毎日の洗濯が「嫌いな家事」から「好きな家事」へ 洗濯次第で洋服の寿命は延ばせます!

24/02/26まで

眠れない貴女へ

放送日:2024/02/18

#インタビュー#ライフスタイル#ファッション#舞台

洗濯ブラザーズの次男・茂木康之(もぎ・やすゆき)さんに、クリーニング業を始めるまでの経緯と起業したきっかけ、クリーニングの意味と目指したこと、さらには舞台衣装など特殊な衣装を長くきれいに使うための洗濯方法をあみだすまでにどんな工夫をしたかなど、興味深いお話を伺いました。

【出演者】
茂木:茂木康之さん(ゲスト)
和田:和田明日香さん(ご案内)

洗濯ブラザーズ
(中央が茂木康之さん)

【洗濯ブラザーズのプロフィール】
茂木貴史、茂木康之、今井良の3人で結成。毎日の洗濯を楽しくハッピーにするための活動をするプロ集団。横浜と東京の三宿でクリーニング店を経営するかたわら、劇団四季、シルク・ドゥ・ソレイユ、クレイジーケンバンドなど、国内外の有名アーティストの衣装クリーニングや、長年バレエの衣装クリーニングもおこなっており、有名バレエ団からも絶大な信頼を得ている。2019年に『日本一の洗濯屋が教える 間違いだらけの洗濯術』を出版。全国の百貨店やセレクトショップなどでイベントやセミナー、講演もおこない、さまざまなメディアで洗濯の楽しさを伝える活動をしている。

洋服好きが高じてアパレルの仕事からクリーニングの世界へ

和田明日香さん

和田:
今回は、洗濯ブラザーズの次男、茂木康之さんにお話を伺います。
茂木さんは学生の頃から古着や洋服がお好きだったことから、大阪のアパレル会社に勤めます。そこで洋服の修繕という、このままでは市場に出せないB品C品のものを修正してA品に仕上げる、衣類の総合病院のようなお仕事をされていたそうです。そこで縫製の仕方や、生地・素材についてなどを学び、さらに洋服への興味が増したとのことですが、そこからクリーニング店を起業された経緯を伺いました。

茂木:
やっぱり新品のものをいくら仕上げていても、自分の技術っていうのは立体的に仕上げるとかそういう修正をするって技術は上がっても、これ汚れた時にどうしたらいいんだろうなっていうふうに考え始めて。汚れたものをきれいにする会社ってクリーニング屋さんだよねって。クリーニングって調べていくと、どうやって洗っているのかよくわからなかったんですよ。そこで、父の知り合いを紹介してもらい、クリーニング屋さんの工場に入らせてもらったり、あとは東京でクリーニング関係の機械販売の会社に就職が決まり、そこでいろんなクリーニング工場の経営者さんの考え方とか、各会社さんの取り組み方というのをいろいろと勉強したりできたんですね。
で、これだけクリーニング屋さんっていっぱい世の中にあるけれども、経営者の判断で何に重きをおいているかとか、どういうことにこだわりを持っているかっていうのが違うんですよね。で最終的にそこのクリーニング機械販売を6年ぐらいやりながら、いろんな生産品質を向上させるってことをレクチャーしてきたんですけど、これレクチャーしてる場合じゃないなと、自分でクリーニング屋さんをやるべきだって思ったんですね。そこから起業しようっていう形になりました。
僕たちはクリーニングを通じてお客様と共感したい部分っていうのが、お付き合いの期間を長くしたいんですね。例えば10年うちのお店を使っていただいたお客様が、洋服がダメになってしまうっていう、捨てちゃうとかっていうことが、うちに出すとものすごく少なくなるっていうのを表したかったんです。普通だったらもう5年とか着たら、流行もあるしもう汚くなってきたから捨てようっていうふうになると思うんですけど、うちのお客さんはどっちかというと、良いものを買って長く着ようっていう人が多いので、なかなか捨てない(笑)。毎年預かるので、お客様が新しい洋服を買うと、あ、これ新入りだねとか、これはもう2年目だね、3年目だね、ってわかるんですよ。そうするとやっぱり10年選手もいるわけですよね。あぁこれが答えだなぁと思ってて。やっぱり僕らが提案したいのは、いい服が長く着用できるっていうことを考えて、その時その時ではなくて将来を見据えて付き合っていくっていうふうなクリーニング屋さんに思っていただければなと思ってますね。

