“セカンドオピニオン”どう受ける?

NHKジャーナル

放送日:2023/10/25

#医療・健康#カラダのハナシ

病と向き合う中で、いま通っている病院の診断や治療に疑問や悩みがあったときに別の病院の医師に意見を聞く「セカンドオピニオン」を受けるという方法があります。
一般的になりつつありますが、セカンドオピニオンとはどのようなもので、患者にとってどんなメリットがあるのか、今回はセカンドオピニオンについて考えます。(聞き手:山崎淑行ニュースデスク、打越裕樹キャスター、結野亜希キャスター)

【出演者】
山口:山口育子さん(認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長)

2人目の医師の意見を聞く「セカンドオピニオン」

――そもそもセカンドオピニオン、どんなものか改めて教えて下さい。

山口:
セカンドというのは“2つ目”ということですね。オピニオンが“意見”ですので、「2人目のお医者さんの意見を聞く」ということなんです。もともと1980年代に、アメリカでこの言葉が出てきたんですね。それが1990年前後くらいに日本に入ってきて、それまでセカンドオピニオンというと、こっそり水面下でやっていた方が多かったんですけれども、それがセカンドオピニオンという言葉が正式な言葉みたいに入ってきたことで、表立ってセカンドオピニオンを受ける方が増えてきたということですね。

――だんだん一般的になってきたということなんですね。セカンドオピニオンというと、現在治療を受けている医師に「セカンドオピニオンを受けたいです」と言って、紹介状を書いてもらって、自分の受けた検査データなどももらって別の病院へ行く。こういう手順になるわけですよね。

山口:
そうですね。セカンドオピニオンは患者さんが持ってきた紹介状と検査データに基づいて、医師が意見を述べるというようなことになっています。

納得いくまで何を聞いてもいい!

――セカンドオピニオンというのは、例えば今受けている診断や治療とか、薬とか、何を聞いてもいいんですか?

山口:
もちろん、意見を聞きたくて行くわけですので、ドクターは紹介状と診断書を見て、ご自分の考え方もお伝えになると思うんですけれども、やっぱり疑問を持っていることは納得いくまで質問するということは、もちろんできることです。

――セカンドオピニオン、利用する人の反応はどうですか?

山口:
最初のドクターの意見を“ファースト”、1つ目の意見ということでいうと、最初のお医者さんの意見とセカンドオピニオンのお医者さんの意見が同じであれば、「あっ、やっぱりこの治療でいいんだ」というようなことが納得できるわけですね。
とくにセカンドオピニオンを求める患者さんは、がんの方が一番多いんですけれども、例えばがんと診断されて「あなたの場合は先に抗がん剤治療をして、ちょっと小さくしてから手術しましょう」と言われて、「いや、わたしは最初から手術してほしい」と思う人が、他のお医者さんはどう言うんだろう? と思って意見を聞きにいくわけですね。そしたら、「あなたの場合はこういう理由で、やっぱり先に抗がん剤治療をしたほうが、がんが小さくなって手術の効果もあがりますよ」と言われると、やっぱりその方法が他の専門家でもいいって思っているんだなって納得できるってことがあると思うんですね。
ですので、そういったことが利点としてあげられると思うんです。ただ、セカンドオピニオンの場合も、目的によっては方法を変えた方がいい場合もあるんですよ。

セカンドオピニオンに向かないケース

――セカンドオピニオンのメリットを生かせないケースもあるということなんですか?

山口:
例えば、う余曲折があって、ようやくこの診断がつきました。でも、あまりにもう余曲折あったので、他の専門家でも同じ診断になるのだろうか? そう思ったときは、一般外来の初診の方がいいかもしれません。紹介状を持っていくと、先入観が入ってしまいますよね。

――紹介状を持ってこられると、セカンドオピニオンを受ける先生のほうが、こういう診断なのかと先入観を持ってしまうということなんですね。

山口:
「あっ、診断ついてるじゃないですか」となるわけなので、白紙の状態でもう1回診てもらいたいというときはセカンドオピニオンと言わずに、一般外来の初診で行ったほうが目的はとげられるということなんですね。

――それから、セカンドオピニオンで、もしも主治医とは違う意見が出たときですね、これは戸惑ってしまうと思うんですが、そういうときはどうすればいいですか?

