お久しぶりです、キムラ緑子さん!

23/07/12まで

大竹しのぶの“スピーカーズコーナー”

放送日:2023/07/05

#ライフスタイル#舞台

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23/07/12まで

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大竹しのぶの“スピーカーズコーナー”には3回目のご登場、キムラ緑子さん!
電話ではよくお話しするけれど、久しぶりにご対面! だそう。舞台って大変? 楽しい? 正反対の意見が出ますが、お客様に楽しんでもらうために必死になってお稽古するのは一緒、のお2人です。

【ゲスト】
キムラ緑子さん(俳優)


大竹しのぶの“スピーカーズコーナー”
毎週水曜日 R1・ラジオ第1 午後9時05分~9時55分

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髪の毛がマルグルグル?

大竹:
久しぶりにゲストの方の登場です。今回ゲストに来て下さったのは、この番組に登場してもらうのは3回目、キムラ緑子ちゃんでーす。
緑子ちゃん、さっきスタジオ入ってくるなり「はあ、私これ、帽子取れないの。私これ、きょうカツラなの。朝起きたら髪の毛ボサボサだったから。どうしよう、もう暑いし」ってずっと一人でしゃべってました。

キムラ:
こんにちは、すいません、バタバタしまして。
カツラの上に帽子、ほんとかぶってるから、下のカツラを押さえながら襟足曲がらないように帽子取らないといけないからちょっとジタバタしてました。すいませんでした。

大竹:
なんでカツラをかぶってたの?

キムラ:
朝起きたら髪の毛が、ほんとひどいことになってて。

大竹:
くせっ毛だっけ? パーマ?

キムラ:
年取ってきたらくせっ毛になって、ぐっちゃぐちゃマルグル……マルグルグル……ってなんだろ。

大竹・キムラ:
マルグルグル?

大竹:
知らない、そんな言葉。

キムラ:
舞台が続いて白髪染めもできてなくて、ちょっといかんな、と思って。

大竹:
で、カツラ持ってたんだ。

キムラ:
これ、しのぶカットみたいでしょ?

大竹:
似てるよね~。

キムラ:
短くてね、いい感じ。
(会うのは)久しぶりですねえ!

大竹:
え? いつ以来かなあ?

キムラ:
めっちゃめちゃ久しぶりです。私、ことしは会ってないです。

大竹:
そうだっけ。電話では話しててね。

キムラ:
だからめっちゃうれしいんですけど。

大竹:
いつもね、お互いのお芝居は見に行って、その感想とか話しててね。この間(キムラ緑子さん出演の)『パラサイト』も見ましたし、私の『GYPSY』も見に来てくれてね。お互いにね、正直に話すもんね。

キムラ:
うん。

大竹:
ね。稽古中でもこうなんだ、ああなんだ、って言って。

キムラ:
そうそうそうそう(笑)。私はこう思うんだけど、どう思う? ってね。

大竹:
そう。わかるー! とかね。

キムラ:
それが楽しみ。見に来てもらうのがすごく楽しみだし、しのぶさんだったらここをこう言うだろうな、って思いながら、そのあとの感想を聞くのが楽しみでね。

大竹:
正直だからね。お互いにね。

せきをするお芝居やり過ぎて脇腹が痛いです

大竹:
今、ちょうどパラサイト(の東京公演)が終わったばっかりで、また大阪公演が(7月7日から)始まるんですけども。あの有名な映画のね、舞台。緑子ちゃんはすごいステキでした。

キムラ:
ほんとですか? ありがとうございます。

大竹:
なんか毎回毎回全力投球だよね。私もそうだけど(笑)。

キムラ:
ヘトヘト。

大竹:
そうだよね。

キムラ:
舞台ってほんとに大変ですね。私ってなんちゅう職業選んでしまったんだろうって、毎回やるたびに思います。

大竹:
だってほんと、映画見た方はわかるかと思うけど、家政婦さんがアレルギーで、それでせきがすごい出る。ほんとに、玄関に行くだけの数十歩のところで、せきをしながら「お世話になりました」っていうところのせきがもう……、(“家政婦さんのせき”のまね)ウゥゲーッホゲッホゲッホ……。

キムラ:
やらなくていいです(笑)。

大竹:
……って、ほんと苦しそうで、いや、この人大丈夫かなってぐらい、すごいせきだよね!

