11時台を聴く
24/06/02まで

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コインカー アルヴィンくん(小学4年生・徳島県)からの質問に、「動物」の成島悦雄先生が答えます。(司会・柘植恵水アナウンサー)

【出演者】
成島先生:成島悦雄先生(元・井の頭自然文化園園長/獣医師)
アルヴィンくん:質問者


――お名前を教えてください。

アルヴィンくん:
アルヴィンです。

――どんな質問ですか?

アルヴィンくん:
サルやイヌやネコには尻尾があるけど、人間には尻尾はないんですか?

――人間には尻尾がないことに疑問を持ったわけですね。何か動物を飼っていますか?

アルヴィンくん:
飼っていません。

――では早速、先生に教えていただきましょう。成島先生、お願いします。

成島先生:
はい。アルヴィンくん、こんにちは。

アルヴィンくん:
こんにちは。

成島先生:
サルとかイヌとかネコには尻尾があるよね。でも僕たち人間には尻尾がないのはなぜかっていう質問ですね。

アルヴィンくん:
はい、そうです。

成島先生:
じゃあね、アルヴィンくんに僕から質問です。サルとかイヌとかネコにはなんで尻尾があるんだろう。尻尾の役割はどういうふうに思いますか? どんな働きをしていると思いますか?

アルヴィンくん:
……わかりません。

成島先生:
そうか。チーターって知ってる? アフリカにいる、ネコ。

アルヴィンくん:
知ってます。

成島先生:
確かインドにもいるよね。

アルヴィンくん:
はい。

成島先生:
チーターが走るときには、尻尾でバランスをとるようにして使っているんです。あと、イヌが尻尾を振るのを見たことがあるでしょう?

アルヴィンくん:
はい。

成島先生:
うれしいと尻尾を振るよね。あれは尻尾でコミュニケーションをとってお話をしているわけだね。自分はこんな気持ちだよと相手に伝えているわけです。それから、ウシは知っていますよね。

アルヴィンくん:
はい、知ってます。

成島先生:
ウシも尻尾をゆらゆらさせていますけれども、周りにハエなんかが飛んできて血を吸おうとするようなときに、ハエを追い払おうとして尻尾を揺すったりするんです。そういうふうに体にやってくる虫を追い払う働きもあります。あとリスとかオオアリクイの尻尾を見てみると、彼らは眠るときに尻尾を体の上にのせて、まるで毛布のようにして寝るんです。体を温める毛布代わりにすることがあります。

アルヴィンくん:
ふぅん。

成島先生:
あと、ビーバーって知ってるかな?

アルヴィンくん:
知りません。

成島先生:
ビーバーはね、水辺、川にすんでいる動物で、尻尾が平たいんです。平たい尻尾を動かして泳ぐんですね。泳ぐときに、かじ取りなんかするんです。

アルヴィンくん:
おぉ~。

成島先生:
そういうふうに、尻尾にはいろいろな役割があるんだね。でも、人間を見てみようか。人間には尻尾がないよね。人間は走るときに、バランスをとるために尻尾が必要かな?

アルヴィンくん:
いりません、尻尾は。

成島先生:
いらないよね。それからウシのように虫を払うときにも尻尾なんかいらないし、例えば手で「向こうへ行け」とかやればそれで済むじゃない?

アルヴィンくん:
はい。

成島先生:
それから眠るときにはお布団なんかかぶるでしょう? あるいは毛布をかぶったりして寝るから、特に体を温めるためには必要ないよね。そういうことで人間は基本的には尻尾は必要ない。だから尻尾がないんです。それでね、お猿さんにもいっぱいいろいろな種類がいて、尻尾があるサルと尻尾がないサルに分けられるんです。

アルヴィンくん:
おぉー。

成島先生:
テナガザルって知ってるかな?

アルヴィンくん:
知りません。

成島先生:
手が長いんだけど、彼らは尻尾がないんだよ。オランウータンは知ってる?

アルヴィンくん:
知りません。

成島先生:
オランウータンは東南アジアにすんでいる大きなサルだけど、木の上にすんでいるんですが彼らも尻尾がないんです。チンパンジーとかゴリラは知ってるかな?

アルヴィンくん:
知ってます。

成島先生:
あぁ、よかった。彼らも尻尾がないんだよ。

アルヴィンくん:
そうなんですか?

