10時台を聴く
24/05/26まで

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「子ども科学電話相談がNHK札幌にやってきた」と題して、NHK札幌放送局のスタジオからお届けします。かさいあきらくん(小学6年生・北海道)からの質問に、「恐竜」の小林快次先生が答えます。(司会・柘植恵水アナウンサー)

【出演者】
小林先生:小林快次先生(北海道大学総合博物館教授)
小菅先生:小菅正夫先生(札幌市円山動物園参与)
あきらくん:質問者


――お名前を教えてください。

あきらくん:
あきらです。

――どんな質問ですか?

あきらくん:
むかわ竜の骨は8割見つかっているとされてるんですけど、9割見つかっているのに、なんで8割になってるんですか?

――むかわ竜、カムイサウルス・ジャポニクスの骨ですね。小林先生、お願いします。

小林先生:
ごめんなさい、「9割」って、どこからの情報?

あきらくん:
ハドロキッズチーム(北海道むかわ町の子ども化石くらぶ)で倉庫を見せてもらったときに、9割見つかっていると聞きました。

小林先生:
あのね……これは難しくて、先生たちは、何割見つかるとかあまり気にしていないのよ。大事なのは恐竜のことがわかるということなんですけど、全身骨格といってもどのくらい骨が見つかっているのか、揃っているのかという「数字」をわかりやすく出すときに、「大たい骨」って、めちゃくちゃでかいでしょう?

あきらくん:
はい。

小林先生:
あれも1個なのよ。舌骨っていう、細い骨も1個なの。

あきらくん:
はい。

小林先生:
それで、いいのかなぁ。こんなにちっちゃい骨も1個で、あんなに大きい骨も1個と数えたときに、体積・ボリュームでいうなら、もっと出ていたかもしれない。でも先生たちはどう数えるかというと、骨の数なんです。

あきらくん:
あぁ。

小林先生:
動物の骨って、何個あるか知ってる?

あきらくん:
えっ、あまり知らないです。

小菅先生:
それは難しい。私ね、動物園に入ったころ、骨はずっと置いておけるのでどんな生き物も骨にしたんですけど、わからない動物の骨を数えるのは至難の業。だって、豆粒よりまだちっちゃい、めちゃくちゃちっちゃい骨がいっぱい入っているんだよ。わかっているものは確認できるけど、わからないものの骨の数は、何例かやってみないと出てこないもの。

あきらくん:
はい。

小菅先生:
だから恐らく、むかわ竜が100体くらい出てきたら、だいたい平均して何個あったというふうに決まるんじゃないでしょうか。

小林先生:
一応わかっている範囲で数えていくと、頭にもいっぱい骨があるわけよ。人間の頭も、上あごと下あごの2つじゃないんだよ。いっぱい骨があって、それがひっついて1個になっているんだけど、恐竜も一緒でいっぱい骨があって、でもそれが1個になって頭になったり、いっぱい骨があって手になったり脚になったりします。だからその個数を数えていくと、だいたいいい線かなっていうのが8割という答えです。9割というのは、骨の数じゃなくて骨の量、体積・ボリュームでいうと9割ぐらい出てるんじゃないのかなっていうので、たぶん言ったんじゃないかな。数え方の違いだと思いますね。

あきらくん:
あぁ、はい、そういうことですね。

小林先生:
でもどっちにしろ、すごいことなのよ。あんなに大きい恐竜で8割、9割というのは、当然日本では初めてだし、カムイサウルスはハドロサウルス科というんですけど、あれはアジアで一番いい状態です。モンゴルとか中国も有名なんだけど、あれだけ完全なのは本当にトップ5に入るぐらいのすごい標本であることに間違いない。ということを理解してもらえれば、8割か9割かというのは、まぁまぁまぁ……と。

あきらくん:
あぁ、はい。

小林先生:
数だったら8割、量・ボリュームだったら9割、じゃないかな。そういうすごいのが、北海道から見つかっているということです。

あきらくん:
今度聞いてみます。

小林先生:
聞いてみてね。

――あきらくん、いろいろなところで読んだり参加したりして、好きなんですね。

あきらくん:
はい、好きです。

――小林先生、どこの骨なのかわからない化石もたくさんあって、それをいろいろ想像したり比べたりしながら、この部分じゃないかというふうにしていくんですか。

小林先生:
一番基本になっている大きい骨については、本当に大事なのは、今、生きている動物を知ることなんです。僕らは解剖もして、どの筋肉がどの骨についてどう動いているのか、その生活を見ながら、この筋肉がどう使われているのか、この骨がどう使われたのかがわかってくると、動物が違っても大きい骨の場合はある程度わかります。

ただ、さっき小菅先生がおっしゃったようなよくわからない骨は、すごくわかんないです。恐竜だったらある程度パターンが出るんですけど、ちょっと違う動物で「この骨なんだ?」って聞かれても、「うーん、いい質問だね。みんなで考えよう」としか言えないぐらい(笑)。それは「多様性」というんだけど、いろいろな動物のいろいろな体や骨があるので、それを理解してから恐竜をやるとさらに楽しくなるし、今の動物も楽しく見られます。恐竜を知りたかったら動物を観察して、そしてまた恐竜に生かしてもらうといいなと思います。

あきらくん:
はい、ありがとうございました。

――大丈夫ですか。

あきらくん:
はい。

――ありがとうございます。あきらくんからの質問でした。


【放送】
2024/03/31 「子ども科学電話相談」

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