほら、止まると死ぬんでしょうマグロって(笑)。

2人:
(笑)。

渡辺:
だからなんていうのかな、いつも何かしてないとおかしくなっちゃうようなタイプだったんだってことに最近気が付いてるんだけど。
歌は3分間で人生を語れるってことと、あと、ずうっと平和を祈ってるのに戦争がやまないじゃない、全く。でもそれは戦争反対ですよって言葉で言うよりも、歌って感覚にくるもんでしょ? だから感性に訴えるようなもので、3分間で平和を語れるっつったらもう歌しかないのかな、っていう感じで。もともと声楽クラブとか合唱クラブの部長だったりして歌はもう好きで、すごくやってたんだけど、今も頼まれるとちょっと引き受けてライブとかやっちゃうのは、ずうーっと、私が16とか17から「ベトナム戦争反対」「湾岸戦争反対」「イラク戦争反対」って反対し続けても、まだやまないどころか激化してるでしょ? 今。

大竹:
そうだねえ。

渡辺:
ウクライナもそうだし、ガザ地区もそうだし、ミャンマーもそうだし。そこで何かをしていないと、自分が考えちゃうとさ、おかしくなっちゃう。だから自分ができることを続けようと思ってるうちの1つが歌。

大竹:
歌。歌うこと。

渡辺:
それと戯曲も。そもそもが第2次世界大戦でさ、おじさんがシベリアに抑留されたり、うちの父親が「隼(はやぶさ)」のエンジン作ってたりってそういうことがあって、結局、戦争が終わってみると価値観が180度変わっちゃって、今までいいとされたことが全部悪だったっていうの。それは一体何なんだろうって父親が思って、これは教育だ、と。子どもたちっていうのは教育によってどうにでも変えられてしまうと。じゃあ教育の現場に行こうと思って、父が独学で勉強して、学校の先生になるんですよ。

大竹:
先生でしたよね。

渡辺:
で、そのときに思った非戦の気持ちみたいなもの、体験を。

大竹:
それをずうっとえり子さんは訴え続けてるんでしょ?

渡辺:
それで、戯曲はずっと書いてるという。

大竹:
そうするとさ、そのいつも動いている頭を休めるのは一体どういうとき? さっきお家の中もグチャグチャだって言って(笑)。私も、私もそうなんだけど。

渡辺:
片づけるヒマがないの。もうさ、片づけられないのよ。それで、しまっちゃうとなくなるみたいな気がして、出しておかないと。

大竹:
ええ(笑)? 書類とか?

渡辺:
書類とか。で、しまっちゃうとなんだっけってなっちゃうのよ。だから全部横に並べてるから、全自動の掃除機の丸いやつ(笑)、動くやつも買えないのよ。

大竹:
なんで?

渡辺:
だって“いってこい”になっちゃうじゃない。角にぶつかっちゃってさ。だからあの掃除機も買えないし。

大竹:
そうするとつらいね。

渡辺:
つらいよ。でもウクライナの民芸品を身に付けたりさ、忘れまいとしていろんなことしてると、お芝居もわりといろんなものがギュッと詰まっちゃうような芝居になっちゃうんだよね。

大竹:
どういう意味?

渡辺:
あれもここも書かなくちゃいけない、これも書かなくちゃいけない。そうすると入れ子式になっていって、リアリズムの1本の芝居じゃ収まらなくなっちゃって、ちょっとシュールレアリスムになっちゃうってのはあるね。自分の芝居はね。

大竹:
でも、えりさんのお芝居っていうのはもともとそういうシュールレアリスムから始まってたでしょ? それは結局やっぱりお父さんとかお母さんから学んだ思想っていうものは絶対あるよね。

渡辺:
あるねえ。

これ言っちゃいけないんだけど

大竹:
で、お母さんが今、施設に入ってらして、でも、えりさんは芝居中でも必ず。

渡辺:
月に1回ね。

大竹:
行って。やっぱり、山形まで行ってるっていうのはほんとに私、えらいなあって思って見てたよ。

渡辺:
実はきのうも行ってきたのよ、実は。これ言っちゃいけないんだけど。

大竹:
言っちゃったよ(笑)?

