いつもそばにいてくれる友だちのような存在のラジオから発信できることとは?

23/11/27まで

眠れない貴女へ

放送日:2023/11/19

#インタビュー

この番組のタイトルコールを担当しているラジオDJのルーシー・ケントさんに、送り手と受け手の両方の立場から感じるラジオの魅力、長年担当したラジオの生放送での思い出のエピソードやラジオの役割、そして常に明るくポジティブに生きるコツなど、興味深いお話を伺いました。

【出演者】
ルーシー:ルーシー・ケントさん(ゲスト)
和田:和田明日香さん(ご案内)

ルーシー・ケントさん

【ルーシー・ケントさんのプロフィール】
アメリカ人と日本人の両親を持つ。アメリカ生まれ、3歳で東京に移住。8歳の時に原宿でスカウトされ、雑誌、ポスター、テレビCMなどモデルとして活動を始める。高校卒業後、ラジオDJ、ナレーター、MCの仕事をスタート。2005年から2016年、NHK-FM「ミュージックプラザ」火曜日(ミュージック・トゥデイ)のDJを担当。

ラジオならではの魅力とは

和田明日香さん

和田:
子どものころからモデル活動をしていたルーシーさんですが、ラジオコマーシャルをやらないかと誘われたことをきっかけに、声のお仕事の世界へ。そしてラジオDJとしてデビューされました。リスナーとして、DJとして、ルーシーさんが思うラジオの魅力をお聞きしました。

ルーシー:
ラジオの魅力っていうのは、いつでもどこでも聴くことができる。今はサブスクとかあって音楽を聴いたりしますけれども、ずっと音楽だけだと味気ないけど、途中で“ジングル”っていう短い曲のようなものが曲と曲の合間に挟まって美しくつながれる、そういうのも楽しいし。ラジオDJが、まあ私は英語でずっと曲を紹介していましたから、英語でこういうジングル的なボイスを入れていくのも、やっぱりなんか人の声とか人が作った作品が合間に加わることで温かみを感じるというか。

あとはやっぱり学生のころに勉強していて、ずっと静かなのも嫌なので、遠くから音楽を流したいっていうので、ラジオがいつもあったし。なんかいつもそばにいるお友だち的な感覚でしょうかね、ラジオって。それが魅力なのかなぁ。自分の知りたい情報とか、自分の好きな音楽を見つける、好きな曲を見つける、そういった発見もあったり。サブスクだと自分の好きな曲しか聴かないですけど、ラジオっていろんな曲を教えてくれるので。

発信する側としては、いろんなジャンルの曲をかけたいです。というのも、ジャズは敷居が高いからって思っている人たちにジャズってこんなに楽しいんだよって伝えたいし、ロックはもうにぎやかすぎてダメよっていう人には、いやこんなにロックって楽しいのよっていう、いろんなジャンルの曲をかけながら、いろんなジャンルを皆さんに楽しんでいただきたいっていう思いは強いです。

私個人的には、今ドハマりしてるのが、ここ数年K-POPなんですけれども。K-POPもどんどん伝えていきたいし、昔の懐かしい曲も伝えていきたいし、一つのことに焦点を当てないで幅広く皆さんに音楽を楽しんでいただけたらなという気持ちで伝えています。

もちろんラジオだから一人でスタジオにいるわけですけど、あぁこのマイクの向こうにどれだけの人が聴いてくださって、どれだけの人がこの曲を気に入ってくれているんだろうとか、そういうことを考えるとすごくワクワクしますし、エキサイティングなお仕事だなと思いますね。

和田:
そうですね、私も中学生のころから父親の影響でずっとラジオを聴いてきたラジオっ子だったので、おっしゃっていることすごく共感できたし、本当そうなんですよね、音楽と出会えるチャンスとして私もラジオ聴いてたかなと思います。

聴かないジャンルとか、選ばないアーティストも耳に入ってきて、うわ! この曲なんていう曲なんだろう? と思って、曲あけにそのDJが紹介してくれるのをじーっと待ったりとかね、なんかそういう時間を思い出してちょっとキュンキュンしちゃいました。

リスナーの声が教えてくれた、今やるべきこと

和田:
ルーシーさんは、2005年から2016年の11年間、NHK-FMの夕方の生放送番組『ミュージックプラザ』で、90年代以降の洋楽を紹介する火曜日のDJを担当されていました。当時、聴いていたリスナーの方もいらっしゃるのではないでしょうか。番組での思い出深かったエピソードを伺いました。