キムラ:
しのぶさん、うれしい! よくそこを言ってくれるね! あの数分の……。

大竹・キムラ:
数分もない!?

キムラ:
数分もないよね。

大竹:
何十秒?

キムラ:
あそこが実は一番しんどいんです。

大竹:
あっはっはっは(笑)。

キムラ:
ほんとに。あそこがしんどくて、今脇腹痛いんですもん。やり過ぎて。ほんとに。

大竹:
うそー?

キムラ:
ほんとに。せきするのって、やっぱエネルギー使うんですよね。だから風邪ひいたときとか、いろいろそうやってせきする症状がある方ってほんと大変だと思う!

大竹:
そうだよね。体力使う。

キムラ:
体力使うからへとへとになるんだと思う。

大竹:
でもなんかもう、ほんとにかわいそう、このおばあさま、大丈夫かなって思っちゃう……。

キムラ:
ほんとですか?

大竹:
うん。せきでした。

大竹・キムラ:
(笑)。

キムラ:
じゃあ、そう言ってもらえたらよかったです。脇腹痛いのも“かい”がありますね。

努力は当たり前、でも心身を壊すまでしてはいけない

大竹:
(坂東)玉三郎さんの言葉で、「努力するのは当たり前なんです。でもね、自分の体と心を壊すまではしちゃいけないんです」。

キムラ:
はぁ~……。きょう、来てよかった。ほんとにそれは持って帰らなきゃいけない。
いやほんと、いつも思ってるんです、私は。何をやってるんだ私は、って。素人か? っていう。ほんとに、一生懸命やりました、演劇の人です、じゃないんですよほんとに、と思って。

大竹:
まだ千秋楽まであるわけだし、私もそうなんだけど、でも、でも1回1回なんだよ、私たちは。やっぱり。

キムラ:
加減するってことじゃないんですよね。ちょっとテクニックみたいなものを2つ3つ4つぐらい入れないと。全速力でこれ1回きりでうわーってやって、お客さんに届けるぅ~! みたいな、その熱は必要なんだけども、泣きそうになるもん。出る前にほんとに。またやるのかと思って。いや、お客さんいらっしゃって悪いですけど、こんなこと言うの。出る前にいつも泣いてる。

大竹:
うそでしょ。

キムラ:
しのぶさんはいつも、「すっごい楽しい」って言うじゃない? 演劇。それが一番私が欲しいところなんですよ。

大竹:
そうだよね。(2人で出演した)『フェードル』で出るときも緑子ちゃん、5分前からぐーっと。

キムラ:
泣いてるでしょ、泣いてるでしょ私(笑)。

大竹:
なんかもう、ぐーってもう、役に入って誰にも話しかけられないように、あーってなってて。

キムラ:
その横をさあ、しのぶさんがサーッと通り抜けていっちゃうっていう(笑)。

大竹:
そのまんま、あーっていう感じで。

キムラ:
「よろしくお願いします」サーッ。

大竹:
そう(笑)。

キムラ:
あれはほんとすごい。どこで集中してるんですか? 行ってから?

大竹:
出たら。

キムラ:
出たら? ちょっと(笑)。瞬間?