渡辺:
3月1日から、高畑(淳子)さんと二人芝居の稽古だったんだけど、前半を書き直さなくちゃいけなくて、それを書き直すので稽古を休みにしたわけ。2、3、4と。
『さるすべり』っていう題で、さるすべりっていうのは私が生まれた山形市の村木沢の山王という所にあった「さるすべり」で、それを、弟と一緒にずっと遊んでた唯一の遊び場のさるすべりを題にしたのね。
で、これは最初、木野花さんとコロナ禍でやった芝居なんだけど、別の芝居で高畑さんと一緒にやったら大好きになっちゃって、高畑さんが。おかしくてさあ、ほんとに“天然”! 天然なのよ、高畑さんという人が。性格が明るくて。

大竹:
明るい人ですね。

渡辺:
なんにも悪気なく、芝居だけが好きな人で、声がでかくて、弱い声、ウィスパーができない人なのよ。ベテランなのに。

大竹:
(ひそひそと)こういう声が?

渡辺:
(ひそひそと)こういう声ができないのよ。
それで「(ひそひそと)高畑さん、ここ、人に聞かれちゃいけないシーンだから弱い声でやんないとダメだよ」って舞台の本番中に言っても「私、ウィスパーできないんですよ!」。

大竹:
ええ~!?

渡辺:
こういうような(笑)すごいおもしろい人で、稽古場でもでかい声でしゃべるから、演出家の人に5回「静かにしてください」って2人注意されるぐらいでかい声なのよ。稽古場で。

大竹:
えっ? 稽古やってるときにしゃべっちゃうの?

渡辺:
私たちの出番じゃないときに「(ひそひそと)あのさあ」ってこういうふうにしゃべればいいのに、「えっ? そうなの?」ってでかい声でしゃべるから、演出の人がうるさくて演出できなくなっちゃって。

大竹:
かわいそう。

渡辺:
「そこの2人、静かにしてください」っていっつも(笑)。私たち主人公だったんだけど(笑)。

大竹:
怒られちゃったの?

渡辺:
いっつも怒られてて、でもこれはおもしろいと思って。それで「こういう二人芝居があるんですけど」って言ったら「ぜひやりたい」って言ってくれたんで、で、4月の6日から紀伊國屋(ホール)でやるんだけども。
高畑さんがすごくおもしろい人で、犬の鳴き声がうまいんですよ、すごく。それで、じゃあ戯曲に犬の声を入れようと。どこかで必ずね。

大竹:
どういう犬の鳴き声なの? ワンワン、とか。

渡辺:
(犬の鳴きまね)ワオーーーーーン、とかっていうのがすごくうまいわけよ。

大竹:
えりちゃんもすごく上手じゃないですか(笑)。

渡辺:
あと、ニワトリの。それが私できないんだけど。

大竹:
(ニワトリの鳴きまね)エッエエッエーーー!

渡辺:
そうそう! それもうまいし、あと酔っ払いの演技がうまいのよ。そもそも、サンシャイン劇場で『女たちの十二夜』ってのに高畑さんが出たときにサー・トービーの役やってて、あまりにもその酔っ払いの役がうまかったんでいつかこの人とやりたいと思ったのが発端なんだけど。ただ、その酔っ払いと犬とニワトリのシーンを絶対入れたいのに、なかなか書けないのよ前半が。それで行き詰まっちゃって。

大竹:
まあ、結び付かないっちゃ結び付かないもんね。

渡辺:
そう。真面目なシリアスな。

大竹:
真面目なシリアスな芝居に、エッエエッエーーー! ってね。

渡辺:
2人とも老人っていう設定なのよ。ちょっとボケちゃった老人2人っていう私が書いた新作を、だまされて高畑さんが出る、っていう設定のお芝居なんだ。ちょっと複雑なんだけど。それでもうさるすべりが見たくなっちゃって。

大竹:
ああ、書いてるからね。

渡辺:
うん。それでないしょで行って、そしたら大雪だったわけ。大雪の中、さるすべりの写真をいっぱい撮って、それで母ちゃんのお見舞いもして、ずーっとしゃべって、母ちゃんと。それで実はきのう帰ってきたっていう、さ。はははは(笑)。

大竹:
それでここに、えりちゃんが持ってきた山形の。

渡辺:
のし梅。

大竹:
のし梅があるんですね。

渡辺:
そういうことですね。

大竹:
でもこれほんとに山形みやげ?

渡辺:
これは近くのスーパーで、東北6県の物産展があるっていう広告、新聞の広告を見て。

大竹:
山形に行ったのに(笑)?

渡辺:
そんなさあ、この追い詰められてる、締め切りがある身で、お土産なんか買ってこれますかあ!? 山形に行って(笑)。

大竹:
わかりましたよぉ(笑)。ありがたくいただきます。

大竹しのぶの“スピーカーズコーナー”

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