和田:
最初は宅配のクリーニングからスタートしたため、お客様とは親戚より会う回数が多いぐらいの距離感で接客されていたとのことで、幼稚園生だったお子さんが大学生になって、さらに社会人になって、なんていう成長も洋服を通して見てきたそうです。最初はちっちゃい幼稚園の制服かなんかをクリーニングしていた子が、大学生のスーツとかをね、クリーニングに出すようになったら、もう本当に人の人生見る仕事だなっていう、クリーニング屋さんに対してそういうイメージを持ったことが本当に申し訳ないですけど私は全然なくて、預けたものがきれいになって返ってくればいいとか、それぐらいしか思ってなかったんですけど、それぐらいの熱い思いをもってクリーニング屋さんを起業されたということなんですね。

難題だらけの舞台衣装をきれいに仕上げるために

和田:
そうしてクリーニング店を開店させたかたわらで、舞台衣装のクリーニングも多く手がけていらっしゃいます。舞台衣装は普段着とは違う素材で、もちろん一点モノも多数ありますが、クリーニングをする際には苦労も多かったのではないでしょうか。

茂木:
劇団関係とかシルク・ドゥ・ソレイユの衣装っていうのは、どういう汚れがつくかっていうと、やはりどちらかといったらドーランとか化粧系の汚れとか、あとは汗ですね、ニオイ。あとは、すす汚れとかっていうのもあるんですけど。一番僕らが苦労したのは蓄積した汗とドーランの塊。蓄積してるんで、こびりついているんですね。これがなかなか落とせなくて。しかもタイムリーなお仕事だったりもするので、時間がないなかで簡単に落とさないといけない。そこで苦労した結果、自分たちで洗剤を開発してみたりとか、洗い方を変えてみたりとか、乾燥の方法をいろいろとシルク・ドゥ・ソレイユから学んだり。いろんなアーティストの衣装をやることで、自分たちがいかに洋服をダメージが少なく、失敗することなく洗えるか、最終的に洗えないものまでニオイがしっかり取れるような技術が身につきました。
クリーニングっていう仕事の中で、僕らがアパレルのことを学んだ時って、アパレルでは当たり前のように製品を作る段階でサンプルっていうのを先に出すんです。で、こういう仕上がりになりますよっていうのを提案するんですね。で、それに合ったものを量産して、たまにピックアップして商品チェックを行うっていうそういう仕事があるんですけど。今回この衣装に関しては、そのアパレルで働いてた時の生産管理の仕事がすごく役立ったんですね。
どういうことかっていうと、先にそういう衣装の“はぎれ”をもらうんですよ。で、いろんなテストをさせてもらうんです。ドライクリーニングで洗ったり、いろんなシミ抜きの薬剤を使ってみたり、色が出るかどうかを水で洗ってみたり、そういうサンプルチェックっていうのを最初に行って、そのはぎれをまた戻すんです。それで向こうが質感とか色合いとか、柔らかさとかそういうのを全部見ながら、これだったらOKっていうふうな最初に確認のアプローチができたんですね。それをしたことによって、どんなものが来ても対応ができるようになったっていうのが、この劇団系をやった時の、そのアパレルで培った技術が活かされましたね。

番組からのメッセージ

  •  ♪ 茂木さんはクリーニング店の経営者ですが、ほとんどのものは家庭で洗濯できる、とおっしゃいます。毎日の家庭での洗濯の一番のポイントは水の力を存分に活かすこと、洗濯は汚れを水に移す作業なので「すすぎ」が大事で、日本の軟水は洗濯に向いているのだそうです。クリーニング師の資格を持つ茂木さんは、公衆衛生面などの知識も豊富ですが、若い人たちに憧れてもらえるようなクリーニング業界にするのがひとつの夢。そして、多くの人に洋服を長く大切に着ていただくためにクリーニングがある、と熱く語っておられました。
  •  ♪ この番組は、らじる★らじるの聴き逃しでお楽しみいただけます!
    放送後1週間お聴きいただけますので、ぜひご利用ください。

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24/02/26まで

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24/02/26まで

  •  ♪ 番組では皆さんのおたよりをお待ちしています。
    2月のテ-マは「心にしみたひと言」です。お礼も言えないままだけれども、いつまでも心に残っている何気ないひと言など、「心にしみたひと言」にまつわるエピソ-ドをリクエスト曲とともにお寄せください。

眠れない貴女へ

NHK-FM 毎週日曜 午後11時30分

おたよりはこちらから


【放送】
2024/02/18 「眠れない貴女へ」

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