大竹:
瞬間。

キムラ:
あっはっはっはっ(笑)。おいおい、と思いながら。

大竹:
でもやっぱり、そこに行くまではストレッチしたりとかなんとかっていうのを毎日ちゃんとやってるから。

キムラ:
一緒にみんなでねえ、やったりしてますもんね。

大竹:
えらいよねえ、私たちねえ。ほめよう? 自分を。

キムラ:
ほめよう。一生懸命やってるけどやり方をね、考えつつ。

大竹:
そうだね。体を壊しちゃいけません。

キムラ:
はい。ほんとに。そうだと思います。

フライもんなんやもん♪ おいなりさん♪

大竹:
それじゃあ1曲、緑子ちゃんのリクエスト曲をかけたいんですけど、なにがいいかなあ。

キムラ:
私ね、ライブとかを時々やってるんですけど、そのときに歌う1曲で『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』、ま、ちょっとそれの替え歌を歌ってるんですけど、原曲のフライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン、いろんな人のバージョンを聴いていて、ダイアナ・クラールのフライ・ミー・トゥ・ザ・ムーンがすごいかっちょいいなと思って、最近すごく好きなんです。

大竹:
これに歌詞をつけて歌ったりしてるんですね。

キムラ:
ライブでは、有名なジャズを関西弁の歌詞をつけて歌ってます。

♪「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」/ダイアナ・クラール

大竹:
これを、このかっこいいジャズのバージョンを、日本語で歌うってどんな感じになるの?

キムラ:
♪Fly me to the moon And let me play among the stars♪っていう英語があるじゃないですか。
フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーンっていうのを、「フライ」……まあ、もうね、ほんとにベタなんですけど(笑)、『フライもんなんやもん』っていう関西弁の。

大竹:
えっ、なに?

キムラ:
フライもんなんやもん、っていう。わかります?

大竹:
フライもんなんやもん?

キムラ:
フライもんなんやもん、私もうめっちゃ痩せたいんやけど、みたいな歌。

大竹:
えーっ、それどうやって歌うの? ちょっとだけ!

キムラ:
最初は、フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーンのところは、♪フライもんなんやもん~♪っていう。

大竹:
次は?

キムラ:
♪うち我慢でけんわもう~♪

大竹:
えっへっへっふっふ。楽しい~! 次は?

キムラ:
♪フライもんなんやもん……間違った。
♪フライもんなんやもん~ ああええにおい 油くさい~ カロリー高いのがつら~い つい手がでますぅ~ 肉屋の~メンチカツ 揚げたて~ コロッケ マイ ラ~アアア~♪
……もうちょっとうまく歌えるはずなんですけど。

大竹:
ステキぃー! 緑子ちゃんはほんとに歌が上手で。

キムラ:
歌うまくないでしょ(笑)。今の聴いてどう思うんですか(笑)。

大竹:
私も歌も好きで、だけどストレッチとかしてると、なんかすごい歌声が聞こえるな、と思うと緑子ちゃんがすっごいでっかい声で(笑)。

キムラ:
ヘッドホンを爆音にしてるから、爆音になるんですね、声も。

大竹:
そうだねえ。

キムラ:
はたでどんな声になってるのか、自分ではわからないから。

大竹:
で、時々そういうライブとかもやって、私もそうなんですけど、緑子ちゃんも今度久々にライブをやるんでしょう?

キムラ:
そうなんですよ。私、「Dolly&Tanny(ドリー アンド タニー)」という、あの~、何? 組。組を組んで、じゃない(笑)。

大竹:
ユニット!

キムラ:
ユニット(笑)。

大竹:
ちょっとやばくない?

キムラ:
くくくくく(笑)。Dolly&Tannyっていって。

大竹:
組! 大谷・木村組。

キムラ:
そう(笑)。私・キムラ緑子の緑子が“ドリー”で、大谷亮介さんの大谷の“タニー”でDolly&Tannyっていうユニットを15年前から。

大竹:
そんな前からやってたの!?

キムラ:
そうなんですよ。

大竹:
私1度も見に行ったことがなくて。

キムラ:
来てください、今度、ぜひ。

大竹:
関西方面を最初は中心にやってて……?

キムラ:
いや、赤坂のB-flatとかすごい有名なジャズライブハウスでやってたんですよ。いや、ちょっと、え? おまえら、みたいな感じだったけど。

大竹:
えっ、ジャズのバンドなんですか。

キムラ:
私たち?

