【大竹しのぶ サイコロ回顧録】2021年 “母との食卓”のわけ

23/11/15まで

大竹しのぶの“スピーカーズコーナー”

放送日:2023/11/08

#ライフスタイル#家族

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しのぶさんは先日、念願かなって娘さんの住む奄美大島へ。島の美しい風景の中にいたら、欲や、我を通すことも含めて何もいらなくなって健康になるんだろうな、と豊かな気持ちになったそうです。
「サイコロ回顧録」は「2021年」。この年に亡くなったお母様・江(え)すてるさんのお別れの式で、牧師さんが江すてるさんについておっしゃった、忘れられない言葉について。


大竹しのぶの“スピーカーズコーナー”
毎週水曜日 R1・ラジオ第1 午後9時05分~9時55分

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2021年「だからきょう、食卓を用意しました」

2023年は、私のデビュー作のドラマ『ボクは女学生』の放送開始から50年という節目の年。その節目を迎えるにあたって、これまでの活動を振り返りつつ、お世話になったみなさんに感謝を伝えていこうというのがこのコーナー。
今、スタジオには、年代別に私の出演作などをまとめたリストと、サイコロが2つ用意されています。サイコロは、1つが、私がデビューした1970年代の“197”から2020年代の“202”までの数字が書かれた六面体、もう1つが、0から9までの数字が書かれた十面体。この2つのサイコロを振って、出た目の年代の作品について振り返っていきます。

前回は、私が49歳になった年、2006年、平成18年でした。

【大竹しのぶ サイコロ回顧録】2006年「あの、本当にお世話になりました」?(2023/10/18放送)

それに続く今回は何年が出るんでしょうか。サイコロ振りたいと思います。いいですか? タララララン♫
えーっ?!

2021年!

うーん、2021年は〝さっき〟じゃん。あははは(笑)。
2021年……おととしですねえ。何をやっていたかと言いますと、アニメの声を、『漁港の肉子ちゃん』『岬のマヨイガ』というのをやりました。舞台は3本やりまして、『フェードル』『夜への長い旅路』『ザ・ドクター』。そして、東京オリンピックの閉会式で歌を歌いまして、エッセー『母との食卓 まあいいか3』の本が出ましたね。あ、そしてこのラジオもやってますけど。
そっかあ、すごいですね。舞台を3本も。三谷(幸喜)さんとのリーディングドラマ(『「三谷のツボ」第一回 笑うリーディング』)もやってましたね。

そうですね、東京オリンピックの閉会式ですね。もうほんとにいろんな問題がありまして、オリンピックやんないほうががいいんじゃないか今は、大阪の万博どうなんだ、っていう問題もありまして、当時は私もどうなんだろうって思ってたところに、出演のオファーが来まして。
だけど、あんまり詳しいことはちょっと話せないんですけども、でも出てよかったな、って私自身は思います。次のオリンピックが希望につながるよう、っていうスタンスで歌った「星めぐりの歌」、宮沢賢治さん(作詞・作曲)の歌を子どもたちと歌って、なかなかない経験をしました。

そして、エッセー『母との食卓 まあいいか3』の発売ですね。これは私が、何年から書いてるんだろう……2012年からかなあ、10年以上かなもう、新聞のコラムに連載を週1で書いてるのをまとめたのが本になって、ちょうど2年間分ぐらいかな、3年分ぐらいかな、をまとめて、……ちょうどその3年間は母の介護と、そして母との別れがあったので“母との食卓”というタイトルをつけて、本にしました。
週に1回、大体1,000字ぐらいなんですけれどもね、コラムを書くというのが負担ではないかとよく聞かれるんですけども、全く負担に感じなくて。書くことがやっぱり楽しいし、生きていると書くことがたくさんあって。このラジオもそうなんですけれども、きょうこんなことがあったの、どう思う? とか“喜or怒or哀or楽”じゃないですけど、こんなうれしいこともあった、こんな悲しいこともあったっていう、言葉にするっていうことがどれだけ人として大事なことなのかっていうのを、すごくこのラジオを通しても思いましたし、文章にすることが1つの大きな前進をする作業なんだな、っていうのをとても思いました。

この“まあいいか”というのは、そもそもは蜷川幸雄さんに依頼があったんですね、新聞社から。蜷川さんが体調を崩しているときで、で、急きょその空白を埋めなくちゃいけなくて、誰かに書いてもらわなくちゃいけないって新聞社が蜷川さんに「どうしましょう、どうしましょう」って言ったら「しのぶちゃんに頼んで」って蜷川さんがおっしゃって、で「彼女だったら大丈夫だから。僕、信頼してるから彼女に頼んで。彼女にやってもらってください」って蜷川さん指名で私が書くことになって。
で、蜷川さん、その後体調は回復されたんですけれども、私がなぜかずっと書き続けていて、それが10年以上続いてきました。

その、なんだろうな……、この10年以上の間に還暦を迎えて、母との別れがあり……、私の日常を書いてるんですけども、それが1つの本になったっていうのはやっぱり私にとっては大きな大きな喜びでありますし、それをたくさんの人に読んでもらいたいなっていうのはすごくありますね。
前にも1度お話ししたと思うんですけども、このタイトルは牧師さんの言葉なんですね。教会で母とのお別れの式をやったときに、祭壇に小さな四角いテーブルが置かれていまして。あの、「江すてる」っていうんですよ私の母は。で、「江すてるさんはずっと子どもたちの食事を作って、5人のお子さんをしっかりと育て上げました。そしてそのあとも、しのぶさんのお子さんである二千翔(にちか)さんとIMALUさんの食事を作って、お孫さんのお世話をし続けました。それが彼女にとっての生きる喜びでした。だからきょう、江すてるさんのお別れの会には食卓を用意しました」という牧師さんの言葉から、タイトルが“母との食卓”になりました。ほんとにあのときの言葉は忘れられない言葉だなあって思います。

で、やっぱり日常生活でそういうちっちゃなこと、まあ、もちろん大きなこともあるけれども、それを言葉に残しておくとこうやって思い出すことができるから、私にとってコラムを書くことはほんとにうれしい作業の1つです。そしてこのラジオも、そんなうれしい作業の1つだなあと思います。
2021年。たった2年前なのに、なんかすごいいろんなことがあったんだなって今改めて思いました。『ザ・ドクター』も『フェードル』も、ああ、もう一度やってみたいお芝居だなあ、って思います。もちろん『夜への長い旅路』も。
ほんとに私は幸せもんだなあ、って改めて思いました。

というわけで、今回のサイコロ回顧録は2021年を振り返りました。

大竹しのぶの“スピーカーズコーナー”

毎週水曜日 R1・ラジオ第1
午後9時5分~9時55分

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【放送】
2023/11/08 「大竹しのぶの“スピーカーズコーナー”」

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