11時台を聴く
24/06/09まで

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かきうちはるのすけくん(小学2年生・東京都)からの質問に、「コンピューター・ロボット」の坂本真樹先生が答えます。(司会・柘植恵水アナウンサー)

【出演者】
坂本先生:坂本真樹先生(電気通信大学副学長)
藤田先生:藤田貢崇先生(法政大学教授)
はるのすけくん:質問者


――お名前を教えてください。

はるのすけくん:
はるのすけです。

――どんな質問ですか?

はるのすけくん:
どうしてエレベーターの「開く」ボタンは緑なんですか?

――それはエレベーターに乗っているときに、あれっと思ったの?

はるのすけくん:
うん。

――早速先生に教えてもらいましょう。坂本先生、お願いします。

坂本先生:
はい。かきうちはるのすけくん、こんにちは。

はるのすけくん:
こんにちは。

坂本先生:
すごいね、よく気がつきましたね。観察して発見して「なんでだろう」と考えるのは、科学の基本ですよね、藤田先生。

藤田先生:
そうですよね。

――私たち、毎日エレベーターに乗っているけれど、そう言われてみれば……という感じですものね。

坂本先生:
そう! 私もそう思いました。なんで緑色なのかというところからいくと、いろいろ説はあるんですけど、例えば世界的に、信号機で「進む」というのに使われるのは緑色なんです。色の実験がいろいろあるんですけど、緑色というのはわりとポジティブな行動、前向きな行動をうながすとか、安心感があるとか、いろいろ効果があるみたいなんです。

はるのすけくん:
はい。

坂本先生:
信号機だと「止まれ」は赤で「進め」が緑ということで、進む・開く・入っていいよというのが、緑だと思うんです。

――青信号と言うけれども、色としては緑っぽいですね。

坂本先生:
そうなんです。日本語では青信号と言うんだけど、よく見ると緑っぽくて、海外では青信号と言うより緑と言うんですよね。なので、あんなような青とか緑っぽい色になっています。それでエレベーターの他のボタンは、非常ボタンがついていると赤だったり、非常用電話のボタンには、気がついたこと、ある?

はるのすけくん:
うううん。

坂本先生:
それは黄色なんですね。そういう他の色との対比で緑にしたということもあります。他の色がなくても「開く」ボタンだけが緑であって、じゃあ、「閉まる」ボタンは何色でしょう?

はるのすけくん:
白?

坂本先生:
緑ではないんですけど、白のこともあったり、「開く」ボタンも緑がついていないものもあったりはするんですけど、基本、多いのは、「閉まる」ボタンは他の階の数字のボタンと同じ色だったりするんです。

はるのすけくん:
はい。

坂本先生:
なぜそうなっているかというと、とにかく「開く」ボタンが目立つことが大事で、「開く」を押し間違えてほしくないんですよね。人が入ってこようとするときに間違えて「閉まる」ボタンを押しちゃったことが先生はあるんですけど、色がついているほうが、押し間違いが起きにくい。とにかく「開く」ボタンを間違えない、ちゃんと押してあげることが、人が挟まれたりしないためには大事なので、急いで慌てて押すのは「開く」ボタンなんです。

はるのすけくん:
はい。

坂本先生:
「閉まる」ボタンを急いで押さなきゃいけないことはあまりなくて、例えば怪獣とかに追いかけられて急いで逃げなきゃっていうときに押したくなるのは「閉まる」ボタンですけど、そういうことはあまりない(笑)。待っていれば閉まるので、本当は待っていればいいんです。ちなみに日本人は、海外の人より「閉まる」ボタンを押す人が多いんですって。

――せっかちということ?

坂本先生:
時間に追われているのかな(笑)。基本的には「閉まる」ボタンは押さなくてよくて、「開く」ボタンのほうは、とにかく安全上、間違えずに押す必要があるんです。

はるのすけくん:
へえ~。

坂本先生:
「開く」ボタンをわかりやすくするためのデザインについては、色だけじゃなくて例えばイラストとか文字の大きさ、ひらがなにするか漢字だけにするかとか工夫がされていて、ちゃんと研究されているんです。その結果、色の効果が大きいことが確かめられていて、サイズも結構重要だと言われているんだけど、やっぱり「開く」ボタンに色をつけると、特に緑にすると、押し間違えずに正しく「開く」ボタンを押すという実験があるんです。

はるのすけくん:
ふうん。

坂本先生:
あと、1回「開く」ボタンを緑にしたらいつも同じ色にしてあげることが大事で、このエレベーターは緑だったけど、きょう乗った別のエレベーターは黄色だったり赤だったとなるとわからなくなるので、何か色を記憶していて、文字を読まなくてもすぐ反応できるのが大事なんでしょうね。

はるのすけくん:
へぇ~。

坂本先生:
他にあまりおもしろくない理由として、1回緑と決めたら、あとは量産というかたくさん作るのに同じ色のほうがコストがかからないとかいう大人の事情が、もしかしたらあるかもしれないんですけど、一応、緑がわかりやすいので、1回決めたらみんなが間違わないからいいよね、と。

はるのすけくん:
ふうん。

坂本先生:
でも緑とか青っぽい色が絶対に最適で一番いいのかというと、色の識別が難しい人もいらっしゃるからそういう方たちにとってもわかりやすい色にするのが本当は一番よくて、そうすると水色らしいんです。でも水色にしちゃうと、黒い文字と水色、黒い背景に水色というのは、ちょっとわかりにくいんです。

いろいろな色を見ていただくといいんですけど、いろいろな人にとって、誰にとっても見やすい色をつけていく観点がとても大事です。そういうのを人間工学とかユニバーサルデザインと言ったりするんですけど、実は先生はそういうのも専門なので、コンピューター・ロボット以外でも、皆さん、質問をお待ちしています! だから今回、すごいことに気がついてくれたなと思って感動しています。

――はるのすけくん、身近なところにいろいろな色があって、どうしてこの色にしているんだろうというのがありますものね。

はるのすけくん:
はい。

坂本先生:
ちゃんと理由があって、その色が選ばれているんです。適当につけているわけじゃないんですね。

――すべてのエレベーターの「開く」ボタンが緑ではないけれどもそういうものが多くて、それは人間の目につきやすい色にしてあるということですね。

坂本先生:
わかりやすさ、ということですね。

――はるのすけくんの質問から、たぶんラジオを聴いている皆さんも「うちのマンションとか近くのエレベーターはどうかな」って思っているかもしれません。すごいところに気がつきましたね。発想がすばらしいなと思いました。私もこれからエレベーターに乗るときに見てみようと思います。 はるのすけくん、先生のお答え、わかりましたか?

はるのすけくん:
はい。

――すてきな質問をありがとうございました。

はるのすけくん:
ありがとうございました。

坂本先生:
ありがとう。

――また質問してくださいね。

はるのすけくん:
はい。

――さようなら。

はるのすけくん:
さよなら~。

坂本先生:
さよなら~。


【放送】
2024/04/14 「子ども科学電話相談」

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