成島先生:
そうなんだよ。チンパンジーとかは尻尾があるように思えるけど、よく見るとないんです。テナガザルとかオランウータン、ゴリラ、チンパンジー、それからわれわれヒト、こういう仲間を、“人によく似たお猿さん”ということで類人猿と言っています。ヒトは類人猿の仲間なんです。要するに、他のお猿さんとどうやって区別するかというと、お尻に尻尾があるかどうかで分けているんです。ここまで、いいですか?

アルヴィンくん:
はい。

成島先生:
いつごろから尻尾がなくなったかということですけれども、僕たちのご先祖さまはサルだということは、知っていますか?

アルヴィンくん:
はい。

成島先生:
サルはたくさん種類がいるけれども、今から2500万年ぐらい前に尻尾のないサルと尻尾のあるサルとに分かれたんですって。

アルヴィンくん:
そうなんですか!

成島先生:
そうそう。だから2500万年前に分かれた尻尾のないサルの子孫が僕たち人間なんです。最初にテナガザルの祖先が生まれて、そのあとにオランウータンの祖先が生まれて、それからゴリラの祖先が生まれてチンパンジーの祖先が生まれて、今から600万年~700万年ぐらい前に人間がチンパンジーと分かれたと言われているんです。

アルヴィンくん:
へぇー、そうなんですか。

成島先生:
そういうことから言うと、尻尾がないというのは人間だけじゃなくて、テナガザルのような類人猿と呼ばれる仲間はみんなないんです。動物園なんかに行ったときに、彼らのお尻をよく見てほしいな。

アルヴィンくん:
わかりました。見ます。

成島先生:
それでね、人間もお母さんのおなかの中にいたときには尻尾があるんですよ。

アルヴィンくん:
えっ?

成島先生:
尻尾、あるいは尾骨と呼ぶんですけれども、尾骨は9つあるんですって。お母さんのおなかにいるふた月ぐらいまでは、尻尾があるらしいんだよ。

アルヴィンくん:
すごい!

成島先生:
だんだん成長するとなくなっちゃって、尻尾としては見えなくなっちゃうわけ。でも僕たち人間も、レントゲンなんかで腰の辺りを撮ると尻尾の名残が映るんです。

――昔、尻尾があったよというところが、骨になってちょっと残っている?

成島先生:
そうそう。

アルヴィンくん:
すごい! 知らなかったです。

成島先生:
学校の理科室に、人間の骨の標本なんかあるかな?

アルヴィンくん:
あります。

成島先生:
みんな骸骨だと言っておっかながるかもしれないけれども、あれの腰の辺りを見てもらいたいんだ。そこに尾骨、あるいは「尾てい骨」というんですけれども、尻尾の骨が3つか4つぐらいくっついた骨があって、それが人間でも、体の外には出ていないけれども体の中にあるのがわかるんです。昔、尻尾があったことの名残です。そしてそれはとても大切な仕事をしていて、僕たち人間は、立って歩くでしょう?

アルヴィンくん:
はい。

成島先生:
直立二足歩行というんですけれども、おなかに胃とか腸とかいろいろな臓器が入っているじゃない? それを筋肉で支えているんだけれども、その筋肉がつく場所が、尾てい骨なんです。

アルヴィンくん:
はぁ! すごいです。

成島先生:
すごいでしょう? だからいわゆる尻尾の、バランスをとったりするような役目はしていないけれども、人間が直立二足歩行になったおかげで、おなかの中の臓器を支えるような筋肉をつける場所というふうに、新しく役割を変えたみたい。だからちょっとお尻のところを触ってみると、たぶんわからないと思うけど、尻尾の名残がわかるかもしれない。でも一番いいのは、理科室にある人間の骨の標本を今度よく見るといいと思います。あるいは博物館なんかに行くと標本が置いてあると思いますので、そういうところで見ると、これが尾てい骨だとわかると思います。

アルヴィンくん:
確認します!

成島先生:
難しい言葉、知ってるね。 そう、確認してくれる?

アルヴィンくん:
はい、わかりました。

――人間の尾てい骨には、本来の尻尾の役割とは別の役割があるんですね。アルヴィンくん、しっかり聞いてくれていましたが、わかりましたか?

アルヴィンくん:
はい、わかりました。

――よかったです。理科室とか動物園とかも、またよく見てみてください。

アルヴィンくん:
はい、わかりました。ありがとうございました。

成島先生:
ありがとうございました。

――ありがとうございました。さようなら。

アルヴィンくん:
さよなら~。

成島先生:
さよなら~。


【放送】
2024/04/07 「子ども科学電話相談」

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