山口:
そうですね。でもやっぱり比較する必要があるので、まずはしっかりとファーストオピニオンを聞いておく。それで、セカンドオピニオンで違う意見が出てくると、サードオピニオンとか、フォースオピニオンというのもありますけど、あまりそれをやり過ぎてしまうと、治療する機会を逸してしまうこともありますので、どこかの時点で、メリット・デメリットをしっかり聞いた上で、自分の生活とか仕事とか、そういったことに照らし合わせて、どの治療方法がいいのかということを患者が選ぶ時代にはなってきていますね。

――つまり、しっかりドクターに意見を聞くということなんですかね、大事なのは。

山口:
そうですね。

一般的になった“セカンドオピニオン”

――取材をしていますと、患者の側もですね、最初に診てもらっているお医者さんに「ちょっとセカンドオピニオンを受けたいんだけど」と言うと、目の前のお医者さんの判断を疑っている、実際、疑っているところはあるんですけれど、やっぱり日本人的に言いにくいという感覚があるような話も聞きます。
一方で、医師側もあまりセカンドオピニオンを言われたくないというところも残っているという話も聞くんですけど、このあたり、山口さんはどのようにみていらっしゃいますか?

山口:
昔は疑っていると思うことが多かったと思うんですけれども、やっぱり大きな決断ですから、もう一人、専門家の意見を聞きたい。そういう思いが患者にはあるんだということがお医者さんたちも理解できてきていることと、やっぱり今、わりと「セカンドオピニオンは患者さんの当たり前の行動ですよね」ってお医者さんも思い始めていますし、中にはドクターから率先して、「わたしはこういうふうにこの治療がいいと思うけど、セカンドオピニオン受けてきますか?」っていうふうに勧めるドクターも出てきています。

なので、かなりそのあたりは時代も変わってきたかなと思うんですけれども、ただ、どうしても気になるとしたら、「重大な決心なので、やっぱりもう一人、専門家の意見を聞いて決めたいんです」というふうに言ったり、「家族が心配していて、別のお医者さんの意見も聞いて納得してからにしてほしい。そう言うので、家族の納得のためにもセカンドオピニオンを求めたいんです」と言いにくい方は言ってみたらどうかなと思いますね。

増える“セカンドオピニオン外来”

――最近はセカンドオピニオン外来を設置されている病院もあるそうなんですね。受けやすくなっている面はあると思うんですが。

山口:
そうですね。特に、大学病院とか、がん診療連携拠点病院というところがセカンドオピニオン外来を設けているところが多いです。

――それは、どういうメリットがあるんですか?

山口:
普通の診察のときっていうのは、お医者さんからいっぱい説明されるんですけれども、セカンドオピニオン外来のときには、どうぞ聞いて下さいというような、そういう窓口として開かれているわけなので、納得いくまで聞くというメリットがあると思います。


【エンド質問コーナー】

東京都 60代 女性
セカンドオピニオンで、主治医・ファーストオピニオンと異なった場合、サードオピニオンは必要ですか?

山口:
必ずしも必要ということではないんですね。
要は、その患者さん自身が納得できるかどうか。ファーストオピニオンとセカンドオピニオンではあまりにも意見が異なって、もう一人、どうしても聞いてみたい、と思われれば、サードオピニオンを受けるということですね。ファーストオピニオンで納得すれば、セカンドオピニオンを絶対受けなきゃいけないというものではないので、そこはやっぱりその人自身がどれだけ納得できるかということが大事だと思います。

――納得は大事ということですね。

広島県 40代 男性
セカンドオピニオンには、いったいどれくらいの費用がかかるのでしょうか? 初診で診てもらった病院から大きな病院に行くと診察費用がかかってしまうのではないかとすごく不安に感じています。

――費用についての質問です。

山口:
まず、セカンドオピニオンを受けたいと申し出たときに、紹介状を書いてもらって下さい。これ、診療情報提供料Ⅱといって、500点。1点10円ですので、5,000円。例えば、3割負担の方の場合は1,500円。これは保険診療の点数でお金がかかってきます。
ところが、セカンドオピニオンということでセカンドオピニオン外来に行くと、これ保険外なんですね。病院が決めた金額で請求できることになっていますので、たいてい30分いくらとか、1時間いくらというようなことが決まっていて、制限時間もあるんです。制限時間を超えると追加料金が必要になってくるところがあって、思いのほか高いんです。例えば、都会だったらとくに高いんですけども、1時間で3万円とか4万円とかするところがあって、それが1時間過ぎると、30分ごとにいくらという設定があります。

なので、まず受けたいと思う病院のホームページをご覧になると、セカンドオピニオン外来というのがあれば、そこで費用とか時間制限とかというのが出てきますし、電話して聞いてみてもいいですので、結構高い費用ですから、あらかじめきちんと調べて、それから受けられた方がいいんじゃないかと思います。


【放送】
2023/10/25 「NHKジャーナル」

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