聞いてビックリ! “オノマトペ(擬音語や擬態語)”の知られざる底力とは?

23/12/18まで

眠れない貴女へ

放送日:2023/12/10

#インタビュー

オノマトペ研究家の藤野良孝さんに、「オノマトペ」とは具体的にどんな言葉なのか、オノマトペと日本語との関係、そしてオノマトペに興味を持った少年時代のエピソードなど、興味深いお話を伺いました。

【出演者】
藤野:藤野良孝さん(ゲスト)
村山:村山由佳さん(ご案内)

藤野良孝さん

【藤野良孝さんのプロフィール】
東京都生まれ。子どものころから漫画で見たオノマトペに興味を持ち、大学院時代から本格的に研究。特に、スポーツ選手が競技の時に発するかけ声を「スポーツオノマトペ」と命名し、そのかけ声が体やメンタルにどのような効果をもたらすかを探求。現在、朝日大学保健医療学部健康スポーツ科学科教授。子育てや教育、コミュニケーション方法など、幅広いオノマトペの活用法も研究中。

日本はオノマトペ大国?

村山由佳さん

村山:
まずは、藤野さんに、オノマトペとはどういったものなのかを伺いました。

藤野:
オノマトペとは擬音語と擬態語の総称です。擬音語は「ニャーニャー」「ドンドン」「ザーザー」といった動物の鳴き声や物体、物理的な音を例えて表現したものです。擬態語は「キラキラ」「シーン」「ワクワク」といった実際には音のしない状態や心情の様子を音に例えて表現したものなんですね。最大規模の日本語オノマトペ辞典では、なんと4,500語のオノマトペが収録されています。世界的に見ても日本はオノマトペが多く、オノマトペ大国と言えるんですね。

村山:
お話聞いてるだけで、気持ちがそれこそワクワクしてきますけれど、確かに日本語のオノマトペって、雨の降り方だけでもちょっと思いつくだけでもですね、「パラパラ」とか「ぽつりぽつり」「しとしと」「ザーザー」「ざんざか」「ごうごう」っていろいろあって。いろいろあるだけじゃなくて、その言葉だけで雨の降り方の程度の差まで全部わかるっていう、それ考えると、あんまり外国語にはなさそうですよね。辞典に入ってないものまで入れると、たぶん1万語ぐらいになるんじゃないかっていう風に藤野さんおっしゃってました。

日本語にオノマトペが多いワケ

村山:
英語のオノマトペは1,000から1,500語、フランス語は600語程度なんだそうです。なぜ、こんなに日本語のオノマトペは数が多いのでしょうか。

藤野:
オノマトペが多い理由のひとつとして、動詞の表現が関係していると考えられます。とりわけ日本語の場合、ひとつの動詞は動作の基本的な意味しか持たないので、副詞を加えることによって具体的な表現を増やしていく傾向があると考えられます。例えば、日本で「見る」を口述すると単一の意味しか持ちません。しかし英語では、see、look、watchなど複数の「見る」があります。動詞自体を使い分けしながら、表現のバリエーションを増やしている傾向があるんですね。だから、先の英語表現のようにピッタリと伝えるために、フワッと見る、パッと見る、じっくり見るなど、オノマトペを使って表現を補ったのではないかと考えられますね。それが、オノマトペが増えた要因になったのではないかと推察されます。

村山:
なるほどね。ちらちら見る感じとジロリと見る感じ、目つきそのものが違いますよね。きっと英語とかほかの外国語にはそれに当たる言葉、ジロリと見る感じの「見る」っていう言葉があったりするわけですね。それが日本語との違いかもしれません。

近年も、どんどん新しいオノマトペが増えているそうで、その理由のひとつとしては、SNSやスマートフォンのメールなどの普及で短い文章でのコミュニケーションが増えたために、そうしたやりとりにオノマトペはピッタリなので、どんどん増えているのではないかということでした。そうですね、新しいところでは「ぴえん」なんていうのもありますもんね!

アラレちゃんの影響にどっぷりつかった子ども時代

村山:
こうしたオノマトペに、藤野さんが興味を持ったきっかけは何だったんでしょうか。

藤野:
オノマトペに興味を持つようになったきっかけのいちばんは、やはり漫画が大好きだったことだと思いますね。小学校の時は、将来は漫画家になりたいと思っていたほどでした。漫画は、イラストを中心に視覚的な情報で楽しみますが、背景に「ズドーン!」「バーン!」などのオノマトペを入れることで、聴覚的な情報が加わり、キャラクターが飛び出てくるかのような臨場感を演出してるんですよね。私はそのオノマトペの表現、演出に強く魅了されていたように思います。幼少時に私が大好きだった「Dr.スランプアラレちゃん」という漫画があるんですけど、主人公のアラレちゃんは「キーン!」と声を出しながら爆速で走るんです。当時の私は「キーン!」と声を出せば速く走れるのかなと思っておりまして、実際に「キーン! キーン!」と声を出して走っていたことを今でも鮮明に覚えていて、思い出すたびにくすぐったい気持ちになっています。それほど漫画のオノマトペに興味があったのだと思いますね。

番組からのメッセージ

  •  ♪ 長嶋茂雄さんの「グゥーッと構えて腰をガッとする」など、文字で見ただけではよくわからない言葉も実演つきでその場で聞くと、体の使い方なども伝わって選手にはわかりやすく、大変効果的な指導法だということが研究からも実証できるそうです。そんな「スポーツオノマトペ」を重点的に研究していらっしゃる藤野さんですが、子どもたちや大人にもさまざまな効果があることがわかっていて、「ニー」と口角を上げるだけで脳内にセロトニンが出て気持ちが前向きになるので、落ち込んだ時にはぜひ試してみてほしい、とおっしゃっていました。
  •  ♪ この番組は、らじる★らじるの聴き逃しでお楽しみいただけます!
    放送後1週間お聴きいただけますので、ぜひご利用ください。

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23/12/18まで

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23/12/18まで

  •  ♪ 番組では皆さんのおたよりをお待ちしています。
    12月のテ-マは「地元自慢」です。
    年末年始はふるさとへの帰省に限らず旅をすることが増えますね。今住んでいる場所はもちろん、いろんな好きな地域の「地元自慢」、周囲の人から聞いた話でもOKですので、「地元自慢」のエピソ-ドをリクエスト曲とともにお寄せください。

眠れない貴女へ

NHK-FM 毎週日曜 午後11時30分

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【放送】
2023/12/10 「眠れない貴女へ」

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