『最後の適当日記(仮)』は、タレントの高田純次(たかだ・じゅんじ)さんが日々をつづった日記です。高田さんにお話をうかがいます。(聞き手・畠山智之キャスター)
【出演者】
高田:高田純次さん
『最後の適当日記(仮)』は、タレントの高田純次(たかだ・じゅんじ)さんが日々をつづった日記です。高田さんにお話をうかがいます。(聞き手・畠山智之キャスター)
【出演者】
高田:高田純次さん
――高田さん、よろしくお願いします。
高田:
どーも、“ジョージ・クルーニー”です。
――ほぅら。ジョージ・クルーニーとはちょっと様相が違いますよね。
高田:
まぁ、見方によっては似たようなもんです(笑)。
――高田さんの出された本が、『最後の適当日記(仮)』ですよ。“テキトー”というふうに、高田さんはよく評されますよね。それはご自身ではどう思われます?
高田:
いい感じじゃあ、まずいなと。俺のキャラクターじゃないじゃないですか。世間的にはテキトーというイメージはC調だから、まぁいいかという感じできたんです。すると今度は「テキトーとは何か」というのでその言葉が歩き始めちゃって、どうすればテキトーなのか、例えばトイレに行って水を流さないのがテキトーなのか、そのあたりがわかんなくなってきちゃうんですよ。考えるとよけいわかんないから、今までどおり普通にやっとけば、みんなテキトーだと言ってくれるんだろうという感じではありましたけどね。
――はたから見ていますと、例えば仕事を抱えている人がきょうも仕事に追われて大変だという中で、高田さんは、「いいじゃない、そんなの。あしたはあしたの風が吹く」という暮らし方をしているように見える。そういうテキトーさ、っていうのかな。
高田:
なるほどー。現実的には、私自身、いつも枕を濡らしながら寝てるんですよ。
――なんで泣いてるんですか?
高田:
悔恨みたいな、反省みたいな。これでいいのかな、っていう。
――またそういうテキトーなことを言って……。
高田:
いや、ほんと、77歳で「軽いねぇ」って。重さがない、1グラムもないみたいな、そういう感じ。いろいろな人がいるからね、人生の正解はわかんないし、そのあたりはもうしょうがない。そう言われたら、ある程度はそれでいきたいなという気持ちにはなりましたからね。
――テキトーというふうに言われて、メリットは感じました?
高田:
メリットはほとんどないですね。
――ありませんか。
高田:
はい。
――私は民放の高田純次さんのお散歩番組をよく見ているんですけれども、あれを見ているとテキトーな人とは思えないですよね。最初にお店などに入るときに自己紹介をするでしょう? 今でいうと例えば「政治とカネ、追求シタロウでーす」とか。
高田:
ほとんど風刺にはなってないんだけどね(笑)。まぁ、そのような感じで言ってるときも多いです。あれは結局、初めて話す人じゃないですか。テレビが入ると皆さんちょっとかしこまったり緊張したりするんです。だからその前に、ちょっとでも相手を軽く笑わせられたらいいかなと思ったのが、発端だったんですけどね。
――そのあと高田さんは、ズバッと本音を聞くじゃないですか。
高田:
いろいろなお店に行って、例えば「お店の家賃はどれくらいですか」って聞いても、今まで100人中100人が答えないですね。
――それはそうでしょう(笑)。
――そういったいろいろなことを日記スタイルで書かれているのが『最後の適当日記(仮)』です。中に大谷翔平選手がたびたび登場して、「大谷翔平になら抱かれてもいい」と書いていますね。どんなふうに抱かれたいんですか。
高田:
ハグだけ、くらいですね。
――そうですか(笑)。
高田:
はい。この本、日記とは言ってますけどほとんどダジャレ本みたいな感じで、ただ、どうしても大谷の話が多くなっちゃいました。
――その大好きな大谷翔平選手が結婚を発表しました。どう受け止めましたか。
高田:
いずれは結婚すると思っていたんですけど、こんなに早くねぇ。相手のことをよくわかっていないからアレなんですけど、できるんだったら僕の友達の女の子の1人や2人ぐらい紹介してあげてもよかったんですけどね。ただ俺も会ったことがないから。
――会ったことないんですか?
高田:
ないですよ。見たことはあります。
――それなのにこんなに大谷選手のことを書いてるんですか。
高田:
そうです。会ったことはないんですよ。
――「大谷選手のすごいところはどこですか」という問いに対して、高田さんは「握手したけど握力がすごかったね。ってことにしておいてくれ」と書いてあります。
高田:
結局、僕のしゃべることの90%のウソの中の1つだと思いますよ。9割はだいたいウソで、1割本当のことを言っても皆さんがそれもウソだとおっしゃる。
――そうするとこれはどうなんでしょう。「サザンオールスターズに入れてもらえないかな」と書いてあるんですけど、入れそうですか。
高田:
夢をどんどん書いておかないと。どっちみちできないことですからね。だから僕は今、スケボーで公園の手すりを滑ろうかなと思ってますけど。
――えっ!?