ルーシー:
一番印象に残っているのは3.11の後ですね。やはり自粛気味な放送が多かった中、リスナーの方から、避難している体育館の中で毛布にくるまってミュージックプラザ聴いてます、その音楽を聴くのが今一番楽しみなんだ、っていうメッセージをいただいたときに、実はそれまでって、いいのかなぁこんな時に能天気に音楽届けてて…って思ったんですけど、その1通のメッセージのおかげで、よしどんどん発信していこうっていう気持ちになったんですね。

だからそういった皆さんからのお便りっていうのは励みにもなるし、私たちがやらなきゃいけないことを教えてくれるし、私がスタジオの中で一人でいるんじゃないんだなと、みんなと一緒に楽しんでいるんだっていうのをすごく感じましたね、その時。

和田:
はい、もう激しくうなずいております。私はラジオをやらせてもらってまだペーペーもペーペーですけど、本当にその通りだなと思います。私たちがやらなきゃいけないことを皆さんのお便りが教えてくれるっていうのはもう本当にその通り。音楽とか声とか言葉で、聴いてくださっている皆さんに寄り添いたいというか、まぁ現実は何も変えられないんだけども、届いた人の心が少しでも前を向けるようになったらいいなぁって思ってますけど。
でも本当にね、届けてる側の私たちが皆さんに寄り添ってもらってるんだなぁと思うことも本当にたくさんありますね。

マイクを通して届けたい

和田:
リスナーの声に支えられているというルーシーさんですが、いつも明るくポジティブなルーシーさんの声は、聴いている人に元気を与えてくれます。

ルーシー:
明るさだけが取り柄です(笑)。明るすぎて迷惑かけてるんじゃないかなってたまに思う時があるんですけれども。なんか嫌なことがあっても寝ちゃうと忘れちゃうし、引きずるより楽しいことをしている方が幸せでいられるので、明るくいこうかなって(笑)。ポジティブ過ぎるんですね結局は。

だからなんか、落ち込んでる人たちに「頑張って」っていう言葉あるじゃないですか。「頑張って」って私みたいな何も考えないでポジティブすぎる人間にとっては、うん頑張る! ってなるけど。落ち込んでる時の「頑張って」ってすごく危険な言葉だなって思うんですね。

まあ実際私の周りに、例えば落ち込んでいる人たちがいて、「頑張って」としか言いようがない状況でも、あぁこういう状況で「頑張って」って言えないな、もうそれだったら例えば手を握るとかそういうのが大事で。すごく励ます「頑張って」なのに、「頑張って」が言えない状況ってあるじゃないですか。だから言葉ってすごく難しいなって感じますよね。

ラジオも言葉でしか皆さんに伝えることができなくて、「頑張って」っていう言葉より、なんか明るい声で、この音楽を聴いて、元気を出して、っていう、そのエネルギーを送ることを心がけているかなぁ。この元気エナジーを受け取って! みたいな(笑)、もう届けー! みたいな感じで。声にエネルギーがあってマイクを通して皆さんに伝わってるといいなって思いますよね。

番組からのメッセージ

  •  ♪ 日本は、庶民的な定食屋さんの盛り付けや器でさえも何から何まで美しくて大好きだし、細やかな気配りもすばらしいけれど、もう少し言いたいことを我慢しないではっきり言っても良いのではないかとおっしゃるルーシーさん。子どものころからもっと英会話に親しんでいたら、そんなシャイな殻も破れるのではないかと、子どもたちが英会話を楽しめるプレイハウスを作るのが夢だそうです。
  •  ♪ この番組は、らじる★らじるの聴き逃しでお楽しみいただけます!
    放送後1週間お聴きいただけますので、ぜひご利用ください。

放送を聴く
23/11/27まで

放送を聴く
23/11/27まで

  •  ♪ 番組では皆さんのおたよりをお待ちしています。
    11月のテ-マは「習いごと」です。収穫の秋になりました。自分や家族の「習いごと」の経験談や、こんな習いごとをしてみたい! というエピソ-ドをリクエスト曲とともにお寄せください。

眠れない貴女へ

NHK-FM 毎週日曜 午後11時30分

おたよりはこちらから


【放送】
2023/11/19 「眠れない貴女へ」

この記事をシェアする

※別ウィンドウで開きます