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24/03/18まで

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音楽クリエイターのヒャダインさんが、最新の音楽情報を紹介する<ヒャダインの音楽室>。今回は、「音楽は楽しい!」を体現しているKNOWERと、昨年11月に惜しまれつつ亡くなったKANさんです。

3月の注目曲 KNOWER 「The Abyss」

KNOWERは、ドラマプロデューサーとして活動するルイス・コールと、ボーカリストのジェネヴィーヴ・アルターディの2人からなる、アメリカの男女ポップスユニットです。「The Abyss」は、昨年12月にリリースされたアルバムに収録されている楽曲です。

ルイス・コールは常々注目しておりまして、サンダーキャットをはじめとしたいろいろなアーティストへのプロデュース、ご自身のソロ作品で大活躍しています。

KNOWERは音楽的にマニアックで凝縮されたイメージがございまして、ファンクやエレクトロ、そしてジャズやポップスなどがミックスされつつも、ルイス・コールの彼の頭の中にある音楽理論にもとづいてアウトプットされている印象なんですよね。なので、難しい部分もあったりしますが、ボーカル・ジェネヴィーヴの、国籍やジェンダーが見えにくいすてきな歌声によって、すべてがまとまっている。「ユニットをやる意味って、ここにあるんだろうな」といった印象を受けました。

私、最初に知ったのが「YouTube」の公式チャンネルでございまして、ミュージシャン仲間と集まって演奏しているのをミュージックビデオにしていて、いっぱいあがっているんですね。その中で誰かのおうち、ルイス・コールのおうちでしょうか? おうちの廊下で、みんな楽器を持ち寄って、歌ったり、演奏したりしているんですね。なので、ドラムを踊り場みたいなところに置いたり、みんなでヘッドホンをして音を統一させてやっているのですが、それが、楽しそうなんですよ。音楽って“音が楽しい”と書く。本当に日本語ってすばらしいなと思うのですが、ルイス・コール達は「音は楽しいよ」を体現していて、へたしたらセールスはどうでもよくて、自分が好きな音楽を楽しい仲間と、スタジオとかではなく、家の廊下で楽しく演奏できて、「ああ楽しい!」というのを「われわれリスナーはシェアさせてもらっているだけなのかもしれないな」なんて思いつつ、これからもどういった方法で音楽を表現していくのか非常に楽しみでございます。

3月の気になる人 KAN

♪「Songwriter」/KAN

「Songwriter」は、1997年発表の22枚目のシングル曲で、昨年11月に惜しまれつつ亡くなったKANさんの楽曲です。KANさんの好きな曲はたくさんありましたが、この曲に出会ったとき、感動で打ちひしがれまして、まずメロディーがずっとサビ。Aメロから力強いメロディーラインで、「これサビなのかな?」というのが、どんどんどんどん続くのですが、まったく飽きずに、どんどんクライマックスが増えていくイメージですね。

聴いていただいたように、ピアノの音量が大きいのですよ。普通、歌声のほうが大きくて、ピアノは伴奏というイメージなのですが、KANさんはピアノマンなのでピアノが大きい。そしてそれが歌声を邪魔しない。本当に美しいメロディーラインで、芸術品として完成された1曲だなと思いました。

歌詞の内容もそうなのですが、ソングライターとして「音楽を作る喜び」を改めて感じさせてくれる曲。幸せに満ちみちた楽曲なんですよね。
でも、悔しい部分もあるんですよ。早すぎる死が悔やまれるばかりですね。もっともっと新しいKANさんの音楽を聴いてみたかった。でも、音楽は不滅で、KANさんの楽曲は魂が宿り続けるので、KANさんの曲を楽しみに聴いていきたいなと思っております。

音楽室で待ってます。ヒャダインでした。


【放送】
2024/03/09 「マイあさ!」

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