福島探偵による調査報告

福島：
以前、番組に届いた、「『マツバボタンが咲きました』という歌詞の歌を知りませんか？」というお便りを、覚えているでしょうか。放送後、たくさんの方から情報提供をいただきました。ありがとうございました。この歌に関して、これまで何度か進捗をお伝えしてきたのですが、今回、完結編と題してお送りします。

田中：
“福島探偵”の登場ですね！

福島：
はい（笑）。2023年８月、この話の始まりのお便りを、改めてご紹介します。

いしかわあやこさん（山形県天童市　95歳）　
90年も前のこと、姉が学校で習った歌を歌い出すと、私まで大きな声でまねしたものです。その中の１曲が、「お母さま、マツバボタンが咲きました／やさしい母を思い出す」、このような歌でした。私は女ばかりの５人姉妹。忘れたところは５人の誰かが糸を紡ぐようにして声を揃えることができ、笑ったものです。姉たちは数年前までに次々亡くなりました。この歌を思い出すと、楽しかった昔に戻ります。この「マツバボタンの歌」を、教えてくださいませんか。

福島：
これを紹介したところ、リスナーの皆さんからたくさんの情報が寄せられて、曲名が判明しました。

田中：
う余曲折がありましたけれども。

福島：
はい（笑）。この曲は、佐伯孝夫作詞・飯田信夫作曲、歌上艶子が歌う、「母に捧ぐる歌」でした。1939年に製作された映像作品『母に捧ぐる歌』の劇中歌と思われます。ただ、音源が見つからないというのが、前回のご報告でした。

田中：
番組でかけたかったんですけれども、どうしても見つからなかったんですよね。

福島：
そうなんです。前回のご報告のあと、SPレコードが発売されていたことがわかりました。そこで「マイあさ！」チームで総力を挙げて音源を探しましたが、レコードの発売元や各地のレコード店に問い合わせても入手できなかったんです。

田中：
1939年、戦前の曲ですから、なかなか残っていないでしょうね。

福島：
そこで最後の望みをかけて、NHKラジオで毎年大みそかに放送している「教授の大みそか　蓄音機＆SPレコード特集」（案内：黒崎政男）に出演している、SPレコード愛好家の佐藤満弘さんに問い合わせたところ、佐藤さんとそのお仲間が探してくださいまして、レコードを見つけることができたんです！　ありがとうございました。では、やっと見つけたその曲を、お聴きいただきましょう。

♪「母に捧ぐる歌」　歌上艶子

田中：
味がありますねぇ。「お母さま～」というところなんか、耳に残るというのがうなずけます。

福島：
でも、この曲が本当に探していた曲なのか、気になりますよね。そこで、始まりのお便りをくださったいしかわあやこさんに、事前に聴いていただきました。

いしかわあやこさん
この歌です！　思い出しながら聴きました。ありがとうございます、この歌です。５人姉妹なものですから、みんな話が合って、１つの歌をみんなで歌ったんです。結婚してから実家に帰ると５人でこの歌を歌ったものでしたけれども、みんないなくなりましたので、私、１人だけになったんです。それで誰ともすることもできないし、庭の草取りをしながら、マツバボタンを見るたびにこの歌を思い出していました。今、この歌を聴きましたので、思い出しながら、今度マツバボタンを眺めたいと思います。ありがとうございました。おかげさまです。

福島：
合っていて、本当によかったです。

田中：
うん……よかったですね。

福島：
今回、たくさんのリスナーの皆さんが、さまざまなかたちでマツバボタンの歌に関する情報を寄せてくださいました。北原白秋作詞の「まつばぼたん」の歌詞を送ってくださった方や、この曲のメロディーを鮮明に記憶しているということで手作りの楽譜を送ってくださった方もいらっしゃいます。また、「これではないか？」ということで、「お母さま～」で始まる曲を録音して送ってくださった方もいらっしゃいます。本当にみなさん、ありがとうございました。

田中：
「お母さま」で始まる歌が、いろいろあることもわかりましたね。

福島：
そうなんです。思い返せば、お便りをいただいた去年８月、「マイあさ！」に流れた童謡だと思い込んで選曲担当のスタッフと調べたり、もしかしたら「ラジオ深夜便」で流れたのかもしれないと思って番組のプロデューサーに問い合わせたりと、いろいろありましたが、やっときょう、一件落着しました！

田中：
福島探偵、ミッション完了、ということで（笑）。

福島：
そうですね。リスナーのみなさんのおかげで、謎を解明することができました。本当にありがとうございました。

♪「探偵物語」　薬師丸ひろ子

【放送】
2024/01/19　「マイあさ！」