大竹:
うん。

大竹:
ジャズを、関西弁で歌ってんの。だからジャズのバンドって……。

大竹:
♪フライもんなんやもん~♪

キムラ:
とかね、
♪おいなりさん~ おいなりさん~ おいなりさん~♪
というのは、『モナ・リザ』って曲なんだけど。

音楽のライブとお芝居の違い

大竹:
歌って、音楽って、やっぱりストレートに「楽しんで!」ってこう、手放しで渡せるっていう。

キムラ:
わかります、わかります。

大竹:
そうやってすばらしいバンドの、バンドの音を、私すごーく楽しく歌ってるの! ほんとに私! ♪フライもんなんやもん~♪とかわかんないけど、なんかそういう楽しい緑子ちゃんを見て、ああなんか幸せになれそう、って思うよね。

キムラ:
いちばん伝わりやすい形なのかも。ほんっとにストレートにまっすぐ、なんていうか、楽しくていいんだっていう。こっちが楽しくてワーッてやってるのを、まあエネルギーみたいなものかもしれないけど、楽しみをボーンってこう一緒に渡せて、もらえて、ワーッて喜んでくれたらこっちもワーッとうれしいし。

大竹:
別にね、これで世界を変えたいとかそういうのはこれっぽっちもなくて(笑)、ただこの楽しい時間を一緒に過ごしてくれませんか、って感じだよね。

キムラ:
そうですね。そしてもう楽しんでもらえたらそんな幸せなことはないですよ。

大竹:
でも、楽しんでもらうためには、やっぱり私たちは必死になってお稽古するもんね。

キムラ:
一応。ほんとに真面目なんです。そこらへんはすごく真面目(笑)。で、今、芝居中になんでライブができないかって言ったらやっぱりちょっと疲れるじゃないですか、芝居って。で、声も今こんなに枯れて(笑)。

大竹:
あと、歌う声と芝居の声ってやっぱり違う。出し方が違うからねえ。

キムラ:
だから、多少なりとも歌わせてもらうようになったら、ちゃんと歌を歌うレベルまで上げないと、ほんとにそんな楽しいだけじゃやっちゃいけないと思うから。

大竹:
うん。お金もらうからね。

キムラ:
一生懸命稽古しなきゃいけないと思って、もうちょっと体を休めて、声を、声帯を戻して……。

大竹:
(“家政婦さんのせき”のまね、再び)ウエッホゲホゲホ……

キムラ:
もう、あれやってる限り絶対声でない、もう~。やだもう~、どうしよう~。

大竹:
楽しくね、見てるお客さん、待ってるお客様がいますよ。

キムラ:
がんばってせきしますよ。

大竹:
私もね、なんかね2日ぐらい先のことしか考えられないの。

キムラ:
わかりますわぁ~。

大竹:
ヴィクトリアの千秋楽までなんとかこの体を保って、そのあとまた大きなお芝居が控えてるんだけど、その前に緑子ちゃんのライブを見て、私もがんばる、ってなる! 元気出るよ、絶対に。

キムラ:
がんばります。元気を出していただけるように、私もがんばります。

大竹:
ね。

キムラ:
はい。……きっと疲れてますね、ヴィクトリアのあとって。こう、すべてガーッて出し切って。

大竹:
あ、大丈夫。

キムラ:
ほんと? あ、そうね。大丈夫よね、きっと(笑)。いつもそうですもんね(笑)。もう1回できるとか言ってるもんね、いつも。もう私がへっとへとになって「もう帰りたいんですけど帰ってもいいですか」って言ったとき「私、3回でもできるよ」とか言って(笑)。「あと4回できる」とか言って。うそでしょう?

大竹:
ほんとう。

キムラ:
あのフェードルのときね。あれも疲れましたね。

大竹:
楽しかった。

キムラ:
(あきれながら爆笑)。

大竹:
なんで? 楽しいよぉ? 楽しい、楽しい、お芝居楽しい。歌も楽しい。

キムラ:
ほんと、すごい。

大竹しのぶの“スピーカーズコーナー”

毎週水曜日 R1・ラジオ第1
午後9時5分~9時55分

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【放送】
2023/07/05 「大竹しのぶの“スピーカーズコーナー”」

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