高田:
練習したとたんにすぐ死ぬんじゃないかって(笑)。
――さらに高田さんは遺言として、「財産の9割をスポーツジムの受付のレイナちゃんに贈与する」と宣言していますが。
高田:
だいたいね、受付はきれいな子が多いです。レイナちゃんというのは現実的にはいないんですけど、だいたい僕は受付のきれいな子をレイナちゃんと呼んでるんです。「レイナちゃんですか?」「いいえ、違います」と、そういうところから話のきっかけができるというのがありますけどね。NHKさんでもどこかで受付の人を見かけたら話しかけようかなと思ってたんですけど。
――高田さんは、「挙動不審の変態は捕まるけど、堂々とした変態は捕まらない」とも書いています。だから高田さんは捕まらないんですか。
高田:
そういうことです。堂々としているとわかんないから。“変態”も毎日続いていくと平常になってしまいます。日常になりますからね。
――高田さんはふだんから変態を続けていて?
高田:
ずっと続けていたら日常になりましたからね。
――それができるところがエライですよね。
高田:
結局、変態が出ちゃうんです。
――人の目もあるでしょう?
高田:
自分ではどれが変態かわからなくなってますものね。
――周りが指摘しませんか。
高田:
周りは別に「君、それは変態だよ」とは言わないですから。指摘してくれればわかりますよね。「高田さん、それは変態だよ」と言ってくれれば「ごめんごめん」ってなるけど、誰も言わないからどれが普通でどれが変態だかわからない。そういう意味では、女性と親密になっても最後までいくという夢は見ないんですよ。なんで手前で終わるのか、おかしいですよね。それをなんとかしないといけないな……っていう。
――それは勝手にやってください(笑)。
――そういう高田さんの生き方に憧れを持つ方も結構いらっしゃるようで……
高田:
その時点で失敗だと思いますよ。
――弟子にしてくださいという方が定期的にいることが、この日記にも出てきます。弟子をとる基準は何かあるんですか。
高田:
はっきり自分が教えるものの分野がわからないので、弟子の人が来てもどこを教えていいのかがわからない。1つの確立されたセクションではないから、そのあたりがね。弟子の人が俺のどこを見て弟子になりたいのか、俺の全てをパクっていただいてもうれしいんだけど、何をパクっていいかわからないんじゃないですか、そういう意味では。だからそのあたりが難しいなとは思うんです。劇団にいたときも、新入生というか受けに来るじゃないですか。そういうときは僕に似たやつは全部カットしてました。
――競争相手になるから?
高田:
そう。俺よりおもしろかったらまずいから、なるべく入れないように。
――それじゃあ弟子をとれないですよね。
高田:
とれないでしょう? 弟子が来て俺よりおもしろかったらヤバいから、とらないんですよ。
――高田さんは、自分は何も教えることがないとおっしゃいますけど、ずっとこういう世界で仕事をしていらして信頼もあるわけでしょう? その生き方が多くの方々の心を捉えるんですよ、高田純次という男に対して。
高田:
でも、どう思ってんのかって、肩たたいてはっきり聞いたこともないですね。
――最後に、どうすれば高田さんのように生きられるか、教えていただけますか。
高田:
まず健康であることですね。あとは、世の中を斜に見るようにしながら自分を持ち続けるという、こういうことしか今は言えないですね。
――健康を維持するためには何をなさっていますか。
高田:
とりあえず朝ちゃんと起きます。起きなきゃ、話になんない。とりあえず起きてから、いつもはだいたい朝20キロくらいのウォーキングと、そのあとピアノを1時間くらい弾いて、そのあと詩を書くっていう。
――今の話は何%ぐらい本当のことですか?
高田:
それをやったらダメだよということ。そういうことをやると体を病んでしまうから。
――ちゃんと起きることが大切だと。
高田:
そういうことです。日本はこれから平均寿命が100歳ぐらいになるときが来るんじゃないですか。100歳になったらね、渋谷の街を全裸で歩こうと思って。
――見たくない!
高田:
警察官も何も言わないと思います。
――言えないですよ(笑)。『最後の適当日記(仮)』、高田純次さんにお話をうかがいました。高田さん、ありがとうございました。
高田:
失礼しました。ありがとうございました。
【放送】
2024/03/10 「マイあさ!」
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